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「キライ」という感情について
「嫌い嫌いも好きのうち」とはよくいうけれど、本当のところはどうなのかなと思う。恋愛関係においてはよくありがちと思うが、これが仕事面でおきると本当に嫌いなんだろうと思う。
しかし人のことを「嫌い」と思う感情については、実はよくわかっていない。ただ食べ物の好き嫌いで考えると「嫌い」はわかりやすい。生理的に無理ということである。
人の「嫌い」というのも同じだと思うが生理的に無理という人には出会ったことは正直ない。だからそういう意味では人のことを「嫌い」と思ったことはないと思う。こういうと仏のような人と思われそうだけれどそんなことはない。
「嫌い」ではなく「苦手」な人はものすごくたくさんいる。嫌いの正体は「苦手」なのかもしれない。
こればかりは苦手を克服する以外は好きになることはなく、時々ふっとした瞬間に好きになることもあるが、そんなことは10年に1回くらいだろう。大抵は一度苦手と思ったらずーっと苦手なんだろうと思う。
仕事での付き合いの場合は苦手といっても避けて通れないので、勇気を振り絞り話にいったりすることもある。たいてい自分が苦手と思っている人は相手も自分のことを苦手と思う。これは鉄則である。なので表面上は仮面をかぶり苦手な相手と接することにしている。本当に仮面をかぶるわけではない(わかっている)。とはいえ多分バレているだろう。
好きというのは言葉で伝えることはある。それはプロポーズかもしれないしLIKEという意味かもしれないが、大抵は嬉しい言葉であり言う方も言われる方も幸せな言葉だと思う。
ただ「嫌い」という言葉を誰かに伝えることはほとんどないと思う。それは傷つける言葉とわかっているから普通は遠回しに言ってみたり態度で表したりするくらいで直接面と向かって「嫌い」なんて言わないと思う。
人生で一度だけ面と向かって「嫌い」と言われたことがある。それもほとんど面識が無かった部長からである。飲み会の席だったと思うが「ずっとお前のことが嫌いだ。気に食わない」と言われたことがある。まあほぼ面識がないので私が何かしたというわけではなく、単に私の直属上司と仲が悪かっただけだったのではないかと推測する。人生で初めて言われた言葉だったので一瞬戸惑ったが、なんとなく面倒だったので「それは知らなかったです」と返し、それ以降二度と話すことがないまま部長は異動になった。
いくら面識がなかったとしても「嫌い」と言われるのはものすごくダメージがある。
「嫌い」は口にだしてはいけない言葉ではないかと思う。