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五十肩を武器にしたオトコ #1

これは放課後等デイというところでのお話し。

にぎやかっだった時間も過ぎた秋の黄昏時。そとにある空っぽのプールのなかで、スタッフの梅さんとメンバーのK君はプラスチックボールでひっそりじゃれあっていた。
梅さんは、ボールを屋根の上になげてK君をよろこばそうと少しだけ必死だった。ただ、なんどやってもボールは屋根の下をかすめ上にはあがらない。ぼくは車中からその姿を見て確信していた。腕も肩もあがらず、手首をビミョーにつかい、ミッキー・ロークの猫パンチのように投げる梅さんは五十肩に違いないと...。

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※再現してもやはりあがらない

そんななか、「あがりまへんわー(関西風)」と少し照れながらつぶやく梅さん。「五十肩だよ」と心の中でつぶやくぼく。
そして、それを見ながら微笑み大喜びするK君がそばに居た。

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「スマイル!」 それは時に人を魅了し虜にする。そして魔法をかける。

ぼくが「K君スマイル!」と願ってしまった瞬間、間もなくプラスチックボールはなぜかぼくの手のひらの中におさまっていた。車を降りたぼくはすぐに、そしてかなり調子に乗って、ボールを屋根の上めがけて投げた。調子が乗り移ったお調子者のボールは屋根の上にあがり、数秒沈黙のあとにコロコロと加速をつけながら下り ポトッ、トッ、、ト、、、ッ、、、とプールの中へ転がり落ちた。
くどいようだが、かなり調子に乗っていたぼくは、その調子に乗りまくったまんまK君に顔を向けた。そう、、あのスマイルを信じて。。。
ところが、

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し———ン...。

当然、かなり調子に乗っていたぼくも チ———ン...。

その時、追い打ちをかけるように、絶妙に変なタイミングで再び梅さんが投げ始めやがった。あ、まちがった...投げ始めた。

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すると、「あがりまへんわー」からのスマイル&スマイルが目の前で再度ループする。

『上がらないほうがウケる』とふんだ彼は完全に調子にのった。のりまくりやがった。「あがりまへんわー」「五十肩ですかねー」「肩 痛ったー」とつぶやきながら投げまくる梅さん。『痛かったら投げなきゃいいの...』と心の中でつぶやくぼく。そんな勝ち誇った梅さんのスマイルをみて腐りかけるぼくの心に追い打ちをかけるK君のスマイル。そしてぼくは夕空を見上げてつぶやいた。

この世界はできないことが武器になることが時々あるんだ...

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~ 四十代なのに五十肩を武器にしてひかりやがったオトコ 梅さん~

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