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【超ショートショート】(81)~謎の人物は私の守護霊?!~☆星は何でも知っている☆

それは、仕事の帰り。
乗り換え駅にある渋谷スカイという
展望台に寄ってみた。

まだ8月の昼間の暑さは、
夜になると、穏やかになった。

今日は、
きのうまでの雨で空が洗われ、
澄んだ秋の気配の空気に透ける
夜空は、透明感に満ちていた。

星座の配置も忘れたと気づいた時に、
1等星に光る星を眺めて、
こんなことを思っていた。

「私は何のために生まれて来たのだろうか?」

子供の頃に夢を持つ、
恋愛も結婚も仕事も、
うまくいかずに悩みを深めていた。

端から見ると、
全てが順調に見えるらしく、
誰に相談しても、相談にもならず、
相手にすれば、ただの自慢話だと、
今日、給湯室からの同僚の声を、
たまたま聞いてしまった。

そんな1日の疲れを忘れたく来た
展望台だったが、
この後、
さらにどっと疲れを深める出来事が起こった。

「さぁ、そろそろ帰ろうかな?」

(謎の人物)
「へぇ?もう帰っちゃうの?」

その声を無視し、
出口を探して立ち上がると、

(謎の人物)
「ちょっ、ちょっと待って!
ねぇ僕のこと、見えてるよね。」

さらに無視すると、

(謎の人物)
「あ~、あ~、あ~、いいんだな!
本当にいいんだな!」

あまりのしつこさに、
睨み付けると、

(謎の人物)
「うぉ!コワッ!
あんた、そんなことしてるからモテないんだよ!」

そして、
ついにキレてしまった!

「もう~!いい加減にして!
何なの?あなたは?(怒)」

謎の人物は、
その質問を待ってましたと、
饒舌に話始めた。

(謎の人物)
「やっと話してくれたな!
いや~頑固とは聞いていたが、
私に似て本当に頑固だな、君は。」

「だから何なんですか?あなたは?」

(謎の人物)
「へぇ!私かい?(笑)
私は君の守護霊だよ!」

「守護霊?私の?」

(謎の人物)
「そうだ!君の守護霊だ!
さっき星を見ながら、質問しただろう?」

「質問?」

(謎の人物)
「そうだ!
〈私は何のために生まれて来たのだろうか?〉
そう言っただろう?」

「別に呟いただけで、
誰にも質問なんてしてません!」

(謎の人物)
「私はね、本当に君の守護霊なんだよ。」

「だから、守護霊って何ですか?
あなたは見た目が大泉洋にそっくりで、
男の人じゃないですか?
私は前世が男であなただったというのですか?
気持ち悪い!(涙)」

守護霊という謎の人物は、
内心気にしていたことを言われて、
大変なショックを受けていた。

(謎の人物)
「わ、わ、私が大泉洋!?
どこが似てるんだ!
こんな色男を前にして!(怒)」

「ほら!見てください!頭を!
くるっくるパーマじゃないですか!(笑)」

(謎の人物)
「くるっくるパーマ?
生まれつきなんだから仕方がないないだろう!」

「それに私はくるっくるパーマではないですよ!
だからあなたが私の守護霊というのはあり得ない!
こんな美人を捕まえて!」

謎の人物は、
突然話を変えた。

(謎の人物)
「私はね、君の守護霊として、
ずっと見てきたんだ。
今日の話しも聞いている。
だがね、あんな話を信じちゃいけないよ!
それに、君を理解しない人間関係なんか、
一度、捨ててみたらどうだ?
そうすると、
今まで見えなかったことが見えてくるぞ!」

「な~に偉そうなことを言うの?
私の何を知ってるというの?」

すると謎の人物が、
自分の失敗談を話し始めた。

(謎の人物)
「私はね。人の恨みを買って亡くなっているんだよ。
あれは、ただ相手の勘違いだったのが、
何も知らない第三者の話を、
その人が信じてね。それで私は夜の道で、
辻斬りにあってしまってね。
そりゃ~痛いってもんじゃないんだよ!
お前さんの背中にも傷があるだろう?
それが私の傷跡だよ!」

