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映画「ライフ・イズ・ミラクル」(2007年公開)

個人的所感によるあらすじ

1992年、国境近くのボスニアの村で暮らすルカは、鉄道建設のために働くセルビア人技師。ある日、息子のミロシュが兵役へ行くことになり、妻は、ミロシュの壮行会で出会ったミュージシャンと駆け落ちしてしまう。
10年ぶりに一人暮らしを楽しむルカに、やがて、ミロシュが敵の捕虜になった知らせが届く。気が気でないルカに、村の悪戯者トモが、ムスリム人看護婦サハーバを連れてきて、ミロシュとの人質交換に使うよう仕向けるが、一緒に暮らすうちにお互い惹かれあうようになってしまい。。。。

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ちょっとネタバレな感想

戦争の中、捕虜と恋に落ちる。
そんなあらすじから、いわゆるおとぎ話系だと思っていたら、ただ滑稽で一生懸命な人々の映画だった。

息子への愛情いっぱいなのに言葉の通じないミュージシャンと駆け落ちしてしまったり、サッカー選手になれる瀬戸際で兵役にとられてヤケになったり、田舎暮らしがつまらなくてピストルで肝試しをしてみたり。部屋に巨大な鉄道模型を作ったり、線路際に植える木の種類を真剣に検討してみたり。
そうかと思えば熊に襲われて死人が出たり、暗殺者が暗躍したり、戦争の隙間で金儲けを目論んでみたり。

誰しもそれなりに怠惰に一生懸命生きていて、色々なものを抱えてはいてもそれなりには幸せだったりする。
なにも起こらなければたぶんそのままなにも知らず、疑問も感じずに生きていけたものを、戦争が起こってしまったがために全てのものが変化してしまうそのせつなさ。見たくなかった自分や知りたくなかったことが、どんどんとあふれ出してくる。
まるでコロナに翻弄される私たちのように。

躍動する音楽にのって、巻き込まれる人々のどうしようもなさと非日常ぶりと、恋をするロバ、人の家に住み着く人食い熊、図々しい猫など、人間に比べて動物たちのなんとたくましいことか。

幼なじみの大尉はルカにいう。「これは自分たちの戦争じゃない」

そう、彼らは巻き込まれただけ。
そして会うはずのなかった人に、出来事に出会っただけなのだ。

ルカにとってサハーバとの恋は真剣なものだったのは間違いないだろう。
けれども、彼女と生きていきたいと命をかけて必死になったのも、戦争の中だったからできたことだった気がする。自殺することにも失敗したルカは、戻ってきた家族と共に前となにもなかったようにまた生きていくに違いない。

「ライフ・イズ・ミラクル」とは、”人生は素晴らしい”という意味だと思っていた。
けれども見終わった今は思う。
たぶん、”生きていることはそれだけで素晴らしい”という意味なのだと。

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