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【旅する】函館レポ②少年刑務所編

おはようございます☀️
社会福祉士のぽこです。
もっと気持ちよく働いて、明日の自分にワクワクしよう!」がコンセプト。
このままでいいのかな〜なんてモヤっとする毎日から、ワクワクする毎日へ。
障害者福祉の現場から、時々ヨガの視点から、生きやすくなるための気づきをお届けしています。

◇函館レポ②函館少年刑務所

今日は、昨日に引き続き函館レポをお届けします。

今日は函館の旅レポではなく、函館少年刑務所の視察について。
なかなか日常生活の中で見る機会のない施設です。
普通に生きていれば、あまり気にならない施設でもあるかと思います。

でもわたしは視察を通して、少しでも多くの人が刑務所に興味を持ってもらいたいと強く思いました。

自分とは関係ないと思われがちな塀の中。
塀の中の生活の紹介と、わたしが感じたことについてまとめます。

◇函館少年刑務所について

まず、少年刑務所という施設について簡単に振り返ります。

法令に違反し、裁判判決で、刑罰に服することとなった者を収容する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/少年刑務所

刑務所、拘置所と並ぶ刑事施設の一つです。
少年刑務所には男子の受刑者が入所します。
女子は成人の女性と一緒に女子刑務所に入るため、女子専用の少年院はないそうです。

所轄は法務省
全国には函館、盛岡、川越、松本、姫路、佐賀の6箇所だそう。

恥ずかしながら、実際に視察を決めるまで、少年院と少年刑務所の違いもわからない状態でした。
少年院なら近くにもあるな・・・なんて気軽に考えていましたが、少年院は教育する施設、少年刑務所は刑を受ける施設です。

刑の執行はもちろん、改善、更生、社会復帰を目指す少年刑務所。
就労支援のプログラムや社会復帰のための関わり、工夫が凝らされているのがよくわかりました。

函館少年刑務所はかなりの広さ。
簡単に一周見学するだけでも1時間弱かかったと思います。
収容人数が多いこと、農場を持っていることもあり、全国の中でも規模が大きい部類です。

○誰が入っているの?

入所者は少年だけなのかと思いきや、最高齢は84歳とのこと。
初犯の受刑者を受け入れるための施設とのことで、高齢になってから初めての犯罪となると、その年齢でも函館少年刑務所の対象になるのだそうです。

罪名としては、多い方から窃盗→詐欺→強盗→性犯罪だそう。
先ほどの84歳の受刑者の罪名は窃盗でした。

○受刑者の生活

受刑者の朝は、6:40に始まります。
起床し、朝食を終えると7:40〜作業に入る。
昼食〜夕方まで作業をして、その後は夕食と自由時間になります。
テレビを見ることができたり、新聞を読んだり。
そんな余暇時間を過ごして、21:00に消灯です。

作業の時間には、体育のような運動の時間があったりもします。
また、矯正プログラムなどの講義、職業訓練もあります。

この作業時間ですが、法律で決まっているとのこと。
懲役受刑者は1日8時間以内の作業に就くこと、というのが法律で決まっているのです。
函館少年刑務所での作業内容は、木工、縫製など。
他にもあるかもしれませんが、わたしたち見学者が確認できたのはその二つです。

縫製では、マル獄シリーズ製品の作成を行っていました。

函館に行った際は、ぜひ直接手にとってみてください。
静かな作業室で、受刑者が丁寧に細かな作業をしている様子は驚きでした。

○働くために

函館少年刑務所では、各種職業訓練を行なっています。
ビジネスのためのパソコンスキルから、CADや溶接といった工業系の科目、自動車整備、理美容など幅広く設定されています。
その中に、函館ならではの職業訓練があります。
それは、船舶の訓練です。

