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始めあり終わりあるは、この世の常の理、盛者必滅はすなわち人のさだまれる則なり。


        空海

この言葉は、仏教思想の根幹をなす「無常観」を強調しており、空海がその教えを通じて伝えた深い哲学を反映しています。


この言葉は、仏教における「無常」の教えに基づいています。無常とは、すべてのものが常に変化し、永久に続くものは何もないという真理です。


この考え方は、釈迦が悟りを開いた時に到達した基本的な理解であり、仏教の教義の中で中心的な位置を占めます。

仏教では、世界のすべてのもの(人間、動物、自然、社会、さらには感情や思考まで)が、生成と消滅のサイクルに従って変化し続けると教えています。

この変化のサイクルを理解し、執着を手放すことが、悟りに至る道とされています。

「始めあり終わりあるは、この世の常の理」

 すべてのものには始まりがあり、必ず終わりがあるというのは、この世の普遍的な真理です。この世の中のあらゆるもの(人間の人生、権力、富、文明など)は、必ず生まれ、そして消滅します。

これは避けられない事実であり、どんなに努力しても変えることはできません。

「盛者必滅はすなわち人のさだまれる則なり」

 栄えているものも、いずれは衰えて滅びることは、人間に定められた運命であるという意味です。ここでの「盛者」とは、権力や富、名声を手に入れた人々や国々を指しますが、彼らでさえもこの世の無常から逃れることはできません。

最終的には、すべてのものが衰退し、消えていくという運命を避けることはできないのです。




この言葉は、仏教の教えに基づく人間観と世界観を象徴しています。仏教では、すべてが無常であることを理解することが、執着を手放し、苦しみから解放される第一歩であると説かれています。

執着の危険性

人は富や権力、名声に執着しがちですが、それらはすべて一時的なものであり、やがては失われます。執着が強ければ強いほど、それを失ったときの苦しみは大きくなります。

謙虚さと悟り

この無常の理を理解することで、人は謙虚になり、永遠不変のものに依存せず、自分自身を鍛え、精神的な成長を目指すようになります。悟りとは、無常を受け入れ、心の平安を保つことでもあります。

歴史的文脈と影響

この言葉は、日本の歴史や文化においても重要な意味を持ちます。例えば、平家物語には「盛者必衰」(盛んなる者も必ず衰える)の言葉が繰り返され、これは平家の栄光と衰退を描くテーマとなっています。

日本文化における「無常観」は、文学や芸術、哲学に深く根付いており、時代を超えて人々に大きな影響を与え続けています。

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