犯罪者 二文字抜いたら 歯医者だね
そんなことは思って無いです。いや、実際犯罪者から二文字抜いたら歯医者なんですが、歯医者のことを犯罪者呼ばわりしようとは思っていません。先日、歯医者で親しらずを抜かれてきました。
めちゃくちゃ痛かったです。そんなわけで、歯医者を犯罪者扱いしてしまいました。憎かったです。自分で来院したんですが……。
どうやって歯を抜いているのか
やられててもこれよくわかんないんですよね。激痛に耐えながら音と感触を頼りに想像するに、以下のような道具が使われています。
1.高速で回転する刃がついた、棒。
2.バキューム
3.L字型の釘抜き?に近いもの
これらを……いや、やめましょう。実は一回かなりの工程(想像)を書き連ねたのですが、めちゃくちゃ読んでて痛そうだったのでこれエグいなと思ってやめました。
痛い話といえば、僕はクラスで笑いが起こると辺りを見回して「俺の他に誰か笑っていない奴はいないか……」と探していました。ていうか今もやります。痛いエピソードだ……。
いやぁ、しかし治すためとは言えあのような暴力で人間が人間を押さえつけて良いんでしょうか。正しい暴力は果たしてあるのか。殺人罪があるのに死刑制度があるのはなぜか。国家が暴力装置を用いて平和を維持せんとするのは正しいのか。現代日本の課題です。
そんな歯シズムの抑圧から解放されたあと、僕は気になっていることがありました。歯を抜くのに使った機械についてです。先ほど「高速で回転する刃がついた、棒」と書きましたが、具体的に言うとなんかピザカッターみたいなものを想像していたんですね。こういうやつです。
やっとシンエヴァの話です。歯を抜く機械からなんとなくシンエヴァを思い出しつつ、僕が「へぇっ……痛ェーw……あ~」とか言いながら目についた百均に入ると、エヴァンゲリオンコラボのロディちゃん人形があったので買ってみました。
かわいいね。
普段から売ってるわけではなく『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のコラボ商品だと思いますが……縁を感じて、買いました。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』感想
エヴァンゲリオンには90年代に放送されたTVシリーズ+劇場版と、ゼロ年代以降に上映された新劇場版シリーズの2つがあります。
前者の完結編が97年公開の『THE END OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを君に』(通称EOE、旧劇、夏エヴァ)であり、新旧両シリーズを包括した最後の完結編が今回の『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』です。
さて、エヴァンゲリオンは他者とのコミュニケーションが上手く出来ない人たちの話だと思うんですよね。自分の伝えたいことが、伝えたい相手に言葉で上手く伝えられない人達の話です。僕はこの「言葉で」というところが重要だと思っています。このポイントが、エヴァンゲリオンの旧シリーズにある特徴をもたらしています。
一言で言うと、エヴァンゲリオンの旧シリーズって性描写がやたら多いんですよね。テレビ東京の夜7時台に放送されていた癖に主要人物のセックスシーンが登場しますし(声だけですが)、旧劇場版では直接的な描写は少ないものの、終盤になると露骨に性器や性行為をモチーフにしたシーンが存在します。
なぜ登場人物が過剰に性にとらわれなければいけなかったか、そして性を使って表現しなくてはいけなかったか、僕は「言葉でコミュニケーションできなかったから」だと思っています。
作中のキャラクターは他人に言葉を上手く伝えられないから身体を交わしたり、性的な視線を送ることでしか繋がることができないし、また庵野秀明は自分の表現したいことを、セックスや性器を描くことでしか観客に伝えるしかできなかった。だからシンジは旧劇場版冒頭で自慰に耽り、加持との性行為に耽溺した大学生活を送ったミサトさんは「大人のキス」でしかシンジくんを送り出せない。
でも、シンエヴァでは違います。シンエヴァが時々「セリフで説明しすぎだ」と批判されているのを見ました。でも、僕はそれで良いと感じました。今まで散々黙って、言葉で何も伝えられなかった人たちがとにかく喋りまくる。そういう映画で良いんだと。
そして、今回ミサトさんは旧劇場版と同じ箇所を撃たれ、再びシンジくんを送り出す。けれど、そこに大人のキスは無い。別れの言葉を、言葉で告げる。加持さんとミサトさんには子供がいる。旧シリーズでミサトは「多分ねえ。自分がここにいることを確認するために……こういうことするの」と語っていたけど、もうきっとそうではないでしょう。
だから僕はシンエヴァを「言葉の代わりに身体を通してコミュニケーションしていた人たちが、そうしなくて良くなった、言葉を使えるようになった映画」だと思いました。まぁ、シンエヴァ感想なんて色んな人がやってるわけで、こんなのもありふれた感想だと思います。けど、とにかく僕はそう思いました。
これも手に入れました。
もう少しだけエヴァの話をします。ごく個人的な話です。
シン・エヴァを観た父親(と、僕)
ちょい前から父親がネトフリに入って、よくアニメを観るようになりました。シンエヴァも観に行ったらしいんですが、僕は元々父親とどうやって関わっていいのか若干わからないんですね。多分それは向こうも同じだと思います。幼いころ、印象的だった思い出が二つありまして。
・父親からキャッチボールに誘われたのだが、僕がとてもつまらなそうにしていて、結局その一回きりだったこと。
・父親が創作童話をしてくれたのだけど、本当に難しく大変そうに話していて、結局その一回きりだったこと。
(母は毎晩僕に絵本と創作童話を語ってくれていて、たぶん父に1度やってみるよう勧めたんだと思います。母は生後〜小2くらいまでやってくれていました。長っ!)
僕と父親は決して仲が悪いわけじゃないけど、ずっとどう関われば良いのかわからなかったし、何か話す時は父と息子の形をなんとかやっている気がします。たぶん僕は「“一緒にキャッチボールをして遊べる息子”になれなかったこと」を、父は「”上手く創作童話をできる父親”になれなかったこと」を引け目に感じているんです。それをお互いわかっていて、いつでもぎこちない。
そんな父がシンエヴァを観て帰ってきた日、僕は父とシンエヴァの話をしたました。ゲンドウの一人語りがやたら長かったことや冒頭のパリ編がかっこよかったこと、最後の実写シーンが庵野の故郷・宇部新川らしいということについて話したと思います。母が「二人がこんなに長く話しててなんか嬉しい」と言って笑っていました。
それで父親から入場特典を貰いました。僕が貰ったのとは別のやつで、ありがたかったです(真ん中折れてたけど)。父は、シンジとゲンドウを観てどう思ったんだろう?
もしかしたら全部、僕の勘違いの思い込みで、別に父は特に壁を感じることなく僕と接しているのかもしれないけど、それでも僕は父とあんなに長く話せて嬉しかった。
だからありがとう、すべてのエヴァンゲリオン。
エヴァの感想としてめっちゃ良い気がしてきた……あ、こんなこと最後に言うと嘘っぽいかもですが、嘘じゃないですよ!ほんとですよ……。