たたむ で変わる暮らしの豊かさ
何でもしっかりたたむ。きれいにたたむ。これは心も暮らしも豊かにすることだと思う。洗濯ものはもちろん、紙袋やビニール袋とかも。使ったブランケットはしっかりたたんでソファーに置いておく。それだけで心地よくなる。
「たたむ」といえば、祖父母を思い出す。祖父母は床屋を営んでいた。お店で使うフェイスタオルを洗い、たたんでいる姿はいつものこと。一緒にタオルをたたんだことも鮮明に覚えている。
端と端を揃えること。折りたたむごとに手のひらでサッとタオルを伸ばすこと。ひとつひとつの動作をきちんとやる。そう教わりながら手を動かし、きれいにたたまれたタオルが山になっていく。なぜか、立派な大人になったような気分になって、誇らしい気持ちになった。
祖父母の家では、職業的な部分もあるのか、スーパーのレジ袋やごみくず入れ(新聞の折り込みチラシを折ってつくったもの)なんかも、いつもきれいに折りたたまれてた。私は、それがとても好きだった。
大人になった私は、洗濯ものをささっとたたんだり、使ったブランケットをそのままの形でソファーに残すような雑さもあるけど、「しっかりきれいにたたむ」ということをしたとき、今でもたまに祖父母を思い出すほど、この記憶が色濃く残っている。