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個人開発者がプロダクトマネージャーになってみて

こんにちは!プロダクトマネージャーのひまらつ(@himara2)です。

私はいまプロダクトマネージャーとして働いていますが、以前はエンジニアを10年ほどやっていました。エンジニアの頃から好きで続けているのが個人開発です。趣味の時間を使って自分の好きなものを好きなように作る。うまくいけば喜びの声をもらえたり多くの人に使ってもらえたりする。個人開発にはワクワクが詰まっています。

個人開発とプロダクトマネージメントはよく似ています。このnoteでは個人開発を10年少し、プロダクトマネージャーを3年ほど経験した私がその共通点や相違点について書いてみます。個人開発者のキャリアとしてプロダクトマネージャーはアリだと思っています。

では、まず似ている点から書いていきます。

似ている点

個人開発もプロダクトマネージメントも総合格闘技

個人開発もプロダクトマネージメントも総合格闘技です。つまり、スペシャリストではなくジェネラリストな戦い方が求められます。

個人開発はほとんどのケースで予算はなく、作ったものを自分でどうにか広める必要があります。個人開発者のなかでは使える時間を開発とマーケで50:50に分けようという話もありますが、作るだけではなくそれをどう届けるかまでよく考えます。個人開発のプロダクトは一人で作ることが多いため、必然的にサービスのコンセプトやデザイン、ライティング、料金プランなどを自分が考える必要があります。すべての領域にタッチします。

プロダクトマネージャーは多くのスペシャリストをつなぐ「ハブ」的な役割です。エンジニア、デザイナー、マーケ、セールス、カスタマーサクセス。専門的な知識ではどの職種にも劣るでしょう。その中で全体を見渡し、ユーザーの方を向いて最善の判断をしていくことが求められます。いろいろな職種と話すためには各方面の知識、そして何より好奇心が必要です。領域をまたいでコラボレーションする。これは個人開発と似ている点だと感じます。

自分の好きなものを熱中して考える

個人開発はお金になることもありますが、何よりもの褒美は自分の好きに作れることです。自分が必要だと思ったり、純粋に作りたいと思うものを具現化することには喜びがあります。退勤後に一瞬でご飯を食べ終えてコードを書き始めたり、ユーザーからのメッセージを見て今後の展開を妄想する。他サービスを使っている時の活かせるアイデアはないか無意識に探してしまいます。プロダクトのことをずっとぼんやり考えている状態です。

プロダクトマネージャーも四六時中自社のプロダクトについて考えます。複雑な要件を紐解いたり、足りない知識を本を読んで補ったり、チームやユーザーに伝わりやすい表現を考えたり。決められた時間でこなすというよりは、普段からずっとプロダクトのことを考えておき、周囲で起こる色んな要素から着想を得るような感覚があります。見たものや触れたものについて、「これをプロダクトに活かすとしたらどうできるか?」と考えるのは面白い頭の体操です。

どちらにも共通しているのは、そのプロダクトを好きじゃないと難しいということです。世の中にまだ受け入れられずとも自分だけはその価値を信じている、それを必要な人が必ずいると思えるかどうか。価値を理解できないプロダクトでは良い働きはできないでしょう。

優先度と仕様を考える

プロダクトマネージャーの主な仕事は「次に何をつくるか」「それをどうつくるか」を考えることです。ユーザー理解のためのインタビューや各領域のハブとして動く役割も、最終的にはこの2つの仕事につながります。

個人開発はすべてが独断です。必要だと思うもの、ユーザーが喜びそうなものを自分で考えて自分で作る。どちらも同じような判断をしていますが、このあたりから違っているポイントが出てきます(次で述べます)。

違う点

感覚で終わらず言語化する

プロダクトマネージャーが必要な組織には少なくとも10名前後のメンバーがいるでしょう。個人開発ではなんとなくで進められますが、組織では自分がなぜそう判断したのかを他メンバーに言語化して伝える必要があります。人数が増えるとそれだけ意見が増えてきて、全員の意見が一つに統一されることはレアケースです。自分のアイデアが採用されなかったメンバーが必ず出るので、なぜその案が選ばれなかったのかをしっかり説明する責任があります。

「なんとなくセンスで決めた」と言われてしまうとメンバーが意見できません。言語化して理由を書くことで初めて周りがツッコミを入れる余地ができます。「自分の意見とは違うけどプロダクトマネージャーが言ってる理由もわかる。今回はそれを全力でやってみよう。進めてみてその選択肢が微妙だと感じたら、またその時に話してみよう」。こんな感じで、同意はなくとも合意できるメンタルを作るプロセスが重要です。

タイムスパンの考慮が必要

個人開発は予定は未定です。自分の気が向いたときに開発を進めます。プライベートが忙しかったら全然コードを書かない日もありますし、逆に連休をすべて費やして進捗を出すときもあります。ひとりの趣味ならそれでOKですが、仕事で多くの人数が関わると話が違ってきます。

関わるチームや部署が多くなると、プロダクトがどこを目指しているのか、直近でどういう機能がリリースされるのかの連携が必要です。この擦り合わせにはロードマップが有効で、少なくとも半年から一年くらいの開発ロードマップを立ててそれベースで話すとディスカッションしやすいです。ただし、ロードマップを作るとメンテがです。差し込みがあったらその分後ろにズラしたり、進捗を確認して遅れがないかチェックしたり、運用が発生します。個人開発の場合はやってもせいぜい超適当に見積もるくらいですが、チーム開発ではある程度のタイムスパンを定める必要がある。このあたりは大きく違うでしょう。

関わる人が多い

個人開発は多くの場合一人ですが、プロダクトマネージャーは関わる人数が多くなります。プロダクトマネージャーになって感じたのは会議の進行をする機会がとても多いことです。例えば仕様を考える時いろんな部署の人を呼んで意見をもらいますが、その進行役は自然と自分になります。個人開発にはまったく登場しない仕事なのでこれは性格に合う合わないがあるかもしれません。

また、チームの集合知を活かすというのもプロダクトマネージャーの仕事です。一人の思考にはどうしても限界がありますが、チームならお互いの観点を補い合ってより良い判断を下せます。これはチーム開発の面白い部分ですね。

(↓意思決定と集合地については以前noteに書いたので興味があれば読んでみてください)

小さくまとまらないよう注意が必要

個人開発のリソースは自分ひとりで、どうしてもできることは限られます。例えば機械学習を使った機能を思いついても、それに長期間かかりそうなのが分かると後回しにして違う機能開発を優先したりします。

チーム開発は使えるリソースの種類も量も遥かに多く、何倍も大きな仕事をできます。短いスパンで作れるものを優先しすぎず、本当に価値のあるものは時間を注ぎ込んで作り切る。そういうフルスイングも時には必要です。成長の傾きを変える取り組みをStep Changeといいますが、非連続な成長をするためには何ができるか?は常に頭のなかに入れておきたいところです。

おわりに

個人開発とプロダクトマネージメントを比較して共通点や相違点を書いてみました。自分としては通じる部分がかなり多く、個人開発者が会社で働く際の職種としてアリな気がしています。

ちなみに個人開発時代に独学でやっていたデザインやマーケ、セールスについて詳しいメンバーから話を聞けてとても面白いです。個人開発側にもフィードバックがあり、総合的にプロダクト作りを理解する良い経験になっています。個人でも会社でも良いプロダクトを作れるよう頑張っていきたいです。


プロダクトマネージャーをやりながら学んだことを「PdM日記」と名付けて書いてます。よければ読んでみてください:)

X (Twitter): @himara2

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