禁止・監視よりも教育・見守り
ネットいじめとは
入学・進学の季節、夏休み明けに次いでマスコミでも話題になる「いじめ」や「不登校」問題。最近注目され続けているのが「ネットいじめ」です。
「ネットいじめ」とは、いじめの行為をネット上で行うもので、精神的に相手を追い込む卑劣な行為です。
具体的には、LINEやtwitter、SNSアプリのグループ機能やメッセージ機能などを使い、相手の悪口や誹謗中傷、嫌がらせなどの攻撃、グループで無視をすることなどです。
ネットいじめの特徴と対応の問題
一昔前は、ネット上の公開掲示板への誹謗中傷の書き込みが主流でしたが、今は外部からの監視の目が行き届かない、LINE等のSNSのグループなど閉ざされた空間で行われることが増えており、発見が遅れるのが特徴です。
問題映像が発覚する頃には、いじめを受けた生徒が不登校になっていたり、自ら命を絶ってしまうなど重大事案になっているケースもあります。
そこで初めて対策が検討されるのですが、多くは「禁止・監視」で制御をしようとしています。
目先の対処療法としては重要なことですが、対処療法を問題の本質解決法と勘違いしているケースが多々見受けられ、結果、ネットいじめの問題は解消するどころか、水面下に潜って毎年のようにどこかで繰り返し不幸な状態になっているという根深い問題になりつつあります。
監視については前述のとおり、効果が薄れている状況です。
ツールは使う人次第
携帯・スマホはコミュニケーション促進のツール(道具)です。誰がどのように使うか次第で便利で楽しい道具になるか、危険で人を傷つける道具になるかが決まります。
便利で楽しそうなものであれば使いたくなるのが人の性。学生であればその好奇心が強くなるのは自分が学生だったころを振り返れば理解できるでしょう。それを一方的に禁止・監視されたとしたら、反発され、隠れて利用されるのがオチです。
「ルールを作りましょう、守りましょう・・・」は重要なことなのですが、「なぜルールが必要なのか?」「なぜ守る必要があるのか?」という根柢の理解が深まらなければ、決めたことを守らないという事態に陥ります。
世にあるxxルールは、絵に描いた餅になっているのが実態でしょう。使う人が守ろうという意識になるようにすることが大切です。
ネットいじめ予防の対策
水面下に潜られて発見しにくくなるよりも、正しく使えるようにリテラシーを高めつつ、常に見守る姿勢で子供達と向き合う方が予防策としては効果的です。
確信犯もいますが、それは一握り。その一握りの人は意識を変える対策も必要ですが、周囲のリテラシーが全体的に高まり、見守る大人もいれば、自浄作用が機能するようになります。
リテラシーは学べば誰でも向上します。危険性の理解が深まり、問題行動に対する意識が高まれば、自ずといじめなどの問題発生率は抑制され、起こっているいじめ問題も収束に向かいますが、肝心の教える側が構造や背景含めて理解をしておらず、更には見守る大人がいないため、問題の根を深くしているのです。
誰もが気軽に利用できる手軽さと、小さな画面の中の出来事であるという劇場的な勘違いから、自らの言動についての制御レベルが、現実社会よりも格段に低くなる(問題行動の敷居が低くなる)という特徴もあります。
そのことも自分のこととして考えられるような教育をすることで、問題の抑制につながります。常に見守ってもらえているという安心感があれば、何かあれば相談もしやすいですし、見られていることにより抑制力も働きます。
現代のスマホ問題の解決のために重要なことは、禁止・監視を強めることで抑制するのではなく、教育でリテラシーを高め、意識を高め、自ら不適切利用か否かを判断できるようにすることです。そしてその行為を大人が見守るという環境にすることです。
いじめは無くならないが抑制できる
いじめはゼロにはできませんが、抑制することは可能です。抑制を続けることで結果、いじめが起こりにくい環境にすることは可能です。
抑制するための環境づくり、一緒にやりませんか。
著者:原田光久(ひかりば 代表 / コミュニケーション・プランナー) ●社会問題解決アドバイザー、新規事業開発・地域創生・経営支援 ●行政・教育機関・民間企業で研修・講演・IT推進をサポート ●連絡先:harada@hikariba.com