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映画「美しい人」(2006年公開)

個人的所感によるあらすじ

サンドラ、ダイアナ、ホリー、ソニア、サマンサ、ローラ、ルース、カミール、マギー。
濁を抱えながらそれぞれの人生を生きていく、美しい九人の女性の物語。

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ちょっとネタバレな感想

交差しながら淡々とつづられる九人の女性達の人生。もしかしたら彼女は彼女の過去かもしれないし、同じ時間軸の平行した物語であるのかもしれない。

基本的にワンシーン、ワンカットでつづられる彼女たちの物語はそれぞれが10分ほどと短い。そのせいか、「Why?(なぜ」という部分は徹底的に省かれている。

サマンサがなぜ服役するはめになったのか、ホリーはなぜ家を出たのか、マギーはどうして娘を失うはめになったのか。
彼女達が一番口にするセリフも「Why?(なぜ」だ。

なぜ?どうして?どうしてこんなことになったの?
誰も答えを持たない問いを繰り返すのだ。

他人の人生では脇役である人間も、自分自身の物語では傷ついた主人公にもなりうる。自分が傷つき孤独を感じている時、実際以上に周りの人達が順調にやっているように見えるものだけれど、傷つかない人はいないし、重さは違えど澱んだ”なにか”を持たない人もいない。

タイトルの「美しい人」を裏切るように、外観はどうであれ、心が疲労しきっている彼女たちはとても”美しい”とは言い難い。

孤独は言い換えれば空虚感だ。けれど観ているうちに、人生っていうのは”空っぽ”になることもないのだと思えてくる。
まったくなにも持っていない人はいない。振り返れば必ず”なにか”(この映画では「愛」ってことになるのかな)が側にある。それは思い出だったり家族だったり、押し込めていた想いだったり。

それらに気が付いた彼女達は急に画面の中で綺麗になる。
その変化は思わず「えっ」と声が出そうになるくらいだ。

まさにこれが監督の言いたかった「美しい人」なのかも知れない。



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