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「生きる」ってどういうことだろう?

もう少しポジティブな理由または動機から、「生きる」ことについて考えたかったとも思います。

でも、アメリカのジョージ・フロイドさんが亡くなった事件を知って、改めて私にとって「生きる」こととは何かを考えてみたくなりました。

「生きる」という当たり前に見えることは、どんな要素を持っていてどんな望みを含んでいるのか。自分が望んでいる「生きる」を虐げられている人がいるとしたら、その事実と自分はどう向き合えるのか。

絶望するつもりはありません。ただ、事件をただのニュースにしてしまうのではなくて、変化のはじまりにしたい。そのために、少し立ち止まって考える時間が必要かなと思いました。

また、今回「生きる」ことについて考えたいと思ったのは、greenzの「いかしあうつながりデザインカード」が手元に届いたから。はじまりの問いである「生きる」ってどういうことだろう?のカードを見て、今日はじっくり向き合ってみようと思いました。

「あなたにとって、”生きる”って何?」

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この問いを見たとき、なんて抽象的なんだろうと思いました。幸せに生きるとか、正しく生きるとか、そういう形容詞がないので、そもそも「生きる」をどう捉えるかから考えないといけません。

私は、生きることを全力で肯定したいと思っています。
たとえ人が生きているだけで様々な問題を引き起こしていたとしても、全員いなくなればいいとは思いません。生きることは素晴らしいし、美しいと思う。

だからまずは、”生きる”を「生きていてよかったと思うような”生きる”」として考えてみようと思います。

なんとなく、ポンポンと頭に浮かんだことをキーワードにしてみました。

笑顔でいる、手をつなぐ、自然になかにいる、つくる、今にいる、食べる、呼吸をする、伸びをする、散歩をする、心動く、大切な人を見つめる、語り合う、笑いかける、本を読む、人の感情や考えを知る、誰かや何かを笑顔にする

これらのキーワードを思い浮かべるとき、私の心はほんのりと温かくなって、ちょっと切ないような気持ちになります。

幸せ、という言葉とは少し違うような気もします。
充分に生きている、そんなニュアンスの方が合うような。

「どうしたら、”生きる”ことができる?」

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さて、次の質問です。

前半で”生きる”ことにおいて大切そうなキーワードは出したので、そのキーワードを叶えるためにどうしたらいいのか、考えてみます。

笑顔でいる:眉間にシワを寄せずに、リラックスして過ごす
手をつなぐ:誰かを引っ張るんじゃなくて、横に並んで歩く
自然の中にいる:本来の自然を守る。自然の美しさに目を向ける
つくる:つくってみよ、と口に出す。失敗しても大丈夫。つくる人を大切にする
今にいる:過去や未来より、今が一番楽しいと信じる
食べる:いのちに感謝して、おいしくいただく
呼吸をする:他の植物や海や山とつながっていると感じる
伸びをする:身体の声をきく
散歩をする:寄り道や回り道にこそちょっとした楽しみは落ちていると考える
心動く:感じられないほど疲れる前に、一呼吸する
大切な人を見つめる:PCやSNSよりもやさしい光があることをありがたく思う
語り合う:聞くことが始まり
笑いかける:自分の笑い声は聞くひとを幸せにするって信じる
本を読む:文字や知識を認識してくれる、この頭にありがとう
人の感情や考えを知る:本や映画やアートや旅は、触れた分だけ糧になるって信じる
誰かや何かを笑顔にする:生きてくなかで私に蓄積された何かを、最大限使う

書いてみて思っていることは、生きるって、こんなにも手間暇のかかることなんだっていうことです。

私の大切にしたい”生きる”は、思っていたよりもゆっくりしたペースが必要だったんです。ゆっくり歩いて、手をつなぐ。あらゆるものに対して、そういうペースを取り戻したいという気持ちになりました。

ゆっくりと歩く。それは覚悟をもった変化になると思う

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私は高校3年くらいの時から急に外の世界に出たくなって、勉強して知れば知るほど焦りが強くなっていきました。世の中には課題がたくさんあって、早く解決しないといけない、そのために私はもっと早く成長してもっと早く走れるようにならないと。

その時はそんな自分が好きだったのかもしれないけれど、いつも心のどこかで置いてきぼりな私がいました。

そんな時に出会ったのが、辻信一さん著書スロー・イズ・ビューティフルでした。

第1章でドネラ・メドウズさんの言葉を引用していて、その言葉はどれも心に刺さって涙が止まらなかったのを覚えています。

”もし、私たちがこんなゆったりとした生き方をしていたのなら、「世界を危機から救え」と私たちが言う、その「危機」なんてそもそも起こらずにすんでいたんじゃないかしら。ー(中略)ーエドワード・アビーがこう言ったことがあります。「大地を守るために闘うだけでは十分とは言えない。それよりももっと大事なことがある。それは大地を楽しむこと」。いい忠告でしょ。でも残念、今は忙しくてそれどころじゃない。「私には救わなきゃいけない世界があるんだから」、なんてね。”

ー『スロー・イズ・ビューティフル』第1章「もっとゆっくり、今を」p21,p24

世の中が早いスピードで回ることに対して、もっとゆっくりでいいじゃないかという声を最近目にします。スローライフや丁寧な暮らし、北欧のような幸福観を持とうと。

それはもちろん、私たち自身が痛みを感じているからだと思います。

ただ一方で思うのは、これまである意味「速かったおかげで」見て見ぬ振りをできた問題にも、スピードを落とすことになったら向き合わなければいけないということ。それも含めて、ゆっくり歩くことを選びたいと。

冒頭で挙げたジョージ・フロイドさんの事件は、日本に暮らす私たちにとっては想像がしにくいことだと思います。その上、何百年というアメリカの歴史を踏まえた上でこの事件を捉える必要があるという、難易度も高いし意見も言いにくい問題です。

でもこれだけはわかるのは、私は日本に生まれて、不自由なく差別なく暮らしていることを時々うしろめたく感じているということ。

このうしろめたさを、うやむやにしたくない。タイムラインを更新して違うニュースに飛びつく前に、なんでうしろめたいと思ったのかを、時間をかけてちゃんと自分に聞きたい。

それが、ゆっくり歩くことに含まれていると思うからです。

今日考えてみた私にとっての”生きる”を虐げられている人がいたとしたら、不安や恐れで”生きる”が後回しになってしまう人がいるなら、そのことを受け止めて、できることを探したい。何ができるかわからないし、何もできない自分に悲しくなるかもしれないけれど、それでも歩くことをやめないでいたい。

スピードを落とすことは、資本主義や経済的には負けを意味すると言う人もいるかもしれないけれど、本当の意味で地球や人が”生きる”ための、覚悟をもった変化になるのではないかと思っています。

・・・

「あなたにとって、”生きる”って何?」から、ずいぶん遠いところまで来てしまいました。笑

もっと気軽に考えていい問いだと思うのですが、最初くらいがっつり考えてみてもいいですよね。今日は雨だし、月曜なので。

みなさんにとって、”生きる”ってどういうことですか?







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森野日菜子*ライター
言葉で、日々に小さな実りを。そんな気持ちで文章を綴っています。