
★鉱石の囁きを閉じ込める物語#07
アズライトの囁き
一段、また一段と、地の底へ続く天然石の階段を降りるたびに、魂が飲み込まれてしまうかと思うほどに青く、蒼く、碧く、深く澄んだ輝きに満ちていく。
青に触れるたび、私の内と外の境界が揺らぎ、私は私を形作る『私』という幾重にもまとった殻を脱ぎ捨てていく。
脱ぎ捨てながら研ぎ澄まされ、視点が、視野が、視座が、私という枠から大きくあふれ広がり変化してゆき、救い、救われ、護り、護られながら、私たちの命はこの紺青の美しい光のなかで巡っているのだと理解させられていく。
そうして魂の核だけの存在となって、ようやく夢の王の間へと辿り着くのだ。
『お前はここになにを視た? なにを観たい? なにを魅せる?』
冠を頂く獅子の姿をした王は、常世と現世の境界線上でたゆたうようにゆるりと玉座にその身を預けながら、半分だけ開いた瞳でこちらへ問いかける。
眠れる王との謁見は、未来視であり、多重世界や並行世界の可能性を垣間見る予知夢だ。
「私の識るべきすべてを望み、すべてで臨み、すべてで魅せてごらんにいれましょう」
この世に在らざる音に晒されながら、私は私の一番奥底にある望みを、潜在意識から引き上げた真なる魂の願いを口にする。
私はここで得たものを、その全てを、持ち帰ると決めていた。
了
◆7-16-1アズライト
キーワード:瞑想、決断、発想力、幻視能力
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Facebookにて、オーダーメイド物語の新メニュー考案のために募集したモニター企画でした。
オーダーメイド物語としては初のお手紙方式(郵送)でお届けです。
運命のダイスを転がした結果の鉱石をモチーフとした、少し不思議な500文字の物語。
物語とリンクする形で、鉱石イメージのインクを使い、
ガラスペンでカードに「鉱石の囁き」を綴っております。
*カードの内容はこちらでは非公開としています