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新しいバッグ作りへの挑戦

かご専門店「ORIKAGO」のアトレ松戸店に、先日ちょっと系統の違う商品が並びました。

ブランド名は「Sisalana (シサラナ)」。かごと同じ植物繊維、サイザルを用いた新しいタイプのバッグです。

バッグに使用している織り生地は、ケニアで3年の月日をかけて独自開発した織り生地です。伝統的なかごの技術を生かして、もっと商品の幅を広げられないかと考えて初めた織り生地作りですが、専用の糸の研究、機織り機の作成など、様々な試行錯誤を経て作ったもので、今もまだ開発途中の生地であると思っています。

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実は、最初からバッグ作りを想定していたわけではなく、全く別の商品展開を考えていたのですが、日本の革職人の皆さまとの出会いから、サイザルを用いたバッグの新たな可能性を模索し始めています。

デザインの知識も経験もない私が、新しいバッグに挑戦することになった経緯と、このバッグをデザインするうえでの思いを少しだけ綴ります。

日本の革職人との出会い

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モノづくり素人がモノづくり事業を始めてしまったため、創業当初から日本のあらゆる職人さんにお世話になっています。中でも、特に長くお世話になっているのが日本の革職人の方々です。

きっかけは、かごバッグの商品企画でした。ケニアで一般的に販売されている革の持ち手のかごバッグとは違ったものを作成したくて、その持ち手部分の相談に乗っていただきました。

恥ずかしながら、初めてお邪魔した時はミシンもまともに触ったことがありませんでした。

大手ブランドのバッグのサンプル作りをされているような一流の職人さん達に、口だけ生意気な素人が色々質問をしにきたわけですから、門前払いされてもおかしくなかったのですが、ケニアの人の役に立つなら、ということで革製品を作成するにあたる各工程の説明や、職人としてのこだわりポイント等も細かく教えていただいています。

その内の一人の職人さんは、ボランティアとして3ヶ月間ケニアに来てくださったこともあり、ケニア工房での縫製の基礎はその時に出来上がったので、いくら感謝してもしきれません。

新しいバッグへの挑戦

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3年かけて開発したサイザル生地が商品化できる段階になった頃、本革と合わせて、従来のサイザルバッグとは全く違うタイプのバッグを作ってみよう、という声が社内で上がりました。

織り生地をデザインしているのも、商品開発を任されているのも私。必然的に、私がデザインを担当することになったのですが、実は当初は全く自信がありませんでした。

バッグデザインという特殊な分野に入るのに、勉強をしたこともない、型紙も作れない人間が務まるのだろうか…という不安が大きかったからです。

ところが、革職人さんは私の不安をすぐに見抜き、次のように言ってくださいました:

「ひかるさんが一番お客さんも、サイザルの生地のことも知ってるんだから、作りたいバッグを絵に起こしてくれればいいよ。そこから先は、俺の仕事だから、大丈夫」

この言葉に後押しされて、私のバッグデザイナーとしての道がスタートします。

デザインのヒントを探して

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バッグをデザインすることが決まった!とは言え、改めてスクールに入るような時間もない中で、どうしようかと考えた結果、ケニアでの生産同様、とにかく目と足を使おう、と決めました。

様々なバッグ売り場に出向き、サイズ感や形を見るのはもちろん、スケッチブックを持ち歩き、街中で気になるバッグを見かけたら、凝視した後にスケッチするようになりました。

革についてももっと知ろうと思って、革の専門店に伺ったこともあります。店員さんが熱く、丁寧に革の種類や特徴について語ってくださって、ますます革に愛着も湧きました。

でも誰よりも商品について教えてくださったのは、お店のお客様でした。その当時も、主力商品であるかごやかごバッグを期間限定店で販売していたのですが、職人さんが作ってくだった試作品を置いてみて、お客様のご意見を伺っていました。

贔屓目かもしれませんが、うちのお客様は本当にステキです。こちらが不躾に「買わない理由を教えてください」と質問しても、商品開発の手助けになるならば、と気になる点を丁寧に教えてくださいました。時には、お客様の愛用しているバッグの写真を撮らせていただいたり、その場でメジャーで測らせていただくことも。

この頃の習慣から、手のひらサイズのスケッチブックとメジャーは、常にバッグで持ち歩くようにしています。

「メトロ」シリーズの誕生

こうして、様々な場所に出向き、人と会うことによって、サイズ感やポケットの数など、いわゆるバッグの「スペック」部分は見えてきたのですが、やはり商品作りで肝心なのは商品のコンセプトです。

商品を、どんな風に、どんな方に使っていただきたいのか。商品を通して何を届けたいのか。こればかりは、自分で考え、決めなければいけません。

「一般的な決め方」がどうなのかは分かりませんが、私の場合は織り生地を触りながら目を閉じて、お客様がバッグを使っているシーンを思い浮かべます。

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今回、アトレ松戸店で展示している「メトロ」シリーズで私が思い浮かべたシーンは地下鉄のホームで立つシンプルな装いの女性がショルダーバッグを斜めにかけて電車を待つ姿です。

因みに、女性が到着した電車に乗って、扉の近くに立ってバッグを見てそっと微笑んでいるところまでが、私の脳内のワンシーン。(ホームのベンチで後ろからそれを見ている人目線で。ドラマの見過ぎかもしれません‥)そして、バッグの名前も地下鉄や脳内シーンの都会的イメージから「メトロポリタン」と自然に浮かび上がりました。

一度このイメージができると、不思議なことに、織り生地と革の色の組み合わせや、ファスナーの位置などで迷いが生じなくなります。

地下鉄の線路のような織り生地デザインが映える「メトロ」シリーズの誕生です。

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「やっぱり好き」と思ってもらえるバッグを

「シサラナ」に今まで興味を示してくださったお客様はみなさん、自分が大事にしたいものをキチンと持っている、芯のある雰囲気の方々でした。誰かに見てもらいたくてバッグを買う、というよりは自分にとって心地よいものを買う方。何年経っても「やっぱり好き」と思えるものを持っている方、という印象です。

そんな方が、このバッグを持って日々を過ごし、電車に乗ったときにふと手元を見て、「やっぱりこのバッグ、好きだ。選んでよかった。」と思っていただけたら、デザイナーとして本望です。

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かご専門店ORIKAGO 代表 岡本ひかる
Twitter: @Hikaru_Amber
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ORIKAGOのHP:  https://www.orikago.com
運営会社アンバーアワーのHP:  https://www.amberhour.com

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