【オーダーメイド物語】誕生日の物語#18
街を囲む結界壁から一歩でも外へ出てしまえば、そこには死の気配が満ち満ちている。
月が雲の向こうに隠れてしまえば、夜の森に息づく魔性の影はその存在を一層強めるだろう。
けれど、私の警戒はほんの一瞬で終わる。
なぜなら、頭上に舞い降りた存在が、月よりもなお清浄なる光で一帯を薙いでしまったから。
おびただしい数の黒きモノが、悲鳴ひとつあげる間も無く蒸発する。
「……まあ、そうなるわけね」
溺愛ゆえに生まれる過剰な加護の発動だった。
破魔師としての力を試すため、あえて危険な夜の時間を選んだのは私の意志。
けれど、生まれたばかりの私に降臨し、祝福を与えたこの守護天使は、ほんのわずかなリスクすらも見逃すつもりはないらしかった。
頭を抱えたくなったところで、いずこからともなく山吹色の小鳥がやってきて、この肩にふわりと止まった。
その嘴には、見覚えのある玉飾りで結えられた書が一通。
いそいで紐を解き、文字を追い、そして溜息が落ちた。
「ついに、教会から正式な通達が来てしまったわよ。聖域認定に一級破魔師認定、あげくの王都召喚ときたわけだけど」
どうするつもりだと半ば呆れながら天使を見上げれば、彼はひどく満足げな視線を返してきた。
*誕生石・誕生日花*
レッドコーラル:厄除け、魔除け、ポジティブ思考
エメラルド:幸運・清廉・不老長寿
アイリス:よい便り・メッセージ・希望
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▶︎誕生日の物語とは?
あなたの誕生月&日の石と誕生日花をキーワードにつづる少し不思議な物語
正式なリリースの前にFacebookでモニター募集させていただいた34編を順次公開いたします