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departure-Ep1

ep紹介:イギリスで過ごした4年間を題材にフィクション作品を投稿します。第1話目の舞台は4年間の留学の最後に行ったハンガリーの首都ブダペストで、無計画のまま街をぶらぶら歩くだけ。

初めまして。

本日からpodcast の投稿を始めます。

ここではそのpodcastがどんなものなのかお話したいと思います。

私は日本の高校を卒業したあと、4年間イギリスで勉強させてもらったんですけど、

その4年間が原因だったかはわからないのですが、

その後の人生、つまり現在、よくわからないことになっているです。

どうなっているかというと、「何してる人ですか?」聞かれると、
うう、っと答えに詰まる感じ。

あれ、私って何やっているんだっけ、みたいな、

だから、同窓会とか行ったことないんですけど、

いつからこうなってしまったのか、を探すべく、4年間のことを振り返ろう、と思ってこの小説を書くことにしました。

時系列がバラバラで、1年目、3年目、4年目、2年目、みたいに、エピソードごとに時間が飛ぶので、そこだけ、ご了承ください。


第1話 終点 ブタペスト

ブタペストはハンガリーの首都で、
街の北から南にかけてドナウ川が流れている。

ドナウ川をはさんで西にブダキャッスルとfisherman's Baston、
東にHungarian parliament building, Hungarian state opera, シナゴーグ、英雄広場がある。

6月21日、最終試験を終え、イギリスの小さな街に別れを告げて、私はロンドンからブダぺストへ向かった。

チャンピオンのTシャツとprimark のダボダボのブルージーンズに大きなリュック一つで向かった。

たった二日間の予定も計画もない旅だ。
思えば東ヨーロッパに行くのは初めてだ。

ハンガリーと聞くとかつて東側の赤い国だったことから、
娯楽の少ない厳しい国をイメージしてしまう。

しかし、ブタペストはおとぎ話の世界と言ってもいいほど建造物は美しく細やかで
お城や宮殿のようなフォルムをしている。

これぞ夏のヨーロッパというような乾いた暖かい風と、凛々しい太陽の光が青葉のしげる並樹の間から見える。

気がつくと目の前にはドナウ川があり、橋を渡って川の流れをぼんやりと眺めている。

ミルクティーのように濁った川は大きく、ゆったり流れていて、この川がブタペスト全体を包み込んでいるようだ。

何のためにここに来たのか、そう聞かれると、答えに困るのだけれども、
来てみたかったから来たとしか言いようがない、

東ヨーロッパの空気をとにかく吸ってみたかった。

今私の心の中にあるのは、四年間の留学生活が終わった安堵と
これからの人生もう学生だと甘えていられない現実が迫っている不安である。

その二つが交差する場所が私にとってブダペストだった。

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橋を渡り切ってしまった。

目の前は木々で覆われた石の壁だ、
崖というのが近いのだろうか、
それは明らかに人の手が加えられていて、
崖のほぼ頂上には右手を掲げる人物の像が在る。

石像の下の階層から崖の入口にかけて滝が流れている。

下調べをしていない私はその石像が誰なのかわからなかったけど目の前にあるのでとりあえず登ってみようと、滝の両端の石の階段を登り始めた。

階段は決して急ではなかったけど、運動不足の私にとっては少し辛かった。

途中サングラスをかけた家族づれに抜かされてしまった、
旅行になるといつも階段を登っている気がする。

壁から生えている木々や草花は、わさわさと生い茂っていて、自然の中にいる気分だ。

頂上まで行くと、石の柱に囲まれた青い石像があって、右手に十字架を掲げていた。

石像の眼差しの先には先ほどまで私があるていたブタペストの街並みがあり、
石やレンガで造られた直方体のケーキのような建物が並んでいる。

このGパンを脱いで、もっとラクな服に着替えたくなった。

橋を渡って大通りを歩いていると、ヒューマンビンテージコービンという古着屋を見つけた。

ガラスの扉を開けると統一性のない古着が沢山ハンガーにかけられて並んでいた、少々埃っぽい店内でわたしはラクに着れる服を一つ一つ手に取って探した。

すると、オレンジ色の生地に小さな青い花柄のロングスカートが見つかった、
試着すると、少し腰のゴムが緩かったが、汗ばんだジーンズよりも快適だったし、生地のオレンジが良く私の肌に馴染むのでこれを買っていくことにした。

古着屋から出ると、雨がポツポツと降ってきた、
私は傘もカッパも持っていなかったから、雨に濡れながらそのまま歩く、

しばらくすると雨が強くなってきた。

近くにあったカフェなのか、よくわからない飲食店に入った。

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飲食店はシチュー屋で
わたしはよくわからないけど、メニューの一番上を指差して、

この一番上のをお願いします。

と言ってシチューを注文した。

紙のカップに入ったドロドロのシチューと硬めのパンをもらって席についた。

シチューは美味しかったか、今まで食べたことのある類のシチューではなく、
どう形容していいのかわからない。

とにかく、肉がドロドロになるまで煮込まれていて、野菜とスパイスの味がした。

さて、雨もまた弱まったし、遠くの空に雲が晴れているのが見える、
Googleマップを辿って滞在するホステルに戻ろう。

アベニューホステルは交差点の角にあり、一階はローカルな売店だった。
わたしは売店でスナック菓子とお水を買って、自分のドミトリーに戻った。

イギリスに渡ってから、いろいろなホステルに泊まったけれど、
ここは綺麗な部類だ。

女性用のドミトリーで10個ほど2段ベッドが並んでいで、
壁は真っ白に塗られている。
トイレとシャワーもドミトリーの中に用意されている。

窓際の2段ベッドの下の段が私の部屋だ。

窓の外から美しい夕焼けが見えた、

目の前の建造物はヨーロッパの街並みにふさわしいものであったけれど、
その建物の上にロレックスや中国の銀行、
サムスンなどの文字看板が乗っかっている。

今日は、食事もしたしやる気がないので、夜の街には繰り出さず、早めにベッドに入った。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。
毎週火曜日の夜8時にPodcastとSpotifyで音声を公開しています。
またお会いしましょう。


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