「ぎょらん」:読書感想文_2024年5月ごほうび図書
こんにちは、Hikariです。
5月は、町田そのこさんの「ぎょらん」をごほうびにして頑張りました。
おもしろくて、通学時間だけではなく夜にも読んじゃったりして、月の真ん中くらいには読み終わってしまいました。
町田そのこさんの本は「52ヘルツのクジラたち」と今回読んだ「ぎょらん」しか読んだことがないのですが、人の暗い部分をやさしい色鉛筆で描くようなやわらかな文が素敵で、もっとよみたいなって思いました。
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ぎょらん
「ぎょらん」は、人が死ぬ際に残すいくらみたいな赤い珠のこと。噛み潰せば死者の最期の思いがわかるらしい。
私たちは、大切なひとの死を前にして、あと一言でいいからあなたの心の声を聞かせてほしいと思う。
幸せだった?それとも辛かった?
私、あなたにたくさん迷惑かけちゃったから、もしかしたらちょっと私のこと恨んでるかもしれないね、、、。
そうやって彼岸のあなたに思いを巡らせる。
でも、私たちはまだあなたと同じ場所に行くことはできないから、仕方ないから答え合わせはあの世でしよう。
そうやって私たちは、あなたを心の隅で大切に抱えて、あなたのいないこの世を、もう少し生きていく。
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私たちは、この世にいなくなってしまった人の声を聞きたいと願いながらも、聞くことができないから、「今」を生きられるのかもしれないな、と思った。
私には、高校生の頃に、アプリコット色のトイプードルを亡くした。名前はココ。急にぱったりと倒れてしまって、病院に行ったのだけど間に合わなかった。心臓が悪かったみたい。
病院の帰りはちょっと泣いたけど、その時は私の妹が外で人の目も気にせず大号泣しているのに圧倒されてしまって、うまく泣けなかった。そうやって涙がうまく出ない自分は、ココのこと心の底では大事に思ってなかったんじゃないかって怖くもなった。
けど、亡くなってから一週間後くらいの頃、お骨もちゃんと火葬したあとココのことを家族で話していたら、急に涙が出てきて、過呼吸になるくらいいっぱい泣いた。家族は、急に泣き出した私を放っておいてくれた。
頭の中は後悔でいっぱいだった。
なんでもっと散歩行ってあげなかったんだろう。もっと美味しいもの食べさせてあげなかったんだろう。もっと大好きだよーってたくさん撫でてあげたかった。
でも、もうココはこの世にはいないから、どうもできない。それはとても辛いことだ。
でも、どうもできないから、残された私は前を向くしかない。
もしかして私に対してココが恨み言をいっぱい思っているかもしれないけど、聞くことは叶わないのだから、私の中のココはほほ笑みでいっぱいにしておくことにした。
そうした方が、私は「今」をちゃんと生きられるから。
文句や恨み言はあの世でたーんと聞くから、今はこの世で、精一杯頑張るね。ココのこと、今もずっと大好きだからね。
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こうやって文を書いていたら、きーーーんと耳鳴りがした。
誰かが、耳鳴りがした時は耳鳴りがする方の反対側の肩に霊がついているから手で振り払うといい、といっていたのを思い出したので右肩を振り払うと、本当に耳鳴りが止まった。
止まった後で、霊の正体はココだったかもと思って、ちょっと後悔する。
ああ、やっぱり、会いたい。