強みを一つにしぼれない私の編み出した戦略(2023年10月の仕事まとめ)
フリーライター&イラストレーターの陽菜ひよ子です。
よく「やりたいことは一つにしぼれ」と言われます。そのジャンルやテーマについて「最初に思い浮かぶ人になる」ことが「安定して仕事を得る」近道だと。
でも自分のやりたいことや書きたいジャンルに、すでに圧倒的な存在がいたら?それ一つにしぼってしまって、本当によいのでしょうか?
この記事では、まずは毎月のお仕事報告のあと、上記の結論を述べたいと思います。お仕事報告に興味のない方は、最後の項「勝てないときの奥の手」に飛んでくださって大丈夫です。
9月は掲載・更新されたお仕事がなかったのですが、その分10月はバタバタとご報告できる案件が登場しました。
中日新聞連載コラム『読む名古屋めし』(大竹敏之さん著)挿絵
10月から始まった新連載です。わたし自身もコラムを書くのでややこしいのですが、これはイラストのみのお仕事。
名古屋ネタライターの大竹敏之さんが古今東西の「名古屋めしの登場する文学作品」を紹介するという、興味深い内容となっています。
1食目:とり御飯弁当(小松左京『首都消失』)10/6
初回10/6(金)は小松左京さんの『首都消失』。とり御飯弁当を描いています。弁当より箱の方が力作です。
中日新聞をご購読ならこちらからも読むことができます。
2食目:きしめん(清水義範『蕎麦ときしめん』)10/13
第2回は清水義範さん『蕎麦ときしめん』。きしめん、結構難しいのです。編集さんからボツは喰らわなかったのですが、自分で納得できなくて3回ほど納品し直した力作。
3食目:味噌煮込みうどん(椎名誠『本の雑誌血風録』)10/20
同じ麺類でも、こちらは描きやすくて、一発OKの自信作。
4食目:味噌カツ丼(辻真先『たかが殺人じゃないか』)10/27
ナゴヤでは味噌カツ丼を出す店は珍しくないのですが、この店ほど「茶色い」ものには、なかなかお目にかかれないように思います。あまりに茶色で「絵になるのか?」と唖然。資料にいただいた食器は黄色い模様でしたが、調べると藍のものもあるのでそちらに変更。たくあんはいいアクセントになっています。
4食目はWebでの配信はまだです。
現在6食目まで納品が済んでおりまして、6食目の記事がわたし的にかなりお気に入りです。そして10/31の17時現在、7食目のイラストを描いているのですが、これがなかなか手を焼いています。
みなさま「細かいイラストほど苦労する」と思うでしょう?でもそうとも限らないんです。シンプルなイラストほど難しい。上記4点でも、細かい「とり御飯弁当」や「味噌煮込みうどん」より、描き込みの少ない「きしめん」や「味噌カツ丼」のほうが「絵として成立」させるのは難しいのです。
細かいものは描くのは大変ですが、時間をかければそれなりに絵になります。でもシンプルなものはちょっとしたミスともいえない一手が致命的になります。
食べ物おいしそう!と思われた方!ワタクシメはnoteのみんフォトにイラストを提供しておりますので、よろしければお使いくださいませ。
(ただしnote内に限ります。ほかでご利用の場合は私用商用に問わず有料となります)
中日新聞広報メディア連載コラム「ナゴヤ愛はどこにある?」第16回
こちらはわたしがコラムを執筆しています。イラストも提供しているので、「文 + イラスト」のお仕事となります。2021年4月から2年半続いて第16回。おかげさまで取材対象には事欠かないナゴヤです。
第16回「水辺」からはじまる「まちのつながり」
鉄道や空路が発達する前は、物流の主流はどこも「川」でした。名古屋にはお城のお堀から続く「堀川」や、かつて「東洋のパナマ運河」と称された「中川運河」があり、どちらもやはり生活や物流に利用されてきました。
名古屋市の職員として堀川に関わった井村美里さんが、すっかり水辺に魅了され市職員を辞めて会社を興してしまったお話。
とはいえ、ビジネスっぽい話ではなく、エッセイ的な「ちょっといい話」を目指しています。井村さんからは「自分のプロフィールにしたい」とまで言っていただき、周りの方々からも好評なようで、感無量。
朝日新聞Webメディア「ツギノジダイ」取材記事寄稿
こちらは取材記事を担当(記載のないものは写真も撮影)。2022年より1年半経って今回は11本目と12本目の2本です。
◎有松・鳴海絞りの卸・メーカーの山上商店・山上正晃さん
山上さんは拙著『ナゴヤ愛』でも取材していて「有松は日本のラテン」というテーマで書きました。今回お話していても、大らかで器の大きなところは健在でした。
山上商店さんは、伝統工芸「有松・鳴海絞り」の布を糸で括るときに生まれる皺を活かしたファッションブランド・cucuriを展開中です。
ヤフーニュースにも転載中(11月半ばごろまで)
◎組み飴・菓子卸のナカムラ・中村慎吾さん
名古屋には結婚式で駄菓子を配る文化があるのですが、その中心となるのが西区。お菓子のまちと呼ばれる西区には有名なお菓子メーカーの本社が数多く存在。名古屋駅にも近い明道町には、袋詰めの駄菓子を売る問屋も立ち並びます。
その西区で組み飴の文化を守るために「飴を広告」とすることを思いついたナカムラさん。現在ではその「まいあめ」は世界のセレブからも知られる存在に。
実はわたし自身西区出身で、アトツギ慎吾さんの想いには共感しかなく、気づけば「地元民の集い」と化して盛り上がりました。
11/28(火)販促営業勉強会では取材を担当!
