どんな親、の前に。どんな人なのだろうか
保育・子ども支援業では結婚、出産、休職、退職、転職、離婚…などライフスタイルを変えた「お母さん」「お父さん」たちと出会います。
今まで私は独身で福祉に携わってきました。いつも思っていたのは「このお母さんは独身時代どんな仕事をしていたんだろう」や「両親のそれぞれ趣味はなんなのだろう」などで、もちろんそれがにじみ出ている方もいます。生活と仕事とがリンクしている方はわかりやすいのですが、そうでない方はなかなか想像もつかない。
好きなものがわかると話しかけやすいということもあり、考えるようになったのもあります。それ以上に「どんなことを生活の中で大切にしているのだろう」という興味があるのです。これは自分の友人対してもにもそうです。
私は結婚をして、仕事を辞め、引っ越し、全く別の業種のパートに勤めました。知り合いもいない地域で暮らし、自分の中にあるホームボタンに新たにアプリを入れたような感覚で過ごします。新しい仕事ではそのアプリを立ち上げて、少しずつ人間関係や生活を積み上げていくような感じです。全く別の人格になったわけではないけど、なんだか違う。
結婚も始めてみてわかることがたくさんあって、慣れるまで時間がかかる人もいれば様々だろうなと思います。自分も相手も新しい一面を見せる。
こんな紆余曲折があり、子育てが始まっているのかと思いを馳せる。すると今まで「保護者」「お母さん」「お父さん」というカテゴリーに入れて見てしまっていたのではないかという疑念を持ちました。
子育てに関わっている人のアイデンティティは目立った問題が起きないとなかなか、目を向けようとしていなかった自分がいるなと現場を離れてから反省しました。
大切にしていることは人それぞれ。
しかし、一律になってしまいがちな教育、福祉の現場。入園説明会での面談も子どものことばかり聞いていたので、不安や困り感だけに目を向けず、どうでもいい話ができるくらい現場に余裕があればいいなとも思います。
困ったときに利用する福祉ではなくて、困ってもいいように利用する福祉。そんな姿勢で保護者と向き合えたらなと、今は思います。