Hina Mori

はじめまして森雛です。創作を書きたくてnote始めたのに、初投稿でエッセイなんか書いて…

Hina Mori

はじめまして森雛です。創作を書きたくてnote始めたのに、初投稿でエッセイなんか書いてしまったので勝手に創作投稿しづらくなってます。よろしく

最近の記事

創作)アメシスト・メモリー

◇◇ 「やっと着いた。ここが、〝幻の村〟か」 木製の標識板には旧字体で「叉鬼村」と彫られている。塗装もされていないその標識はいかにも古めかしく、不気味さを物語っていた。僕は覚悟を決めてその文字を睨みつける。 県道〇号線から山に分け入り、獣道を三十分ほど進んだところにその集落は存在していた。 見渡す限りの青田にはまだ発育途中の稲の隙間から太陽の光が水面に反射してきらきらと煌いている。所々に家屋とみられる建物や農具倉庫と思しき半ば倒壊しかけたぼろぼろの建物も、まさしく山間

    • 「~効果」ってド忘れするよねっていう話。なおプラシーボ効果

       思い込みによって本来はないはずの効果が発生することを「~効果」といいます。私はその「~効果」が全然思い出せなくて悪戦苦闘しておりました。  ふと、中学校の家庭科のテストで冠婚葬祭にふさわしい服装を答えよという問いにタキシードと書きたくてレオタードと記入した友人のことを思い出しました。すごくどうでもいい連想が頭を占めてしまい、もう「レオタード効果」しか出てこなくなってしまいました。  文章を書きながら思い出すかも、と期待して「~効果」と書いていたのに、結局思い出せませんで

      • 数式Tは危ないので廃止すべき(過激派)

         自転車で帰宅中。  すれ違った歩行者のシャツに「8!」とプリントされていました。丁度暇をもて余した私の思考は8の階乗を数え始めます。  1.2.3.6.4.24.5.120.6.720.7....えーと...。桁が4つにまで及んだとき、私の脳内計算機はフリーズしました。  720×7がどうしてもうまく計算できなくて諦めてふと前を見ると、スマホを注視しながら歩く女性の姿がありました。  あわや接触事故、損害賠償3,000万円の未来が頭を過りましたが、幸運にも避けること

        • 創作)Alice’s

             「□□ーー!!」  あの日から何度も繰り返し見ている夢だ。  「□□...!」  歩道に乗り上げ、白煙を上げる赤い乗用車。前輪の下にかろうじて見える、長い 黒髪。それを伝うように地面に広がり、側溝へと流れていく赤黒い液体。  僕の初恋の女性。  最期の声も聴き取れぬまま、 ーーーーーーー彼女は、この世を去ってしまった。    あの事故からもう10年になる。時の流れは平等で、ひどく残酷だ。僕はもう、彼女の声も、温度も、どんな顔をだったのかさえも思い出せない。すべて

        創作)アメシスト・メモリー

          創作)ドリームスフィア 2 回想

           僕が生まれたのは白い部屋に並べられた樹脂製の透明な保育カプセルの中だった。らしい。  生まれたときの記憶なんて覚えているわけがないが、人口の100%がそうやって生まれてきているらしい。システムにより管理され、必要なときに必要な分だけ人間を出産することで、環境のバランスを保っているのだ。  保育施設には、中学校の社会科見学で一度だけ中に入ることができた。  「世界の人口はコンピューターによって細かく管理されている、というところは授業で習ったと思います。では世界の人口は今何

          創作)ドリームスフィア 2 回想

          創作)ドリームスフィア

          第1章 奇跡の球体  世界中のありとあらゆる有名人、政治家、資本家がそれの完成を見守ってた。  それを作ったのは一人の老人だった。  年季の入った木製の作業台。老人は雑多に散らばる工具を無造作にどかし、完成品を入れた箱を置く。  世界中が、彼の手元に注目する。  静寂の中、彼は箱を開けた。  箱の中のそれは、両手で包んでも包みきれない大きさの球体だった。  喝采が巻き起こった。  全人類が待ち望んだもの。  あらゆる願いを実現させる装置。  それは、ドリームスフィアと呼

          創作)ドリームスフィア

          初投稿

          「ただいま」  その日、私の母がいつものように帰宅すると、父は「リサちゃん」という女性と行為の真っ最中でした。唖然とする全裸の父、布団を胸に当てナニかを喚く「リサちゃん」。布団の上から出られない二人に冷徹な視線を向けながら荷物をまとめ、母は実家に帰りました。その「荷物」の中に私と妹も含まれていたことは、私の人生最大の幸運だったのだろうと思います。  これは全て私が母から聞いた話であり、私が見た景色ではありません。ですが、幾度となく聞かされた母の離婚エピソードは私の心に確実に