シナリオの墓場1
私もスクールで出したシナリオの課題をここで成仏させようと思います。
少しでも興味持っていただいた方、ぜひ見てやってください。
お時間ある方は感想・批評を残していただけると大変ありがたや。
「魅力ある男」という課題で、主役を魅力ある男にしなければならなかったのに、まさかの準主役にしてしまうという失態。
でも、男女関係なく人として尊重し合えることが大事だよね、というテーマは伝わったのではないかと思います。
PDFを添付していますが、ダウンロードはギガ喰うとかウイルスが怖いって方は、以下にベタ張りしてるのでそちらをご覧下さい。
句読点のぶら下げ機能と1時間半も格闘していた私が、ファイルにウイルスなんぞ忍び込ませられるわけないですけど。
「男女差別研究部」
○人物
花森桜子(15)上野高校1年生
郡山怜(15)桜子のクラスメイト
竹中優弥(15)桜子のクラスメイト
梶村和子(50)上野高校の教師
花森貴弘(50)桜子の父
花森陽子(48)桜子の母
女子A
女子B
女子C
①上野高校・1年1組教室
花森桜子(15)、席に座り『女性の権利』というタイトルの本を読んでいる。
桜子の隣の席に座る郡山怜(15)、竹中優弥(15)と談笑している。
クラスの女子たち、郡山を遠巻きに見て、色めき立っている。
女子十数名が入部届を片手に、竹中を押しのけて、郡山の周りに集まる。
女子A「ね、入部届って今日までだよね。郡山君、どの部活に入るのか教えてよ」
女子B「私たち、郡山君と同じ部活に入ろうと思って」
期待をもって郡山を見つめる女子たち。
郡山、にこりと微笑んで、
郡山「君らみたいな浅ましい豚どもと一緒に部活することを思うと反吐が出 そうだから、どこにも入らないつもりなんだよね」
しんと静まりかえる教室。
桜子「(ぼそっと)ミソジニストめ」
②同・職員室(夕)
桜子と、ジャージ姿の梶村和子(50)。和子、プリントを見て唖然としている。
和子「男女差別研究部・・・・・・?」
桜子「社会のあらゆる面で未だにはびこっている女性差別を研究し、学校内外の女性差別を撲滅する為の部活です」
困ったように頭を掻く和子。
和子「まあ、いいことなんだけど・・・・・・新しく部を設立するには部員が5人必要なのよ。こんな部活にあと4人も入るわけ――」
郡山の声「あと3人です」
桜子の横に郡山が現れる。
郡山「俺も入るんで。男女差別研究部」
爽やかに微笑む郡山。
和子「(甘えた声で)本当? ならいいけど」
驚いて郡山を見つめる桜子。
③同・中庭(夕)
校門に向かって並んで歩く桜子と郡山。
桜子「あなた、ミソジニストでしょ」
郡山「は? 何それ?」
桜子「性別を理由に女性を嫌悪する男のこと。女性差別の一種」
郡山「お前フェミなの? めんどくせーな」
桜子「フェミニスト。その略称も差別だから」
郡山、ため息をつく。
桜子「女性を豚呼ばわりするような男を私の部に入れるつもりはない。どの部活にも入らないんじゃなかったの?」
郡山「教室でのことか。だってあいつら自分勝手だろ。こっちの迷惑も考えないで、一緒の部活に入るーだなんて」
桜子「モテるんだからしょうがないでしょ。男なら我慢しなさいよ」
郡山、桜子に入部届を押しつける。
郡山「それ男性差別だろ。俺は男性差別を撲滅する為に男女差別研究部に入りたいの」
郡山、校門に向かって走り去る。
桜子「男性差別? 意味わかんない」
④花森家・食卓(夜)
桜子、花森貴弘(50)、花森陽子(48)、無言で夕食を食べている。
食事を終えた花森、立ち上がる。
花森「風呂」
陽子「ごめんなさい、まだ・・・・・・」
花森「女なんだから家事くらいちゃんとしろ」
部屋を出ようとする花森。
花森を睨み付ける桜子。
桜子「(ぼそっと)これだから男は嫌い」
⑤上野高校・昇降口(朝)
登校し、靴を履き替える生徒たち。
郡山の靴箱の扉の4辺が、《KEEP OUT》と書かれた立ち入り禁止テープで閉じられている。扉の中央には『開けるな』と書かれた貼り紙。
郡山の靴箱を見て唖然とする桜子、郡山の入部届を持っている。桜子、爪で立ち入り禁止テープを剥がし始める。
登校してきた郡山と竹中、桜子を見つけて慌てて駆け寄る。
竹中「花森さん、何してんの?」
桜子「郡山君に入部届返すの。彼に直接渡すのも嫌だから、靴箱に入れとこうと思って」
郡山「だからって勝手に開けんなよ」
桜子の手から入部届をひったくる郡山、桜子を押しのけ、靴箱のテープを剥がし、上履きに履き替える。
