星になった人
あの日、
そう遠くない未来に、
彼が旅立ってしまうことを悟り、
私は星空の写真を撮るようになった。
彼が星になったとしても、
夜空を見上げれば、
いつでも会えるような気がしたから。
彼が旅立ってから、
会えなかった頃と変わらないな、
とか、
痛みから解放された今の方が幸せだろうな、
とか、
そんなことを自分に言い聞かせながら、
毎日を過ごし続けることになった。
でも、
時々、
彼のことがどれほど好きだったかということを、
痛いほどに思い出させられることがあり、
自分が日々誤魔化してきた心を見せつけられる。
あれから、
時々、
むせび泣く日がある。
寝る前に、
ポロポロと涙が流れる日もある。
それでも、
今この世界に残り生きている私は、
誰よりも生きることを楽しんでいた彼を思い出しながら、
今日もまた、
新たな一歩を踏みしめている。
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