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脳卒中片麻痺患者の歩行

タイトル
回復期リハビリテーション病棟における脳血管疾患後片麻痺患者の歩行自立判断のためのパフォーマンステストのカットオフ値の設定

北地雄、原辰成、佐藤優史、重國宏次、清藤恭貴、古川広明、原島宏明

理学療法学

公開年月日
2011年

研究の問いや目的

歩行は高齢者の日常生活において最も重要な移動手段であり、歩行能力と生活範囲の広がりには密接な関係があります。歩行の自立はQOL向上に直結するため、正確な評価が不可欠です。本研究の目的は、初発の脳血管疾患後片麻痺患者を対象に、歩行自立を判断するための信頼性の高いパフォーマンステストのカットオフ値を設定することです。

研究や実験の方法と結果

方法
回復期リハビリテーション病棟に入院中の初発脳血管疾患後片麻痺患者41名を対象に、以下の評価指標を用いて歩行自立を判断するカットオフ値を検討しました:
- Timed Up and Go test(TUG)
- 麻痺側下肢の荷重率
- Functional Balance Scale(FBS)

TUGは快適速度条件と最大速度条件で実施し、麻痺側下肢の荷重率は立位時の荷重割合を計測、FBSは14項目のバランス評価を行いました。

結果
各評価指標の歩行自立判断のカットオフ値は以下の通りでした:
- TUG(快適速度条件):21.6秒
- TUG(最大速度条件):15.6秒
- 荷重率:0.70
- FBS:45.5点

研究や実験の結果から得られる影響

これらのカットオフ値は、脳血管疾患後片麻痺患者の歩行自立を判断するための有効な基準として機能します。特にTUGとFBSのカットオフ値は、リハビリテーションの進行状況や歩行訓練の効果を客観的に評価するための重要な指標となります。これにより、リハビリテーションの計画がより科学的かつ効率的に行えるようになります。

この論文の結論

初発の脳血管疾患後片麻痺患者の歩行自立を正確に判断するためには、TUG、荷重率、FBSのカットオフ値が重要です。これらの指標を用いることで、臨床における歩行自立の評価がより信頼性を持ち、リハビリテーションの質が向上します。本研究の結果は、今後の臨床実践における重要なガイドラインとなり得るものです。

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