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【支援する】入院者訪問支援事業について

おはようございます☀️
社会福祉士のぽこです。
人生の足取りを軽くして、もっと明日にワクワクするような内容を発信しています💐
「この仕事は好きだけど、精神的にしんどいな・・・」
「朝起きるのが憂鬱。1日のスタートにワクワクしない。」
そのモヤモヤを、ワクワクに変えるための気づきをまとめたブログです。


◇入院者訪問支援事業について

今日のテーマは入院者訪問支援事業です。
先日、この事業の担い手になるための研修に参加してきました。
今日はその事業に対して思うこと、そして研修に参加して得た気づきなどについてお話しします。

また、最初に申し上げますが、結果的に私はこの事業の担い手にはならないことを決めました。
その理由についてもお話しします。

・どんな事業なのか

まず、この事業は厚生労働省によるものです。

都道府県等を中心として、市町村長同意による医療保護入院者等を対象に、精神科病院を訪問し、生活に関する相談等に応じて、患者の体験や気持ちを丁寧に聴くとともに必要な情報提供を行う支援体制を構築する。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/chiikihoukatsu_00003.html

前提として、市町村長同意による医療保護入院について少しお話しします。
精神科病院への入院形態は、大きく分けて3つあります。

1つ目は、任意入院
入院する本人が「私には治療が必要なんだな。入院しよう」と同意して入院することです。
一般的な入院形態ではありますが、精神科医療においては本人の同意がなくても入院の必要がある場合が多々発生します。

その場合、以下の2つの形態で入院することになります。

2つ目の形態である、医療保護入院
これは、本人が「僕には治療なんていらない!」と言っていても、家族が必要性を感じて入院に同意すれば入院できる形態です。
もちろん3ヶ月までという期限付きですが、本人が内服拒否、治療介入拒否で精神状態が不安定になっている場合に使われます。

この時、同意してくれる家族がいない人はどうなるのか?
治療されないまま放置なのか?
そんな問題を少し解決しやすくしてくれたのが、市長同意制度です。

住んでいる地域の市長が、家族の代わりに同意する制度です。

3つ目の形態は措置入院
細かくいうと緊急措置入院というものもありますが、イメージとしては措置入院の緊急バージョンだと思っていただければ大丈夫です。

措置入院は、自傷他害行為がある場合に、家族の同意がなくても入院できる制度です。
精神的に不安定になり、暴力行為など自傷他害行為をしている人を見て(または受けて)警察に通報→行政職員と精神科医で必要だと判断されれば誰の同意もなく入院となります。

今回の事業の対象者は、市長同意によって医療保護入院になった方々です。

・なんのための事業か

この事業の目的は、医療保護入院=自分の意思とは裏腹に入院している人の気持ちを聞き取ること。
また、家族の同意で入院した人と比べて、純粋に自分の気持ちを聞き取ってくれる人がいないという状況下になりやすい市長同意入院者。
この人たちの精神的サポートを担うのが目的です。

家族等がない場合の市町村長同意による医療保護入院者については、医療機関外の者との面会がなく、本人の孤独感や自尊心低下が顕著となり、人権擁護の観点から望ましくない。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/chiikihoukatsu_00003.html

サービスに繋げて社会復帰を促すとか、地域生活を斡旋するとか、そういった具体的な動きが目的ではありません。
あくまでも、人権擁護のために話を聞いてもらう機会を提供しよう!という事業です。

・訪問者養成研修に参加してきた

ということで、救護施設の相談員として養成研修に参加してきました。
研修の中では、普段の支援とは違う「ただ、聴く」という姿勢を学びました。
またその内容については、改めてシェアしますが、簡単に。

日頃の支援では「地域生活に繋げるために」「救護施設で生活を整えてもらうために」説得することが多い立場です。
利用者の動機づけや、気持ちをうまく運ばせるような関わりをしている中で、どれだけこの「ただ、聴く」ができていただろう?と思います。

相談に乗ってもらいたいのではなく、とりあえず話を聞いてほしいと感じている人が大勢いるということに気がつきました。

そしてその研修を経て、「私はこの事業に参加しない」という決断をしました。
理由は一つです。
それは、完全無償のボランティアになるから。

・費用の話が何もなかった

この研修の途中、ずっと気になっていたことがあります。
それは、誰も費用の話をしないことです。
対象者に対して「あなたを訪問することで、お金はかかりませんよ」と伝えることはマニュアル化されています。
しかし、もちろん実際には費用がかかる。
その負担者について何も明記されていないし、誰も聞かないことに疑問を感じていました。

研修が終わる直前に「業務として訪問していいのか?」と質問したところ、研修のファシリテーターをしていた行政職員はハッとした顔をして
「確かに・・・確認します」と一言。

むしろ今まで誰からも質問がなかったのが驚きでした。
研修参加者はみんな、相談支援事業所や通所サービス、病院などで勤務している医療福祉職者です。
無償のボランティアという記載はなく、「事業の担い手として」とだけ明記された募集要項。

ほとんどの人が、無償ありきできているわけではないと思います。

にもかかわらず、「訪問時は公共交通機関を使ってください」「どこの職員か名乗らないでください」「具体的なサービスには繋げないでください」といった注意点。

交通費は誰が負担するのか?
サービスに繋げてはいけないのなら、施設職員としてメリットはなく、業務の中で行くのは難しいのではないか?
であれば、休みの日に行くのか?無償で?

そういった疑問が出ても不思議ではないと思うのですが、私に福祉の心が足りないのでしょうか。😂

・救護施設の職員として、自分で訪問することにした

ということで、上司と相談した結果、今回の事業には参加しないことにしました。
しかし今回の研修で、「話を聞いてくれる存在」を失いがちな入院者が大勢いるということはわかりました。

そのような入院者に対して、救護施設の職員としてできることはたくさんありそうです。
自ら救護施設の職員として病院に出向き、退院意欲を失ってしまっている人はいないか?地域移行について話したがっている人はいないか?とフィールドワークしていくことはできます。

私は、そのような形で対象者に貢献していこう。
そう思っています。

皆様だったら、この事業の担い手になりますか?
よければコメントで意見を教えてくれると嬉しいです。
それでは、また次の記事でお待ちしております💐


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ぽこ【社会福祉士】時々【ヨガ】
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