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名刺にお金を掛けるべきか、削るべきか。その答えは「掛けた方がやはり良い」です。:店を始めたい人へのメッセージその6

どれほどカジュアルな空間にあっても、名刺をお渡しする瞬間はフォーマルです。

だから名刺もフォーマルスーツと同じく、フォーマルなものでなくてはならないと思います。
チープな名刺だと、もうそれだけで相手は「ああこの店、この程度ね」と店の格を値踏みしてしまいます。

ですから、名刺は店の雰囲気とは切り離して考えて作った方が良いと思います。少なくとも悪い意味での「カジュアル」は避けた方が良いです。

○無知な自分を泣きたいほど恥じた話


実は私、サラリーマン時代に副業として、あるホビーに特化したインターネットショップを数年間運営していました。

ある問屋さんに取引きを申し込みに訪問したときのことです。
先方の担当者は、たいした取引きも望めないであろう弱小ネットショップの私に対しても、とても親切に接してくれました。そして取引きを快諾して下さったのです。

面談の最後にその担当者が「つかぬ事をお伺いしますが、頂いたお名刺はご自身で作られたものですか?」と私に質問しました。

私は「ええそうです。なぜそうと判ったのですか?」

すると担当者は「カードの断面にプリンタ用名刺用紙特有のミシン目のギザギザがあります。それ以外にもそれと解るポイントはありますが・・・」

さらに担当者は続けました。

「老婆心ながら、このお名刺では取引相手として対等に見てもらえないこともありますよ。お名刺は(プロに)作ってもらった方が良いです」

厳しいお言葉・・・そう思っても言わずに黙っている人が多勢です。
しかしその方ははっきりとおっしゃった。恨みを買うかもしれないのに。

刺さりましたよグッサリと。顔が真っ赤になるのが自分で判りました。

でも、私のためを思って言って下さったことは、その後、いつも笑顔で気持ちよくお取引をして下さったのだから明白です。

ネットショップを閉店し、お付き合いがなくなった今でもその方にはとても感謝しています。

なぜ手製の名刺で済ませていたかと言いますと、
・デザイン料高いし。
・業者に頼むと発注単位が多すぎて、そんなにあっても使い切れないし。
・できればお金なんか掛けたくないし。
・名刺くらい自分でつくれる。名刺製作の便利なアプリもあることだし。

と言ったところです。
そんな心の内を、くだんの担当者には見透かされていたような気がして、いま思い出しても恥ずかしくなります。

残念ながら、どれほど上手に作ったと思っていても、自作の名刺はすぐにそれと悟られてしまいます。
自作名刺の特徴は
・断面がギザギザ 
※最初から名刺サイズに裁断してある用紙ならギザギザはしていません。
・紙が薄いことが多い。
・発色があまり良くない。文字の輪郭がぼやけている。
・さらに水性インクだと、濡れた手で触ったりするとインクが滲む。これはみすぼらしいです。
・何より全体のデザインやバランスが・・・うーん、プロが作ったものとはやっぱり何かが違う。

要はどこかチープなのです。

名刺は店のロゴデザインやファサードと同様、「店の顔」なのです。
身なりと同じです。
適当に作って良いわけがないのです。

名刺兼ショップカード

上は現在の私の「名刺兼ショップカード」です。
これは1枚で名刺とショップカードを兼用できないかという考えで作ったものです。もちろんデザイナーさんに製作を依頼しました。私の希望が強く反映されていますので、デザイナーさんの本意ではない部分も多々あると思います。

○ひとり上手Q&A
Q:開店準備中でも名刺は作ってもらった方が良いの?
だってまだ決まっていないことも多いし、変わったことがあったらまた作り直さなければならないじゃん。

A:できることなら作ってもらった方が良いと思います。
開店準備中こそ配りまくるべきですし、そもそも自分でデザインして印刷している時間の方がもったいないです。
開店準備中のカードは開店後は廃棄と割り切り、新しいカードを作りましょう。
製作を依頼するデザイナーさんは、地元の、直接訪ねてゆけるところにいる方にした方が良いと思います。また、ロゴデザインを依頼した方にお願いすると何かと融通が利くと思います。店のコンセプトのことなども理解してくれていますしね。

とにかく何かとお金が掛かる開店準備です。
基本的には節約方向で良いのですが、使うべき所はきちんと使う。

見極めが大切です。

頑張って下さい。

追記:名刺は、当店のロゴデザインと同じ、神奈川県小田原市にある、建築デザイン事務所「KEMURI DESIGN」のグラフィックデザイナー、和田さんに作って頂いたものです。

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池上直樹 / 自家焙煎珈琲店
サポートは謹んで辞退させて頂きます。お気持ちだけで十分幸せです。