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マックスウェーバーの「官僚制」


【官僚制】 

  近代国家は、地方に分散していた支配権を独占することによって誕生しました。その政治と経済を発展させたのが「官僚制」というシステムです。政府における官僚制は「官僚」と呼ばれる専門の行政スタッフによって構成されています。官僚は、偏見がなく非党派的であるため、特定の集団の利益を代表する政治家には不向きです。

 【組織】

  官僚制の組織は、きわめて合理的に管理されています。その人間関係は、非人格的な結びつきです。組織内では、強制的に個人の自由は制限されます。そこに、個人的な感情が入り込む余地はありません。命令する者もそれに従う者も、ただ単に組織の秩序維持のために働いています。官僚制においては、何よりも組織の持続が優先され、各人の個性は重視されません。経済の分野では、官僚制的な合理化は、生産性を向上させました。その合理化の一例が、作業効率を上げるために規格を統一したことです。

 【規則】 

  官僚制の規則は、きわめて合理的です。その合理的な規則が組織を体系化させました。官僚制の業務は、合理的な規則に従うため無駄がありません。その規則を決めるのは、権限のある者です。組織内の意思決定と業務は、すべて規則に基づいて行われます。だだし、その規則は、一定の手続きによらなければなりません。組織内のすべての業務は、規則の範囲内にとどまります。しかし、それには問題点もありました。本来の目標達成より、規則の順守の方が重視されることがあるからです。 

 【階層】 

  官僚制には、ヒエラルキー「階層」による明確な上下関係があります。その階級を決めるのは、組織の規則です。階級ごとに、それぞれ権限や職務内容が違っています。官僚制の指揮命令系統は、上位下達の方式です。下位の者は、上級者の命令を指示された通りに正確に実行します。そこには、個人の思想信条は介入しません。その方が、迅速に仕事を進めることが出来るからです。 

 【文書主義】 

  今日の行政機関や民間企業の記録のとり方は、すべての業務を文書として残しておく文書主義です。官僚制の組織では、文書主義が重要視され、何事も文書にする事が義務づけられています。その文書は、単に文書があればいいというだけではありません。それには、形式的な要件を備える必要があります。その内容が、客観的に社会に通用する形でなければならないからです。一部の人にしか分からないような専門用語は、あまり多用すべきではありません。一般の人に分からない文書では、意味がないからです。

 文書は、一定の規則と手続きに従った書式で残す必要があります。一定の形式で書くのは、公正・公平・確実に業務を遂行するためです。 文書には、時間や空間を超えても、意思伝達が可能であるというメリットがあります。また、他の方法に比べて客観性があり、あまり主観に左右されることがありません。文書の記録は、長期間の保存が可能です。文書化すれば、何度も読み返して確かめることができます。何かあった場合、後から検証することが可能です。そのため確実性があります。 

 【専門化】 

  官僚制の組織は、体系化されており、その役割は明確に分配されています。それぞれの役割を担うのは、専門的な知識と技術を備えた者です。官僚制では、それぞれの専門家が、分業して業務をこなしています。その方が、スピーディーで効率的だからです。職務を行う者は、前提として高度な専門的訓練を受けています。例えば、司法機関を運営するのは、法律の専門スタッフです。その専門スタッフは、法令順守の強制や違反者の処罰を業務としています。

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