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自ら省みて縮(かお)くんば千万人といえども吾往(われゆ)かん。


      孟子

この言葉は『孟子』の「公孫丑章句上(こうそんちゅうじょうくじょう)」という章にあります。


孟子は諸侯を巡りながら、道徳的な統治を説きました。当時の中国は戦国時代であり、各国が互いに戦い、政権が頻繁に変わる混乱の時代でした。このような時代背景の中で、孟子は道徳や正義を守ることの重要性を強調しました。

自ら省みて
自分自身の行いを振り返ること。

縮(かお)くんば
恥じることがあれば。

千万人といえども
数えきれないほどの大勢の人々が。

吾往(われゆ)かん
私は進む、行動する。

この言葉をもう少し細かく解説すると、次のような意味になります。

内省の重要性
  孟子は、自分の行いを常に振り返ること(内省)の重要性を説いています。内省することで、自分が正しい道を歩んでいるかどうかを確認することができます。

道徳的な勇気
  自分の行いを振り返って恥じることがなければ、たとえ大勢の人々が反対しても、自分の信じる正しい道を進むべきだという強い意志が表れています。これは道徳的な勇気を持つことの大切さを示しています。

集団に流されない
  多くの人が自分に反対する場合でも、自分の信念を貫くことが重要だと教えています。これは、多くの意見に流されず、自分の価値観や信念に従って行動することの重要性を強調しています。


孟子の教えは、具体的な状況においても示されています。例えば、孟子はしばしば王や諸侯に対して道徳的な統治を説きました。

彼が各国の王に対して「仁政」を説いた際も、多くの反対意見がありましたが、孟子は自らの信念を貫き、道徳的な政治が重要であると主張し続けました。

この言葉は、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。例えば、職場や学校で他人の意見に流されがちな場面で、自分の信念や価値観を大切にすることの重要性を教えてくれます。


また、社会全体がある方向に流れていると感じる時でも、自分の内なる声に耳を傾け、自分が信じる道を進む勇気を持つことの重要性を示しています。

孟子のこの言葉は、内省の重要性、自分の信念を貫く勇気、そして集団に流されずに自分の道を進むことの大切さを教えています。この教えは、混乱した時代の中で道徳を重んじた孟子の哲学を象徴するものです。

#孟子 #内省 #仁政  

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