【オーダーメイド物語】琥珀の夢、破魔の言の葉
宵闇の中、ナナカマドが灯す朱金の炎が鮮やかに舞う。
屋敷の門が開くのを待って、やんごとなき隔世の住人たちが厳かな空気を引き連れて帰っていくのを、私は治癒院の主として見送った。
彼らからはシャンララとこの世ならざる澄んだ音がこぼれ落ち、尾を引きながら消えていく繊細なる旋律は、聴く者に心地よい余韻を残す。
やがてその背が時の向こうへと溶けていき、照らすナナカマドの灯りも儚く消えて、そうしてこの度の治療が無事に終えられたことを確信したところで、ようやく安堵の息をもらした。