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うちのテツ、しりませんか? その2
テツの捜索から2時間が経過。
徒歩で探す私は、暑さがなによりも脅威だと痛感していた。
太陽がチリチリと照りつけ、喉はもうカラカラなのに、汗はボタボタと流れ落ちてくる。真っ黒い毛のテツには、ひとたまりもない暑さだ。
アスファルトは焼けるように熱いだろう。
いつもの散歩道、手綱だけを持ち、「黒い犬をみませんでしたか」と、会う人会う人にたずねるも、みんな気の毒そうに首を横にふるだけ。
一方、主人も同じように悲壮感漂う顔で探し回っていたらしく、ただならぬ様子に、近所の車屋さんが「なんかあった?」と車を止めてきいてくれたそうだ。
「テツがいなくなった」
「えー!わかった!見つけたら連絡する!」
なんと有り難く、頼りがいのある人よ。
これがテツの命運を分ける運命の出会いとなった。
暑さと心労でヘトヘトになって、もう半ばあきらめモードで家路に向かっていた私の携帯が鳴った!
「テツが見つかった!」
「うそー!!!どこで?」
「南警察署前の横断歩道!今、警察官が3人で誘導してくれているって」
「警察官?なぜに?」
イミガワカラナイ。
それに、その警察署まではうちから1.6キロもある。
「車屋さんがみつけてくれた!俺もよくわからん。とにかく今から迎えに行ってくる」
と、夫が長女の婿さんといっしょに迎えに走った。
一家総出どころか、ご近所さんや、まさかのおまわりさんまでがテツのために総動員!
おかげで、生きてた!よかった!無事でいてくれた!
ああ、ありがとうございます!
私はまた、天を仰いだ。
つづく