この船舶の資格(海技士、無線技能士など)ですが、国内でも需要が多い/成り手が少ない状況です。
そのため、受刑者であっても高収入になりやすい。
船の機械を動かすといった専門的な知識、数学的な知識など、かなり難しい内容の訓練で、全国でも函館少年刑務所だけが行なっている職業訓練です。

◇わたしが感じたこと

ここからは、わたしが感じたことについて。
前提として、救護施設(精神に障害のある生活保護受給者の入所施設)の相談員という立場で働いている、ということを念頭においていただければと思います。

○障害がなくても居場所がない

そもそも、障害の有無に関係なく居場所がない人がいるという現実にぶつかりました。
私は日々、精神障害または知的障害のある方を対象に支援しています。
救護施設への入所を希望される方の中には、受刑者もいます。
何度も軽犯罪を繰り返している累犯障害者と呼ばれる人たち。
一人での地域生活が成り立たず、窃盗で捕まることを繰り返す人がとても多いです。

そんな人を受け入れていると、障害者が犯罪をしなくてもすむ社会について考えることがあります。
ですが今回の視察を通して、犯罪しなくてもすむ社会を必要としているのは、障がい者だけではないのだということを痛感しました。

障害者手帳を持っているわけではなかったり、明確な診断を受けている人ばかりではありません。
受刑者の多くに、それぞれ知的な弱さはあるかもしれません。
しかしながら、おそらく知的レベルは定型発達と変わらないけど、他の理由で罪を犯してしまった人がまだまだたくさんいるのではないかと思います。

一度罪を犯して受刑者となると、その後の社会復帰がとても困難です。
救護施設にいると、受刑によって更生する人とそうでない人がいるのがよくわかります。
二度同じ罪を犯さず生き直している人もいますが、悲しいことに多くの人は繰り返す。
窃盗で捕まり帰る場所がなくなって、救護施設に身を寄せたのに結局また盗んで退所になる。

そんな時、私は「この人にとって安心できる居場所にならなかったんだろうな」と思います。

ここで暮らす未来や、その後の将来について前向きに考えられなかったのかもしれません。
それが知的な弱さによるものなのか、今までの環境によるものなのかわかりませんが、少なくとも支援の手を掴んでくれることはありませんでした。

少年刑務所で数百人の受刑者、それもその多くがまだ若い少年である実態を見て、居場所を失いつつある若者がたくさんいるんだと実感しました。

○加害者支援という矛盾

もう一つ感じたのは、加害者支援の難しさ。
今回アテンドしてくださったNPO法人育て上げネットさん。
この法人では、罪を犯した若者の社会復帰支援を行なっています。

このような活動を通して出てくる意見が、「罪を犯した人を支援するなんて」といった、彼らを責める声です。
先ほどあげた罪名を振り返っても、窃盗に詐欺、強盗に性犯罪。
とても「ごめんね」「いいよ」の世界ではありません。

少年刑務所の中を回りながらつい「こんなに頑張っているんだから、社会でももっと広く受け入れなければ」と支援の視点に偏ってしまいます。

しかし忘れてはいけないこと。
それが、彼らが罪を犯した加害者だということは、紛れもない事実だということです。
そしてその事実には、そこに必ず被害者がいるという事実もまた隣接します。
加害者を受け入れるということは、ある意味被害者を突き放すことにもなりかねません。

加害者を支援しながら、被害者を守る。
この矛盾が、一度罪を犯した人の社会復帰を支援する上でついてまわります。

私はこの難しさについて、被害者と加害者と第三者の三つのフェーズで考えるべきだと思っています。
今日は少し長くなった&皆様には少年刑務所についてもっと知ってもらいたいので、この辺りで一度終わりにします。

ぜひ上記のリンクたちを開いてみて、少年刑務所について、少年を支援する人たちについて知ってください。

そして、何か感想を持っていただきたいなと思います。

ということで、今日は函館レポ②:少年刑務所視察編をお届けしました💐
また次の記事で、続きを書こうと思います。
またお待ちしております。


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