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生徒さんを集めるのではなくて、出会いを求めているのかもしれない。

数年前ー正確にはコロナの一年前から、私は教室の方向性を探って、あれこれしてきた。

どうしても、ただ生徒さんを集めればいいとは思えなかった。

この教室が目指していること。この教室でしかできないことは何だろう・・・?

生徒が多くなりすぎて、一人ひとりの顔、というよりその気持ちに寄り添え切れていなくて、私の見えないところで、勉強をしていないことに気づくこともできなくて、ショックを受けたことがあった。

もちろん、思春期の生徒さんだから、あれこれある。男女交際だって、当然にあるし、勉強から逃げたいこともある。それをまともに悩んだ。

今でこそ少々慣れてはきたけれど、うちに通ってくれている生徒さんを、現役でそれなりに目指していた学校に入ることができず、予備校に行くことになる・・・、ということが、自分が責任を果たせていないようで、ずいぶん自分を責めたし、こちらの見えないところで勉強をサボっていたことについても悩んだ。

いったい、どういう生徒さんとお付き合いすれば、自分が一番役立つことができるだろうか・・・?

ほかの塾と同じでは、何にもならない。

そこで、ちょっと方向違いかもしれないけれど、勉強を始めた。

指導歴こそ長いけれど、経営者としてはひよっこもひよっこ。最初飛び込みで参加したセミナーで、

方向性がわからなくて、参加しました。

と発言したら、

僕は、そういうこと言われたら、いつも、「そんなん知らんがな!」と言うんです。

と激し目な表現に、私は、

いつもそうおっしゃってますよねえ。

とひるむことなく、サラッと返した。いつもメルマガを読んでいた関係で、その先生のご意見は知っていた。自分でも、なんだか動じない奴だなあ、と思ったのを覚えている。だいたい、いちげんさんの気持ちで参加したから、怖いもの知らずもいいところだった。そもそも、なんでもいいから、その時プライベートで抱えていた憂さ晴らしと、どうにもやる気にならない自分の気分転換を兼ねて参加しただけであったから。

きっと、どういう生徒さんの役に立てるか・・・?ということに悩んでいて、生徒募集をしようにも、方向性が見いだせなかったのだと思う。面談のお申し込みがあっても、何となく気乗りのしないお返事をし(この方に入っていただいて、大丈夫だろうか・・・?という懸念の方が先立った。)、ご紹介されても、まあ、そのレベルなら(上位層)なら、別に大丈夫でしょう・・・、と気のない返事をして、入塾していただいたこともあった。入塾されて、何が起こるか、正直怖かった。

面談をして、入塾していただかなければならない。でも、大丈夫だろうか・・・?と葛藤していた。身体が動かなかった。

でも、お電話があったり、面談をする中で、あ、これはウチだ!この生徒さんはお預かりしたい!と思わせられる生徒さんはいらした。そういう場合は、私の方も、積極的に、「お預かりさせてください!」とお話しすることができた。それでも、直感以上の何か、というものは掴めていなかった。昨年は、ほぼほぼ無理やり、先生のところでお願いします・・・、とおっしゃって、お預かりしていた生徒さんもいらした。

実に3年目の昨年度の指導で、ようやく私は、見えてきた気がしている。

うちは変わった塾である。

だいたい、代表の私が、塾だと思っていないところがある。塾の認識を、教科指導だけ、と思っている人には、合わないだろう。

一方、私は、コテコテの大学受験の国語科講師。教科指導は大好きである。だから、そういう人は、あっさり対面で教科指導を受けるか、何ならZOOMで、国語の教科指導を受けてくだされば、それはそれで、非常に効果的だろう。うちに来て、国語が伸びなかった、あるいは、ほかの教科より国語が得意、という状態にならなかった生徒さんはほとんどいない。

では、どういう生徒さんとお付き合いしたいか?

教科指導はする。もちろん。成績を上げたり、安定させたりするのが、我々の使命であるから。

でも、表面にある、教科だけを伸ばせ、と言われても、勉強は自分との闘い。打ち勝つ精神力を培っていただかなければならない。

それに、ご家族で一致した目標を持っていただくことが大事である。人ひとりの受験には、相当な成長(勉強するとかしないとか以上の。)が背景に必要なので、まず考え方もしっかりしたものにならなければ、効率が悪い。

要するに、少し遠回りしても、その後に続く成績が、効率的に伸びるよう、また、その先でも勉強ができるように、指導していきたいと思っているのである。

と言葉で言えるようになったのは、最近である。

数年前、成績を伸ばしたいから言った言葉に、

そんなんどうでもいいわ。点数だけ伸ばして!

と言われて、ああ、ちょっと無理だな、と思った。そんなショートカットの仕方を私は知らない。

だいたい伸びる子は、強い。不機嫌だからと言って、周りに不機嫌をまき散らしたり、人に八つ当たりなどしない。だって、自分を鍛錬するために受験があるのだから。そして、自分に勝つことができた人が、受験にも勝つのだと思う。

卵が先か、ニワトリが先か・・・?

自分のご機嫌を取るのがうまい人は成績も伸ばしやすい。成績が伸びるから自分も機嫌よくいられるのかもしれないけれど。

もちろん、いろんな環境もあるだろう。親御さんとの関係など。でも、所詮、先に自分の機嫌をとれた方が勝ちだ、その分、自分の力は付くから。

そのプロセスを踏んで、指導がしたい。少し気長に思われるだろうし、すぐに効果が出ないこともある。

けれど、今年の指導で、ああ、これでいいんだな、と思えた。

一生懸命に気持ちを解きほぐして、何を考えているかということを整理して、それでご自分の意思が明確になって、だから、危ない、ともいえる合格を勝ち取った生徒さんが、何人もおられたのである。

過程は大変だったけれど。

それでも、久しぶりに、指導できた、と思えた。

私の場合、教科だけを指導しているのでは、指導した気がしない。あの子たちには何もできなかった、と思ってしまう。

コーチングをし、カウンセリングを重ね、勉強するのに最も良い状態に持っていく・・・。私のできる範囲で。

それができたのが、昨年度(この3月に終わった指導。)の指導だった。

私の意志が明確になった。

教科指導だけの人を受け入れない、というのではない。ある程度自分の勉強法が確立している生徒さんにはそれでいい。でも、もっと伸びる、と信じられる生徒さんには、私はまた、あれこれさせていただきたいのである。

だって、もってる能力を中途半端に置いておくのはもったいないから。最大限の力を引き出したいから。

そのためには、教育委員会にだって走ったこともあるし、お医者様のアドバイスもお聴きしたこともある。専門家には、徹底的にご相談する。頼りにする。

もちろん、どうしたって、どうすることもできないことがないわけではない。

この前の2月から3月にも悩んだ。

ある人が言ってくれた。

どうしたって、この話、バッド・エンドにしかならない。先生が動けば(仮りに誠意で。)、合格したら、何でも自分の思い通りになることになるし、つまりは人をどうにでも動かせる、という事例になるし、指導して不合格であったなら、みんなが苦しむことになりますよね・・・、という事例があった。

ときに教師は、何にも考えずに指導したくなるし、ただ合格に向かって全力になってしまう。でも、それがすべてではないことがある。合格が事柄になってしまってはいけない。

そんなこんなをあれこれはっきりできた春である。

昨日も、新たな出会いがあった。

ああ、この生徒さんを伸ばしたい。全力で・・・。と心の底から思った。


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櫻井真弓/国語大好き!(&数学)
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