「へぇ?」

驚く私を見るなり、
気持ち悪い笑みを浮かべて、
こう話した。

(謎の人物)
「あのな!お前さんは、
私ににて本当に鈍感なんだな!」

「あの~今のものまねですか?
田中邦衛さん?」

(謎の人物)
「そうだな~!蛍!
じゃないよ!やめなさいよ!ふざけるのは!」

「いや!いや!ふざけてるのはあなたでしょう?」

(謎の人物)
「もう~だから・・・」

「あっ!マイケル・ジョンソン!」

(謎の人物)
「フォー!って、やらせるんじゃないよ!
もう~全く!」

「あの~、毎週平日の夜12時から、
ジェットストリームって番組で、
司会をしているスーパースター福山雅治さん?」

(謎の人物)
「そうそう!洋ちゃんがね・・・って、
あなたね、ホントにふざけるんじゃないよ!」

「あなたのくるっくるパーマみたいに
ふざけていません!(笑)」

謎の人物は、怒りを沈めるように、
大きなため息をつくと、
こう話した。

(謎の人物)
「いいか?真面目に話すぞ!」

「あっ!日本アカデミーの主演俳優賞を
狙ってるんですか?
それなら、洋ちゃんは泣き芸がいいと思う!」

(謎の人物)
「そうかい?やっぱりそう思うかい?
って!ふざけるなよ!大前春子!」

「私は大前春子じゃないよ!
あのさ、もうコントはこの辺にして、
本題に入ってください!」

またまた、謎の人物は、
大きなため息をついた。

(謎の人物)
「じゃあ、やっと本題だ!
いいか?ドラマの尺は、約10分しか無いんだぞ!
このシーンは。アドリブなんか入らないんだよ!」

「は~い!すいませ~ん!(笑)」

(謎の人物)
「それじゃあ、全然謝ってないじゃないかよ!
まぁ~もう~いい!さっそく本題に入るぞ!」

「は~い!」

(謎の人物)
「お前の近くにはな、お前を心配している人がいるんだ!
それはな、私が辻斬りにあって亡くなるまで、
私を愛してくれた人なんだよ!」

「じゃあ、前世では、やっぱり私、男?」

(謎の人物)
「そうだ!前世は私だ!」

「えっ!嫌だ!」

(謎の人物)
「嫌でも何もそうなんだから、
とにかく聞きなさい!」

「は~い!」

(謎の人物)
「その人とは、もしも私の身の上に何かあったなら、
来世では、迎えに行くと約束をしているんだ!」

「約束?」

(謎の人物)
「そうだ!約束だ!だから、
その約束をもうそろそろ果たしてほしいんだ!」

「果たすって、私の約束の内容、知らないし。」

(謎の人物)
「約束はな、8月の満月の夜に、
この渋谷の谷間で待ち合わせすることだった。」

「谷間ってどこ?」

(謎の人物)
「さぁ、それは私にもわからん!
こんなにも景色が変わってしまったらな。
でも、満月の日に渋谷に来れば、
会えるかもしれん。」

「今日、満月だね!」

(謎の人物)
「そうだな、満月だな。」

「どんな人?その人。」

(謎の人物)
「そりゃべっぴんさんだよ!」

「そうじゃなくて、見た目じゃなくて、
人となり!名前は?」

(謎の人物)
「おっ!名前か?名前はな・・・」

(男性)
「あっ!こんばんは!」

「あっ!こんばんは、どうされたんですか?
こんな所で。」

(男性)
「あなたは?」

「私は、ちょっと・・・気分転換に。(笑)」

(男性)
「僕もです。それに今日は満月なので(笑)」

「満月?」

(謎の人物)
「(小声で)その人!その人!」

「へぇ?!」

(男性)
「はい?どうかされましたか?
今、変な声が、風邪でも引いたんじゃないですか?
今日は、夏なのに冷えますね。夜は。(笑)」

男性と話しているうちに、
謎の人物の姿が消えていた。
そして、声だけが聞こえてきた。

(謎の人物)
「その人だ!
私と前世で約束したべっぴんさんは!」

「何で、分かるんですか?」

(男性)
「はい?」

「あっ!いいえ、ごめんなさい、独り言です。(笑)」

(謎の人物)
「ほら、ここにべっぴんさんが守護霊でいらっしゃる!
お前には見えんか?」

すると、
