「演劇の楽しみ方」は、これからどうなっていくんだろう
正直、去年から演劇界の状況は芳しくないと思う。「演劇は文化だ」と言っても、演劇に普段から触れてない人が多い日本で共感は得られないだろうな、と思っていた。
目の前で繰り広げられる物語が売りになる演劇は、感染症との相性は最悪。知ってる団体やかつての共演者の舞台が次々に中止や延期を決めていき、何とかやろうとしても緊急事態宣言で開演が難しくなる。去年から心が痛かった。
稽古に1ヶ月以上はかかるのがわかるし、その前の企画は、どの団体さんも最低で半年程度はかかっているのではと思う。待っている人もいる中で、スポットライトも点かないのはどんな気持ちだったか、想像するだけで泣きそうになる。
けれど、私は昔医療従事者を目指していたこともあって、正直その目線で見たら「頼むから演劇なんてやめてくれ」って思っていたと思う。集まらないでくれ、飛沫を飛ばさないでくれ、これ以上仕事を増やさないでくれと懇願している気がする。想像でしかないけれど。
(実は今でも医療従事者枠に入る仕事をしている。かなり外れた位置の仕事だけれど「怖いなぁ」と思うことがあるから、最前線で戦ってくれている人はこんなもんじゃ済まないだろう。)
演劇と医療。中途半端に両者の気持ちがわかってしまって、数ヶ月前まではまともに何も動き出せなかった。
会社を立てたがいいが、基本的に知り合いのHP制作やフライヤー、パンフレットの委託作業。今まで何とか持ちこたえているけれど、やっぱりやりたいこととは違った。
私は、演劇を必要としている人が自分の満足いくように演劇と関われる世界を作りたい。そう思って会社を作ったのだ。
様々な演劇の楽しみ方があっていいじゃないか
演劇は、演じる・観るだけの楽しみ方ではなくなって行くと思う。大きく分ければこの2つなのだが、細分化が進んでいくのではないかと予測している。
コモディティ化が進んだ社会で、次のステップは「体験価値」だと言われている。演劇の要素を持ったものほど、体験価値が提供できるものはないのではないか。ちょっと贔屓目かもしれないが、割と本気でそう思っている。
そう思って、軽い気持ちでつぶやいたのがこのツイートだった。
このツイートは、リプやDMで思った以上に反響があった。
LARPと呼ばれる、リアルRPGのようなゲームがあることを知り(実は前から知ってたんだけど、イマイチ理解してなかった)手当たり次第話を聞いたり調べたりしてみた。
TRPGなどのゲームに詳しい友人達、LARP団体さん、インプロで似たようなことを経験されている方、脱出ゲームで働いていた方……。1週間経たずにかなりの方にお話が聞けた。
また、LARPと調べるとすぐに出てくる団体さんの販売シナリオを買ってみたり、呪術廻戦とサマーウォーズのリアル脱出ゲームキッドを購入した。届くのが楽しみ。
幼少からあまりゲームをしない人間だったので、あまりにも馴染みが薄い領域に今もかなり戸惑っているが、途轍もないワクワク感を久しぶりに感じた。
まだまだ調査と理解が進んでいないことを前提としてだが、
これからの「演劇」と呼ばれる領域は
「演じる」と「観る」が同時に行なわれるのではないかと思う。
舞台の上で演じる、客席で観る。従来の楽しみ方は消えないと思う。
けれど、そこに「演じると観るを同時行う」という領域でグラデーションのように楽しみ方が広がって行くのではないか。
舞台を観る「観劇者」でも、舞台を作る「役者・スタッフ」でもなく
「プレイヤー」とも呼べる新しいポジションが生まれるのでは?
従来の、観る・演じる・WSに参加するみたいな、パキッと領域に線分が引かれているのが違和感だった。嫌なわけじゃないし、「これが楽しい!やりたい!」と思っている人にはガンガン進んで欲しいし力になりたいとも思っている。私にとって違和感だっただけ。
私の会社では既に、観劇を主に楽しむ方に「観た舞台を演じてみよう!」というWSなんかを開催しようとしている。気兼ねなく集まれるようになったら、「大人の学芸会」みたいな舞台も作ろうと思っている。
(余談だが、ガチで俳優として力を付けたい人向けの半年、正確には7ヶ月のトライアスロンのようなワークショップの開催が決定している。役者として一皮剥けたい!という方は、体験だけでも来てみて欲しい。)
「演じると観るの境界線をグラデーションに」というのが、現段階での私のやりたいことらしい。
LARPの件については、ちょっと本気で頑張りたいと思っているので、一緒にやりたいとか知見あるぜ!!って方はお気軽にDMください。
いただいたお金は!!!全て舞台裏のためのお金にします!!!!殺人鬼もびっくり☆真っ赤っかな帳簿からの脱却を目指して……!!!