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新規就農物語⑩〜ワインぶどう〜

なんだかんだでこの新規就農物語も10話目に突入。過去を振り返りながら過去の自分に言いたいこと。

おい!そのまま突き進めよ!

です。

過去の自分は短期的なものの考え方で、未来を見る余裕なんてこれっぽっちもなかったんだなぁ。

自分の考えは間違っていなくて、そのまま突き進んでいれば今頃どんな成功をおさめていたんでしょうか。

でも右に行ったり左に行ったりすることで、「ここには宝がなかった」「ここにも宝はなかった」となかったことが確認できたので今の自分の思考に至っているんだと思いますが、超もったいないことをしてきたな笑


さて、前回は家なき子という逆風から野菜農家へのターニングポイントを迎えたわけですが、

今回はまた新たなチャレンジを始めることとなります。結論を言うとワインぶどう作りが始まったと言うこと。

このワインぶどう作りもいろいろストーリーがありました。

一番最初の幼少時代を綴ったこのシリーズでも書きましたが、なぜか昔から姉の言うことが胸に刺さって、なんだかんだでそれをやってしまうのです。

ワインぶどうもそのひとつ。


私たち夫婦は揃ってお酒が好きな人間なんです。まぁ、農家を始めて将来の夢が「毎日ビールを飲むこと」だったのだからなんとなく想像はつくかと思います。

ちなみに、妻のひかりが初めてうちに遊びにきた時には、シャンパンのMOETを持ってきました。いや、持ってきたんじゃなく、ネットで注文をしてうちに届くようにしてあったんだったかな。(さすがセレブ!)

自分は自分でお金もないくせにせっかく来てくれるんだからと、新潟の美味しい日本酒を用意して待っていました。

要するに、2人とも大のお酒好き。せっかく農業をしてるんだったらなんとかしてお酒に関わるものを生産したいとずっと思っていたんです。

周りには日本酒用の酒米を作っている先輩方がいらっしゃって、その人たちのことを見ては「いいなぁ」なんて思っていたのですが、あいにく自分たちはお米を作っていないし、お米の生産をするには1,000万円単位の投資をしなければならなく、当時の自分たちにはそれはできない。

と、思っていた矢先に、姉が一言。

「絶対ワインやった方がいいよ!」

これです。

そういえば、自分たちは果樹やってるなぁ。しかも梨をたくさん持っていても、自分たちで全部売れるわけがなく、技術もない自分たちが農協出荷をしてもさほどお金にはならない。

だったらその畑をぶどう畑にしてワイン用のぶどうを作ったらいいんじゃん!と思い立ち、普及センターと言う農家に技術や情報を提供してくれるところに連絡し、「ワインぶどうやりたいんですけど」と相談にいくと、

「じゃあ、ワインぶどうやっている人を紹介するので一度会ってみますか」

と言うことで、すぐさまその人の家にお話を聞きに行きました。

何も知らない私たちを家に招き入れてくれて、ワインぶどうのお話をしてくれたのですが、結果は

「今日本ワインブームで苗木が手に入らないから無理だな」

でした。

あぁ、そうかと思ってその場を後にしたのですが、どうしても諦められなかったので、自分たちでどうにかできないかと思い立ち、東京にある東京ワイナリーと言うところに連絡。

ワインぶどうを作りたいんだけど、委託醸造ってしてもらえるものでしょうか?と言うお願いをしに行ったんです。

こちらは「いいですよ!」と快くお返事をいただけたのです。

もうその時はすごくワクワクしましたね。何せ、自分たちのワインが作れるのです。

しかし、その当時はワインぶどうに関する知識は何もなし。

なんならワインぶどうの品種すらもわからない状態で、もちろんぶどうなんか作ったこともないし、資材をどこでどのくらい揃えればいいのかもよくわからない。

と言うか、ネットでみても苗木なんて売ってなかったんです。

しばらくそんな感じで悶々とする日々が続いたのですが、普及センターの担当者にはワインぶどうやりたいんだよねと言うことはずっと言っていたんです。


それから数ヶ月が過ぎた時でした。普及センターから一本の電話をもらいました。

「ワインぶどう作りたい人を探してるみたいなんですが高松さんどうですか?」

「やる!」

二言返事でそのお返事をして、ついにワインぶどうを作れることになったのです。


もうそこからは、ワインぶどうに集中したお仕事でした。

梨畑をワインぶどうにするため、まずは30aの梨の木を全て切るところから始めます。もちろん梨を収穫してからなので12月以降にその仕事を開始。ぶどうを植えるのは4月の半ば頃と言うことでそこまでに梨畑をまっさらな畑にしなければなりませんでした。

細かい枝を全て切り、太い枝をチェンソーで切ってその切り株を全部畑の外で運ぶ。

それから梨の棚を全て撤去して針金や柱なども全て畑の外へ運びます。

あ、これ全て私たち夫婦2人でやりましたよ。

あとは、バックホーで全ての木の根っこを起こす作業をします。

バックホーなんて乗ったこともないし、梨の木の根っこはかなり広く広がっていたり、地中深くまで潜っているのでなかなか熟練していないとできない作業なんです。

なので、最初はプロに頼もうと思っていたのですが、大きすぎる機械は畑をガチガチに固めてしまうし、何より畑に入ってこれない。いろんなところにお願いをしたのですが、もう季節は春になりかけている3月の中旬です。

あと1ヶ月もしないうちにぶどうを植えてしまわなきゃいけないのに木の根っこを取り除いてくれる人が見つからないんです。

じゃあ自分でやるしかない!と言うことで、レンタルでバックホーを貸してくれるところを探して自分で運んで、農協の先輩からお時間をいただきバックホーの指導をしてもらい、自分で120本近い梨の木の根っこを掘り起こしました。(素人が無理をするので何度も死にかけました)

バックホーを借りて作業をしたのは4月に入ってから。その作業を3日ほどでなんとか終わらせて、ようやくぶどうの木を植えることができたのです。


人間、切羽詰ったらなんでもできるものです。いいか悪いかは別として、とにかくやってみる!ダメならまた考える。

そしてやりたいことはとにかく人に言っておく。

これがこのぶどう畑を作る際に学んだことです。


晴れてワインぶどうを作れることになった私たち。もちろん最初はうまく行きませんよ笑

でもなんとかワインぶどうを自分たちの主力農産物として育てていくことになります。

そして、これでやめときゃいいものを、また新たなチャレンジをすることになるのですが、今日はこのくらいで。

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