【オーダーメイド物語】誕生日の物語#07
しんしんと降り注ぐ雪水晶が、淡く発光しながら朽ちた石階段を冷たい白で覆っていく。
一段一段を踏みしめるように登っていけば、私の後にはスノードロップの花が咲く。
これから行うことへの祝福なのだと、かつての友の言葉を思い出して、ついと笑みが落ちた。
そうして長い時間をかけて、たどり着いたのは廃墟の神殿。
またの名を、追憶の園。
鮮緑色に青や琥珀、深紅色がまざりあう複雑な色を宿した十六夜月が、瓦礫と割れたステンドグラスの散らばる広場に光と影とをゆらゆら踊らせる。
幻月の凍りついた夜にふさわしい光景だ。
千年も昔に潰えた古の国に伝わる御伽噺を、私は今宵、現実に変える。
過去を未来に、未来を現在に、現在を夢幻に。
時を駆け、次元を超えて引き寄せるのは、かつての友、かつての同胞、かつて共に世界の覚醒を約束した仲間たち、その縁。
一度は散った願いが異なる位相で巡り合い、声が、歌が、世界が、幻想の夜に重なり呼応する。
「さあ、ここから始めましょう」
神の定めた滅びから逃れ得るための、『世界の革命』がここから始まる。
*誕生石・誕生日花*
アンモライト:過去の思い出・想像力・才能・幸運
ガーネット:秘めた情熱・友情・真実・優雅・勝利
スノードロップ:希望・慰め
ベンジャミン:友情・信頼・融通の利く仲間
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▶︎誕生日の物語とは?
あなたの誕生月&日の石と誕生日花をキーワードにつづる少し不思議な物語
正式なリリースの前にFacebookでモニター募集させていただいた34編を順次公開いたします