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【エッセイ】 AirPodsが片方なくなって「a AirPod」になってしまった

悲劇が起きたのは今日の19時15分でした。

美容院で髪を切ってもらい、音楽を聴きながら帰ろうと思っていたときです。

左ポケットに手を突っ込み、私はすぐに気が付きました。イヤホンが1つしかない。取り出してみると、やはり左ポケットにはAirPodsが片方しか入っていませんでした。つまりは「a AirPod」。

あぁ、なぜ私にこんな悲劇が。なんの報いを私は受けているのですか……。私は一気に悲しみの渦に引き込まれました。

しかし落ち込んでいる暇はありません。私は、スマホでライトを起動させ、美容院から家まで道に落ちていないか探すことにしました。

しかし、街路樹、路側帯、ドブ、くまなく探しても見つかりません。

そうだ、交番へ行こう!とも思いましたが、それは辞めました。なぜなら、道にAirPodsが落ちていても私なら届けないな、と思ったから。

だって、知らない人の耳に入っていたなんて、なんだか汚くて触りたくないし。

もし私がAirPodsが落ちているのを見かけたら、きっと横にいる友人に報告します。

「見て、AirPods落ちてる。あ、でもでも、片方しかないからAirPodsじゃなくて、a AirPodか!」

そんな下らないことを言って、小石の如くどこかへ蹴飛ばすでしょう。

だから交番へ行くのは辞めました。

それと、AirPodsを落として気がかりだったのは、野良猫が誤飲していないか、ということです。

だって、人間ですら、AirPodsを見て「うどん」と見間違うくらいですから、猫にはその区別がつかないでしょう。

しかし、どんなに探しても見つかりませんでした。

ここで不幸中の幸い、とでも言うべきか、朗報が舞い込んできました。どうやらApple社は、AirPodsを片方落とした人のためにバラ売りをしているそうなんです。

そして私は、まぁ接続不良とかも続いてたし、丁度良かったのかなと、なんとなく自分を納得させていました。

そのときです。

私が買い換えを決心したそのとき、なんと、目の前に「a AirPod」が現れたのです。

歩道の真ん中に「a AirPod」が悲しげに落ちていたのです。僕はまだまだ使えるよ、買い替えなんてしないでよ。私にはそんな声が聞こえてきました。

私はすぐに駆け寄って、「a AirPod」を拾い上げました。間違いない、僕のものだ。そして、すぐに耳にはめってやりたかったのですが、汚そうだったので、それは断念。

家に帰ってから、念入りにアルコールで消毒し、私はAirPodsをつけました。このときの感動といったら、私が初めてSEKAI NO OWARIを聞いたときに匹敵します。

そして私は今、AirPodsでスターライトパレードを聞きながら、このエッセイを書いています。

ここでふと思ったのですが、AirPodsは母音で始まるので、「a AirPod」ではなくて「an AirPod」でしょうか?いや、というかそもそも、AirPodsは固有名詞だから冠詞はつけない?

何だか訳がわからなくなってきたので、ここで記事は終わらせたいと思います。とにかく見つかって良かった。
それでは皆様、御拝読ありがとうございました。

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