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ミニマリスト&作家の佐々木典士さんにお聞きしました【後編】

前編ではミニマリズムと習慣について書き終えて、自分の中の悩みがなくなったという佐々木さんのお話を伺いました。

後編では、そんな佐々木さんがぼんやり考えている次のテーマや、著書がヒットした前後のご自身のことなどについて触れています。

ーでは、次のテーマについてちょっとお聞きしたいのですが。

まだはっきりとは言えないんですけれど、性愛の話とか、これからの家族とかパートナーシップとかそういうことに、興味がありますね。

終身雇用とかマイホームを持つとか、そういう前提の元に今の家族という形態があったと思うのですが、その前提が崩れつつある今、家族というものも変わってくると思うんですよ。

たとえば、櫨畑敦子(はじはたあつこ)さんとか渡辺ペコさんとかに興味がありますね。

■櫨畑敦子さん
「ふつうの結婚」にとらわれず、非婚のまま妊娠・出産をし、長屋でいろいろな人と一緒に子育てをすることを最初から選択。その新しい生き方がネット上でも話題を呼んでいます。
■渡辺ペコさん
漫画家。セックスレスの夫婦が選んだのは公認不倫というスタイル。現代に生きる夫婦の、リアルな悩みや在り方を描いた『1122(いいふうふ)』を、月刊モーニング・ツーにて連載しています。

こういう考え方は受け入れられないという人も、もちろんいると思うし自分もこれから勉強したいなと思っているところです。

ー次回作はいつまでに出したいとかあるんですか?

1年に1冊ぐらいは出していきたいと思ったりします。今はたまたまヒットしているけれど、本当は1年に1冊本出すぐらいだと生活するのも難しいんですけどね笑

これから2冊目が売れたお金が入ってくるんですけれど、お金があるとそれはそれで問題もあるなと思ったりします。

ーちなみにそのお金をどう使おうと思ってるんですか?

バックパッカー的な旅や、英語の語学留学をしたいとも考えています。車が好きになってしまったので、2人乗りのオープンカーを買おうかと思っています。でも、それ以外で買い物に使うとか広い家に住みたいとかはないですね。一応ミニマリストなんで笑。

ーそうなんですね。ではここで改めて、習慣のことについてもお聞きします。
お酒はもうやめられたんですよね。私は「これは飲まないと言えない」という時に、お酒に頼ったりするんですよね。

お酒をやめたらもうこのシラフの状態ですべてやるしかないんですよね。だから下ネタだろうが、なんだろうが24時間なんでも話せるようになりました。断酒のメリットのひとつだと思います。

ー私は『ぼく習』を読んで、お菓子を食べるのをやめられたし、だから別のこともできるはずだと思うようになりました。

それはよかったです! ぼく自身も、もうこれだけいろんなことが新しくできるようになったんだから、もう自分のことをダメな人間だとは思っていないですね。やる気は相変わらず特にないんですけど、習慣の仕組みを使えば自分はなんでも始められるし、続けられると思っています。

朝のトイレ掃除とか、どんな小さなことでもいいんですよね。今までできなかったこと、自分でこれはやろうと決めたことができるようになる。ただそれだけで全然違うんです。

ーそうですよね。だから私も『ぼく習』をいろんな人に読んで欲しいと思います。
佐々木さんの本って、いつ読んでもいいと思うんですよね。あれを20年後に読んでもいいと思うんです。

そもそもぼく自身が、そろそろまた読まななきゃって思ったりしますしね笑。 書き終わって1ヶ月とか経ってから自分の本を読み返すと、"ほう、こんな考え方があるのか!!”って思ったりしますよ笑。

編集者時代から、自分が何度も読み返したいと思う本を作りたいと思っていました。それがいい本の条件だと思ったりします。

ー『ぼく習』を読んで、初めて佐々木さんを知ったという人も勿論いるんですよね。そういうメッセージは届いていますか?

