入門マクロ経済学(中谷):通貨乗数
中谷の「入門マクロ経済学」の第5版をメルカリで500円くらいで購入して、読んでいます。6版が最新ですが、メルカリでも2000円くらいするのに対して中身的には最後のコラムが更新されている程度の違いしかないようなので、第5版がお得に感じました。読みながら気になったところだけ、備忘録的に記録を残しておこうと思います。
今回は通貨乗数です。マネーサプライを$${M}$$、ハイパワードマネーを$${H}$$、現金・預金比率を$${c}$$、準備金・預金比率(預金準備率)を$${r}$$とすると、
$${M=\frac{c+1}{c+r}H=mH}$$
ただし、$${m=\frac{c+1}{c+r}}$$で通貨乗数です。
中谷には上式から分かる通り、通貨乗数は現金・預金比率$${c}$$、預金準備率$${r}$$の減少関数になるとありました。預金準備率の方は分母にあるだけなので自明なので、現金・預金比率ついて確認してみたいと思います。
通貨乗数$${m}$$は$${c}$$と$${r}$$の関数なので、偏微分して偏微分係数を評価すればよいですね。$${m}$$を$${c}$$で偏微分すると、
$${ \frac{\partial m}{\partial c}=\frac{(c+r)-(c+1)}{(c+r)^2}=\frac{r-1}{(c+r)^2}}$$
となり、$${r<1}$$より、$${ \frac{\partial m}{\partial c}<0}$$となるので、通貨乗数 $${m}$$は現金・預金比率$${c}$$の減少関数です。