桜子「こんなことしてたら、女子がラブレター入れたくても入れられないじゃない。ちょっとは女子の気持ちも考えなさいよ」
郡山「自分の気持ちばっかり優先して俺の気持ち考えられない奴に言われたくねーよ」
郡山、しかめっ面で校舎に入っていく。
きょとんとした顔で立ち尽くす桜子。
竹中、桜子の腕を引っ張り、校舎1階の廊下へ連れて行く。
⑥同・廊下(朝)
人気のない廊下に、桜子と竹中。
竹中「中学のときおまじないが流行ったんだ」
桜子「おまじない?」
竹中「切った髪の毛を束ねて郡山の靴箱に入れるっていう。郡山が、ショートカットが好きって言った次の日から」
桜子、ぞっとして言葉を失う。
竹中「そうすれば郡山と両想いになれるんだと。ばかばかしい。毎朝靴箱に知らない女の髪の毛入ってる郡山の身にもなれよな」
桜子「嫌なら先生に言えば良かったじゃない」
竹中「言ったよ。そしたら、年頃の女の子はそういう生き物だから大目に見てやれ、それがモテる男の宿命だって」
桜子、気まずそうに、
桜子「でも、やっぱり・・・・・・」
竹中「男だから我慢するべきだって?」
言葉を詰まらせる桜子。
竹中「男だからどうとか女だからどうとかじゃなくてさ、人として、郡山のこと見てくれないかな」
桜子、苦悩の表情でうつむく。
桜子「(小声で)私、なんてことを・・・・・・」
⑦同・昇降口(夕)
帰宅する桜子、暗い顔で昇降口に来る。
和子と女子Cが郡山の靴箱の前ではしゃいでいる。
女子C「先生、これ剥がしてもいいですか?」
和子「いいんじゃない? 靴箱にラブレターなんて、これぞ青春って感じだし!」
女子C「ですよね!」
郡山の靴箱に貼ってある立ち入り禁止テープを意気揚々と剥がし始める女子C、その手には封筒が握られている。
桜子、怒って和子と女子Cに近づく。
桜子「ちょっと、何してんの!?」
訳が分からない様子の和子と女子C。
帰宅しようと昇降口に来た郡山、桜子に気づいて靴箱の陰に隠れる。
桜子、怒りで興奮している。
桜子「開けるなって書いてるじゃない。そんなことしたら郡山君が傷つくってどうして分からないの?」
女子C「でも、直接渡すの恥ずかしいし」
桜子「それはあなたの勝手よ。郡山君の意図を無視して良い理由にはならないわ!」
郡山、桜子の言葉を聞いている。
女子C、泣き出す。
女子C「ひどい、一生懸命書いたのに・・・・・・」
和子、女子Cの背中を優しくさする。
和子「かわいそうに・・・・・・」
和子、桜子を睨み付け、
和子「花森さん、正義感強いのは結構だけど、あなたこそ、そんな言い方したらこの子が傷つくってどうして分からないの?」
桜子、図星を突かれて沈黙する。
和子「自分の感情のままに突っ走りすぎ。もっと他人の気持ちも考えて行動しなさい」
涙目になる桜子。
桜子「私、また・・・・・・」
郡山が桜子たちの前に現れる。
桜子、驚いて郡山を見る。
郡山「俺の気持ち完全無視する先生に比べたら、花森さんの方がよっぽど他人の気持ち考えてくれてると思いますけど」
面食らう和子。郡山、女子Cに、
郡山「手紙ありがとう。でも、今は誰とも付き合う気ないんだ。ごめん」
女子C、悲しそうに笑って、
女子C「そっか・・・・・・」
桜子、郡山の方を見ることができない。
⑧同・中庭(夕)
校門に向かって並んで歩く桜子と郡山。
桜子「今朝はごめん。郡山君のことも知らないで、偉そうなこと言って」
郡山「中学での話、竹中から聞いたんだ?」
桜子「うん。あなたがどう思うか全然考えてなかった。本当にごめんなさい」
落ち込む桜子。
郡山「謝るのは俺の方だよ。偉そうなこと言っといて、俺こそ花森さんがどう思うか全然考えてなかった」
郡山、鞄から入部届を取り出す。
郡山「花森さんが嫌がってるの知ってて、無理に入部しようとした。ほんと、ごめん」
桜子、郡山の入部届を奪い取る 。
桜子「部員あと3人。どうやって集めよっか」
呆気にとられる郡山。
桜子「男とか女とか関係なく、相手を尊重することが大事。男女差別研究部では、その考えを学校内外に広める活動を行います」
桜子、郡山を見て微笑む。
桜子「郡山君と一緒なら出来る気がするの」
郡山、思わず笑みがこぼれる。
桜子「一緒に撲滅しよう。女性差別も、男性差別も」
桜子と郡山、拳と拳を合わせる。
並んで歩く桜子と郡山の後ろ姿。
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