はい、結構きますよ! 『ぼく習』読んでから、『ぼくモノ』読みましたとか。

ぼくのことを知らない人は、本に書いてあるプロフィールを読んだだけだと、一体どこの馬の骨が書いた本だ!? って思いそうなんですけど、意外にはじめましての方にも読んでもらえてるのが嬉しいですね。笑

ぼくは独身のフリーランスという自由な立場だけれど、子育てをしていて忙しい方とか、塾をやっている先生が生徒に読ませたいとか、いろんな立場の人からメッセージが来るのですごく嬉しいですね。

Amazon レビューに「この人は自分のために書いてる」っていうのがあったんですけど、ぼくもその通りだなと思っていて。自分が生きる上で解決したい問題だからこそ調べたいというモチベーションが沸くし、テーマにできるんですよね。自分のためなんだけど、他の人にも役に立つという本をこれからも書きたいです。

ー自分が解決したいことを考えて書いていたら他の人の役にも立つというのは本当に理想ですね。

断酒の話も、実践している最中に書いておけばよかったかなと思いました。

ブログに書くネタとかも、また後日書こうと思っていたりするとできなかったりするんですよね。何か心が動いて「書きたい!」と思った瞬間に書かないと、その動いた心もいつの間にか自分の当たり前になってしまったりする。その時感じた感情とか、メモをしっかり残しとけば書けるんですけど。

今運転することが大好きになったので『ぼくは死ぬ前に、やりたいことをする!』という連載を始めた頃に書いていた「運転が怖い」という思いはもう全然分からないんですよね。だからそういう気持ちは書いておいてよかったなと思います。笑

ーこないだまでペーパードライバーだったのに!料金所で手が届かなかったとか書いてましたよね。笑

そうそう! ドアに腰掛けるぐらいに体を伸ばしてお金入れたり笑。

約一年前の、初めての「ドライブ」という記事に、その頃の様子が書かれています。

登山もそれなりに危険性はありますがリスクがあるから楽しいんですよね。車の運転も、もちろん事故る可能性がある。でもリスクがあるからこそ、それを回避してうまくいった時に喜びを感じられる。リスクが全くない物って面白くもなんともないんですよね。

今の車はまたtwitterやフェイスブックで呼びかけて誰かに譲りたいなと思っています。車中泊用のベッドやシェードを付けて何度か旅をするだけでも元がとれるような車なので、買ったときと同じような値段で売れるかもしれません。

ー話は変わりますが、佐々木さんは『ぼくモノ』に、「結婚もしてないし、大したお金も持ってないぼくのことを、負け犬と思う人もいるかもしれない」ということを書いてましたね。

今は、お金もその時に比べたら持っていたり、関わる人の数も全然違うと思いますが、そういうことを通して自分が変わった所ってありますか?

ミニマリストって普通とは違うライフスタイルだったし、毎日同じ服を着るような試みを通して相手にどう思われるかということをあまり考えなくなりましたね。世の中の普通と自分がズレていてもいい。だんだんそう思えるようになってくると恥ずかしいという気持ちもがなくなって、自由に振る舞えるようになったと思います。

人にゴマをすったりとか、建前で何かを言ったりするということもないし。自分の本質的なものがあったとして、それが今やっている仕事がずれていないとも感じます。

ー自信ができてきたということですか?

まったくの無名の状態で書いた『ぼくモノ』は初版6000部だったんです。それが本当に売れるのかなあと不安に思っていた頃から考えたら今は夢のような状況ですが、課題はいつでも以前と同じようにあるし、もっとこうしたいという心の状態はいつも変わらないですね。

自信は積み重ねた過去からもらうものじゃないと思うんですよね。ぼくは今日やろうと思っていたことができないと、一気に自信がなくなるんですよね。幸せは貯金できないということを『ぼく習』にも書きましたが、自信についても同じことが言えると思います。

自分でやろうと決めたことを毎日達成できる、それが自信になると思うんです。過去に成し遂げた何かが今日の自分の自信につながるとかそういうことではなく、自信は毎日生み出すしかないと思います。

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最初は、「今ぼんやりしているので、あまり記事になるようなことは喋れないかも…」とおっしゃっていた佐々木さん。

いつもののんびりしたトーンで、今後の生活についてお話ししていただいているうちに、やはり著書2作とも、佐々木さんの本当の実体験から生まれた肩肘の張らない生活の知恵だからこそ、多くの人に響いているのだなあということを、改めて感じました。

佐々木典士(ささきふみお)
作家/編集者/ミニマリスト。1979年生まれ。香川県出身。出版社3社を経て独立。初の著書『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は、国内16万部突破、22ヶ国語に翻訳されるベストセラー。現在、新刊『ぼくたちは習慣で、できている。』が発売中。
https://minimalism.jp/

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いろいろな方にインタビューをして、それをフリーマガジンにまとめて自費で発行しています。サポートをいただけたら、次回の取材とマガジン作成の費用に使わせていただきます。