夜空にうっすらと人影が浮かび上がった。

(謎のべっぴんさん)
「こんばんは!(笑)」

「こんばんは!」

(男性)
「はい?こんばんは?」

「いいえ、またまた独り言です(苦笑)」

(謎のべっぴんさん)
「私の大事な子孫をどうか大切にしてやってください!
私たちが叶えられなかった人生を、
どうか叶えてください。
私たちもずっと見守って、お手伝いしますから。
ねぇ、あなた!(笑)」

(謎の人物)
「あなたって!聞いたか?お前!
もう照れるじゃないか!(笑)」

「はぁー!もう勝手にやってなさいよ!
人の前でイチャイチャするな!(怒)」

(男性)
「イチャイチャ?僕が?誰と?」

「あっ!いいえ!違います。
またまた大きな独り言です!
あっ!ホント、ごめんなさい!(苦笑)」

(男性)
「あの~、これから、
どこかでご飯でも食べませんか?」

「あっはい。」

(男性)
「それから、これ、憶えていませんか?」

男性は、小学生の頃に学校で使っていた、
星座の早見表を出した。

(男性)
「ここにあなたの名前が。」

「えっ?あっ!本当!
でも、どうしてあなたが?」

(男性)
「小学生の時の移動教室で、
あなたの学校の次に、
あの宿泊施設に泊まったんですよ。
その時、僕の部屋のロッカーに、
これが置き忘れていて、
捨てられずに、
そのまましまっていたんです。
先日、実家に帰って荷物を整理していたら、
またまた見つけて。
そうだ!会社に同じ名前の人がいるのを思い出して、
今日あなたを尋ねようと、
あなたの部署に向かう途中の給湯室で、
あなたの話を聞いてしまって。
その話をあなたも聞いている姿を見て、
とても落ち込んでいるようでしたから、
今日はあきらめて引き返して来たんです。
でも、今日ここでお会いすることができて、
本当に良かった。(笑)」

それこら二人は、
食事をして、それぞれ帰宅。

そして翌日、
またご飯のお誘いを受け、
帰宅する前に、
どうしても話があると、
東京タワーへ。

(男性)
「突然なんですが・・・
僕と結婚を前提にお付き合いしてもらえますんか?」

その告白と一緒に、
指輪をプレゼントされた。

まだ、お互いを知って、
2回目のデートで、
男性はピッタリサイズの指輪を
用意していた。

「何故?」

という問いに、男性は、

「なんか、大泉洋さんに似た、あなたの守護霊という方が、
あなたの指輪のサイズを教えてくれたんです。」

「いつ?」

(男性)
「今日です。」

「今日は会ったんですか?」

(男性)
「はい!一緒に買いに行きました。」

「あのくるっくるパーマと?」

(男性)
「はい!(笑)」


(制作日 2021.8.23(月))
※この物語は、フィクションです。

今日は、
2018年8月25日配信
ASKA『星は何でも知っている』
あと2日で、配信から「3周年」を記念して、
この曲を参考にお話を書いてみました。

謎の人物は大泉洋さんの設定ですので、
そのお声を想像しながら、読んでもらうと、
笑えるかなって思います。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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参考にした曲
ASKA
『星は何でも知っている』
作詞作曲 ASKA
(2018.8.25配信)
☆収録アルバム
『Breath of Bless』
(2020.3.20発売)
YouTube
【ASKA Official Channel】
☆『星は何でも知っている』Teaser☆
https://m.youtube.com/watch?v=3AnbJDqOMnI
☆アルバム『Breath of Bless』Teaser☆
https://m.youtube.com/watch?v=0Bwf5Ppe-5Q

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