映画 「さらば、ベルリン」(2007年公開)
個人的所感によるあらすじ
ドイツ降伏後のベルリンに、ポツダム会議取材のためアメリカ人記者のジェイクがやってくる。彼の運転手を務める米兵のタリーは、裏側で、米軍の品を横流ししていた。やがてジェイクはタリーの情婦レーナが、かつて彼が愛した女性である事を知る。戦前、ベルリンに駐在していたジェイクは、人妻であるレーナと不倫関係にあったのだ。
そんな中、タリーが死体で発見される事件が起きる。渦巻く陰謀の中、ジェイクはレーナを救おうとするが、彼女は頑なにジェイクを拒む。その裏には大国の陰謀が渦巻いていた...。
ちょっとネタバレな感想
モノクロの画面に登場するのは「タフな男」と「謎めいた女」。
そして当然のように繰り広げられる「愛と裏切り」。
あの時代の風景や雰囲気は過不足ないが、現代の目から見るとステレオタイプの人物像に軽い違和感。
特にケイト・ブランシェット演じるミステリアスなレーナ像、そしてその彼女の売春婦仲間の人物像。
反対に軍服に身を包んだりりしくずるく潔い(そして女々しい)男たち。
男性なら、また違う感想を持つのだろうか。
謎が謎を呼ぶようなストーリーだけれど、ハラハラどきどきという感じではなく、むしろ息を詰めて見守る感じ。
けして幸せな展開ではなく、追いつめられていくような閉塞感は、好きかどうかはちょっと好みの分かれるところだろう。
ジョージ・クルーニー、トビー・マグワイアといった演技派も過不足ないが、重要登場人物が多いだけに、モノクロ画面で軍服を着ていると見分けがかなりつきにくく、話の内容が飛んでしまったのは愛嬌か。
「カサブランカ」や「第三の男」など、愛した女性の為に犠牲をも厭わない男性はクラッシックな名作の中に多い。
よく男性の純情と言われるそれらの気持ちに、きっと嘘は無いのだろうと思う。
けれども、レーナやその他のヒロインをつらつらと思い浮かべると、もしかして彼女達をそこまで追いつめたものも、そんな男性の勝手な想いだったのではないかと思わずにはいられない。
性別で人生のレールが決まってしまう、そんな時代が長く確かに存在した。それを本当に否定できるのは、その苦しみを潜り抜けた人だけだろう。