映画 「子宮の記憶 ここにあなたがいる」(2007年公開)
個人的所感によるあらすじ
裕福な家庭で育ち、何不自由のない生活をしているように見える18歳の真人は、生後3日で誘拐された過去があった。世間体ばかり気にする父親や上辺だけの愛情をそそぐ母親。真人はそんな生活の中で犯人の女性に奇妙な親近感を抱くようになる。
夏休み、親と口論の末家のお金を持ち出した真人はその女性、愛子が住む沖縄へと向う。食堂で働く愛子に出会い、名前と年齢を偽り住み込みでアルバイトを始めた真人と愛子の間には、やがて母子とも恋人ともつかない愛情が芽生えていくのだが、そこにある事件が起こり。。。。
ちょっとネタバレな感想
子供を産んだ女性は、子宮にその子の記憶をとどめているというのは本当だろうか。
美しい沖縄の風景の中で紡がれる物語はどこか不思議なおとぎ話のよう。
足が地についているようで、どこか頼りない。
こんな親ならヒネて当然と思うような真人の金持ちの親や、絵に描いたようなやくざな愛子の夫、色々な過去がありそうな飲み屋の女将、ステレオタイプな登場人物はちょっと、だけれども、柄本佑演じる主人公真人や愛子の義理の娘などの若手の無気力さ、頭でっかちさは、まるでテレビのドキュメンタリーのようにも見える。
そのアンバランスさがどこか居心地の悪さも感じさせる。
妊娠した事実を親に言えないというだけで自殺する女の子、セックスはサービスと言い切る危うさ。
そんな中で自分を愛してくれる存在を求める姿は切なく、そしてふてぶてしい。
過去を持つ女性の再生の物語とも、破滅の物語ともとれる結末は評価が分かれるところだろうが、見た後に色々考えさせられる映画ではある。
愛子にとって過去を許されたことは、そして新しい力を得たことは幸せだったのか不幸だったのか。できれば真人のゲームは彼女にとっての幸せだったと思いたいのだが。