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★誕生日の物語#24-2

あなたが僕にくれたものは、無償の愛。
産まれて落ちてすぐに忌み子として流刑となった僕を拾い上げ、いまは亡き魔国の落胤と知れた後にも、あなたは躊躇うことなく有形無形の愛を注ぎ続けてくれた。
『あなたに仕えることが私の幸せだから』
冗談めかして告げられたその言葉の奥にも、僕は確かな想いを感じ取れた。
『だから幸せになって、幸せでいて』
祈るように捧げられたあの言葉が、訣別の意味を含んでいたとは思えない、思わない。
だから。
あなたのために行こう。
あなたのためだけに成してみせよう。
研ぎ澄ませ鍛え抜いた自慢の牙に自慢の爪、そしてひと振りの剣を携えて、目指すのは月の城だ。
位相を超えて侵食してきた異形の城は、かつて僕の魂が生まれた場所でもあるらしい。
だけど僕はそこに行くつもりもなければ、王になるつもりもない。
今更世界に復讐をと、言われたところで乗るはずもない。
威嚇の唸り声だけでひれ伏す雑魚に、爪の一薙ぎで吹き飛ぶ結界、醜悪な幻覚を見せる惑いの森の迷宮すらも、僕の前には児戯に等しい。

「さあ、取り返しに来たぞ!」

王宮の門を一閃し、宣戦布告を。
信じているのはただひとり、全身全霊をかけて護るべきは彼女だけだと、僕の魂が告げている。

*誕生石・誕生日花*
ブルージルコン: やすらかな時間・夢想・成功
真珠:健康・長寿・富
ムーンストーン:富
トルコキキョウ: すがすがしい美しさ・優美・希望
ゼラニウム:尊敬・信頼・真の友情

Copyright RIN

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▶︎誕生日の物語とは?
あなたの誕生月&日の石と誕生日花をキーワードにつづる少し不思議な物語
正式なリリースの前にFacebookでモニター募集させていただいた34編を順次公開いたします


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