大谷短歌エッセイ~君と共に生きている/グローブ・犬
大谷にまつわる短歌10首(解説つき)です。
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エンゼルスレッドのジュースに染められて 二刀流を見る 午前五時
朝に弱い私が、以前なら、考えられないようなことをしている。
チームカラーの、赤い色のジュースを飲みながら。
その色に染まりながら。
投球を終えた直後に いそいそと
バットを持って 打席に立てり
二刀流は忙しい。
でも、何だか、うれしそうだ。
君の一挙手一投足を見つめる 「くら」「くら」 打席うしろの広告
じっと見つめていると、軽いめまいをおぼえる。
彼のパワーに。
造形の美しさに。
君はいつも考えている チームのため何ができるか 何をすべきか
自分の記録のことばかり、考えているような選手もいるけれど、彼は違う。チームの勝利が最優先だ。
いきなり、バントをしてみたり。
そういう所が、いい。
ホームラン 空に放たれゆくときに コロナ禍の世に 虹の描かれり
コロナ禍で先が見えず、不安に押しつぶされそうな時期があった。けれども、彼の姿を見ている時は忘れることができた。
それに、どれだけ、救われたことだろう。
二塁上の君が 画面の下端で
うろちょろするのに くすぐられる
二塁を離れたり、戻ったりする彼が画面の下のほうに映る。その後ろ姿を見ているうちに、笑顔になる。
野球を楽しんでいる様子が、よく伝わってくるから。
カメラマンのポーズで ベンチでふざけてる君に ハートをとらえられる
ベンチでのパフォーマンスも見逃せない。
ホームランの後に、仲間にカブトをかぶせて、カメラで撮るマネをする。
そんな彼に、また、心をつかまれる。
負けた日に 遠く離れている君と
同じ気分を共有している
今日、エンゼルスは負けてしまった。
けれども、いま、彼と同じような気分でいるのだと思うと、ちょっと心が、あたたかくなる。
記録ずくめのスーパーマンであるけれど 歳をとるのは 年にひとつ
何においても、記録的な数字を生み出している彼だけど、歳を重ねるのは年にひとつだけ。
私たちと同じだ。
アメリカで 様々な国の仲間らと
共にたたかう 終戦記念日
試合の後、日めくりを見たら、八月十五日だった。
あの頃には想像もつかなかったであろう時代を今、私たちは彼と共に生きている。
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【追記】
最近の大谷から、ニ首と一句。
全国の小学校に寄贈するグラブで
君がまく 夢の種
ソリに乗り 鈴鳴らしながら来る
グラブ
グラブはめ 校庭に出た子供らが
受け取る思い 「野球しようぜ!」
そして、今日の大谷から、一首。
手を取りて 分かち合いたるMVP
君をそばで支えている犬と
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