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現場見学会(史跡盛岡城三ノ丸北西部石垣修復等工事)

 盛岡城跡公園で今年(令和4年)3月から2024年11月まで行われる工事です。

 9月16日(金)に勤務校の1年生と見学をしてきました。

 盛岡に住み延べ22年となりますが、盛岡城跡公園の石垣を間近で観察したことはありませんでした。

 工事の目的は以下のとおりです。

地震や経年変化などの影響により、築石の孕みや緩み、さらには間詰石の欠落等が発生し、石垣が変位している三ノ丸北西部北面石垣の修復を行います。

盛岡市のHPより

 通常の土木工事と異なるのは、対象が史跡であるということです。

 築石の1つ1つにナンバリングをし、丁寧に外していきます。
 同時に、裏込め(築石の後ろにある法面)が崩れないように、モルタルや鉄筋でアンカーリング(固定)していきます。

裏込めには安定のため一時的にモルタルを吹き付けています。
モルタルが崩れないよう、鉄筋でアンカーリングしています。

 史跡であるがゆえ、有識者の見解による調査も同時に行われます。
 それに伴って工程が変化するそうです。

 全国でも数少ない石垣の職人さんは、石と対話し、石の声を聞き、工事を進めておられました。

 築石(大きいものでは3t越えのものも)1つを外すにも、通常の玉掛け作業の注意事項に加えて、材質が一様ではないこと、経年変化により割れてしまうことなどを配慮しなければならなく、とても繊細な判断と作業が要求されるとのことでした。

ナンバリングした築石を慎重に玉掛け作業
クレーンによって運ばれる様子

 驚いたことがあります。
 修復を終え築石を戻す際、裏込めのモルタル等は撤去しなければ史跡として成り立たなくなってしまうのだそうです。
 素人としては撤去しないで法面保護の目的で残した方が良いと思うのですが、そうしてしまうと現代の石垣という扱いになって史跡としての価値が消えるとは。。。
 歴史を保存していくのは大変な苦労なのだなと実感しました。

 「石垣を完成させた昔の人々も素晴らしいが、それを修復して守り、後生に残していく技術者もまた実に魅力的だ。」

 そう感じた現場見学会でした。

 生徒もとても興味深く見学し、たくさん質問をしていて嬉しく思いました。

 この見学会のきっかけは、求人で学校を訪れている柴田工業株式会社様にお願いをして実現したものです。
 見学した生徒が就職し、将来のインフラ整備を担う人財になってくれればこの上ない喜びです。

 最後に、企画してくださったに柴田工業株式会社様に心より感謝いたします。


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