
2月1日 雪子 a.k.a.
草場尚也監督の劇場用映画初監督作品。誰であれ『初監督作品』でこだわりが詰まっていない映画を私は知らない。ご多聞に漏れず監督の魂とパンチラインがこもった名作であった。
まずタイトルがいいよね。本編でも触れてたけど雪子、ってのがよい。これが順子だったら a.k.a.長渕剛の曲になっちゃうし、美子だったらa.k.a日ペンの美子ちゃんになってしまうし。とにかくヒップホップ文脈と誰でもない「自分」という映画のテーマと内容にピッタリ。a.k.a.の先は未だ決まっていないのだ。
33回転レコードよろしく空転する主人公の自分探しの葛藤。それでも正直に生きたい、やさしいけど奥手な雪子先生の日常描写が丁寧。苦手なコミュニケーション能力がマイク持ったら開花するか、というとそうでもないところもリアル。別に不安なままでもええんやで。って話。
余白や寄り引き、置いてかれるシーンとか雪子の周りをまわるシーンとか、アングルもカメラワークも手癖で撮ってる感じがまったくなくショットごとに狙いがあってとてもよかった。
『サイタマノラッパー』を映画館で3回観たくらい好きだったので、個人的にはこういうラップものはリリック確認含めて繰り返し観たい所存。