辛さをぎゅっと抱く雨の日、コーヒーはいかがですか
辛抱という字は、辛さを抱く。
だから我慢と辛抱は、ちょっと違う。少しばかり苦しくても、自分の力でぎゅっと抱きしめればいいんだって思えば、心が軽くなるような気もします。
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親しい人との距離がある日々は、嫌でも自分を見つめ直す時間になります。
あんな楽しいことがあった、と思い出すこともあれば、
ずいぶんと自分勝手に過ごしていたな、と反省することもあります。
ある雨の日には、この部屋から飛び出して「ごめんね」と言えない辛さに、心が割れそうになることもありました。もしかしたら私が勝手に謝ることはある意味で身勝手なのかもしれないと、ごめんねの気持ちを一緒にぎゅっと抱いて、丸くなって眠りにつく。
そんな日だってありました。
でも、ふと目覚めてカーテンを少し開けると、4月とは思えないような強い日差しが頬に差すんです。
よく寝たな〜と伸びをすると、いつの間にか抱きしめていたはずの辛い気持ちはどこかへ行ってしまいました。
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雨の音を聴きながらコーヒーを淹れていたら、そんなお話を思いつきました。
もしかしたら、つくり話じゃないのかもしれません。
辛抱の夜も、手放す朝も、きっと誰にでもありますよね。それを繰り返しながら私たちは日々を重ねていくのだろうと思っています。
今日は、あったかいコーヒーがおいしい雨の日。
一杯をゆっくり飲みましょう。
言葉で、日々に小さな実りを。そんな気持ちで文章を綴っています。