ツギノジダイでは、経営者向けの勉強会をおこなっています。7月の大阪に続いて11月には名古屋で開催。わたしが取材を担当することになりました。
登壇される中のお1人、側島製罐の石川貴也さんは、ツギノジダイの姉妹サイト「テンショクジダイ」で取材させていただいて以来。
勝てないときの奥の手
さて、お待たせしました。冒頭の結論です。
①圧倒的な強者との差別化を考える
今回最初に登場する大竹さんは、尊敬する先輩ライターです。「名古屋ネタ」に特化した「名古屋ネタライター」として、All Aboutやヤフーエキスパートでも長く名古屋ネタを発信し続けていらっしゃいます。
「名古屋」というキーワードでは大竹さんに絶対にかないません。大竹さんは本当にフットワークが軽いのです。「ライターは足でネタを見つける」が信念で、自転車でどこにでもさっそうと登場。そのためのジム通いも欠かさないそうです。
どう考えても大竹さんにかなうとは思えない・・・でも、名古屋ネタ1本では勝てなくても、合わせ技でなら勝てるかも?あるいは大竹さんがあまりテーマにしないニッチな部分ならいけるかも?
という想いで書いた拙著『ナゴヤ愛 地元民も知らないスゴイ魅力』。文章以外に絵も漫画も担当。大竹さんご自身にも登場いただいています。
「名古屋ネタ」ではなく「ナゴヤ愛ネタ」(ナゴヤ=愛知県)。「人」に焦点を当てた点は、大竹さんにも「新しい」と評価いただいています。その点にすぐに気づかれたのもさすがだと感じます。
②自分の適性・嗜好の棚卸
ここで重要なのは、自分の適性をとことん考えること。わたしの場合は適性と嗜好に微妙に矛盾があってちょっと苦労しました。
わたしは「人」にしか興味がありません。だから名古屋の新しいスポットに誰よりも早く駆け付けて記事にするのは、求められたとしても性に合わなくて辞めてしまうかも、と思います。
わたしのもう一つの強みは「文章」と「イラスト」両方が書けることです。何ならマンガも描けます。しかし、問題なのは、絵は人物より食べ物が得意なこと。人にインタビューしたいのに、絵は食べ物のほうが得意って・・・
自分で食べ物屋さんを取材してレポートするのは性に合わないとすれば、どないにすればいいのか?
その答えの一つが、中京テレビ『PS純金』のファンクラブアプリでのコラムの仕事です。
詳細はコチラ。
わたしは「PSこらむ」という名前の「お店レポ」を担当しています。ただ「お店レポ」なのですが、メニューよりお店の「人」にフォーカスしているのがこの番組。
なので、このお仕事では、イラストで「メニュー(食べ物)」を紹介しつつ、文章で「店主(人物)」を紹介する「合わせ技」が可能なのです。人物イラストも描きますが、わたしの得意な「キャラクター風似顔絵」。
完璧じゃん!
10月中に第7回が公開予定だったのですが、諸々で遅れております。ここでご報告がてら記事を書けず残念。(もっとも会員制アプリ《月会費99円》)のため記事は掲載できないのですが・・・)
③点と点がつながって面になる
そしてもう一つの答えは、今回最初に紹介した「名古屋めしイラスト」のお仕事。得意な部分(イラスト)をバラ売りするのもアリです。
「食べ物イラスト」の得意なイラストレーターはごまんといますが、「名古屋めしの得意なイラストレター」はそんなにはいません。ここでならトップを目指せるかもしれません。
今回のお仕事報告に登場した仕事を見ていて気付いたのは、全部の仕事が「ナゴヤ味を帯びている」こと。
「ツギノジダイ」は東海地方の取材に有利ではありますが、縛りはありません。沖縄や北海道の企業をわたしが取材しても問題はないのです。(実際に神奈川の企業をオンライン取材しています)
でも気づけば、わたしが取材しているのは「ナゴヤっぽい」企業が多いのです。
「ナゴヤ」「愛」「人への興味」「文章」「取材」「イラスト」「食べ物」といった一つひとつの点が、こうして少しずつ重なって、面になりながら仕事に結びついていく。
なに一つ飛びぬけてできることはなくても、こうして「合わせ技」でどうにかなるものなんですね。
わたしの話、みなさまの参考になれば幸いです!
この記事が参加している募集
もし、この記事を読んで「面白い」「役に立った」と感じたら、ぜひサポートをお願い致します。頂いたご支援は、今後もこのような記事を書くために、大切に使わせていただきます。