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#17 水の中を巡る旅 愛南ひとり旅・2023年秋①

2023年10月20日から2日間、愛媛県の愛南で潜ってきました。近年、人気が高まっているエリアですが、四国の南西端であり、石垣島へ行くより時間がかかります。前日に仕事を終えてから京都を発ち、高知経由で現地へと向かいました。

◆ 愛南への道

高知空港から夜道をレンタカーで走り、四万十市中村のホテルに着いたのは、街も寝静まった22時半のことでした。
前週末が休日出勤で働き詰めだったこともあり、その週は猛烈な眼精疲労に襲われ、出発の前日はパソコンの画面を見るのもスマホを見るのも苦痛。さらに出発当日に至っては、目の疲れが首筋の痛みに移り、さらに偏頭痛が起きて、神経を蝕まれるようなつらい一日でした。
職場を出て伊丹空港へ向かう阪急電車とモノレールの車中でも、高知への機内でも、手持ちの文庫本やスマホに目を通すのを忌避して、ビタミン剤を飲んで目を閉じ、ひたすら神経を宥めました。
幸い、20時前に高知空港へ着く頃には、神経の昂ぶりも沈静化したのか、症状は運転できる程度には治まり、交通量の少ない夜道をのんびりと流してきました。

▲ 途中休憩した須崎のコンビニ

大浴場は23時までとのことなので、部屋に荷物を置き、急いで入浴。
薬湯の香りがほのかに漂う浴槽で身体を伸ばしているうちに、全身の力が抜けて、硬直していた肩や首がほぐれ、楽になってきました。
カメラや水中ライトのセッティングは明日まわしにして、今夜は身体をやすめることを優先させ、早々に眠りにつきました。

熟睡して翌朝7時過ぎ、体調も回復し、愛南へ出発。

愛南は、マクロ、ワイド、大物とバラエティに富む海として近年注目を集めており、数年前から気になっていましたが、直接の訪問のきっかけになったのは、8月の終わりに大阪で開催された移住フェアでした。
愛南町のブースに、人の良いご夫婦のように肩を並べて座っていた町職員の方々に「どうぞ寄っていって」と、にこにこしながら手招きされ、いろいろお話を伺ったのです。

愛南へは、県都松山からはもちろん、このエリアの中心都市である宇和島や宿毛からも距離があり、また地勢も複雑なリアス式海岸で、陸の孤島感があります。この町に移住先として関心を示すのは、やはり釣りとかダイビングとか、コアな趣味を持つ人が多いそう。
評判の良いダイビングサービス(DS)も教えていただいたので、まずは一度行ってみようと思い、振替休日を合わせ2泊3日の行程でやってきた次第です。

▼ こちらでお世話になりました。

本当は、愛南だけでなく、一度しか行ったことがない柏島を旅程に加え、1日ずつ潜る予定でした。ところが数日前に柏島のDSから連絡があり、予定していた土曜日は海況がかなり悪そうなので、見合わせた方が良いとのこと。なのでとりあえず今日(10月20日)は愛南で潜り、土曜のことは現地に行ってから相談してみよう、と思っていました。

宿泊した四万十市中村から愛南のDSまでは、宿毛を経由して約60Km。中村から宿毛までは四国横断自動車道が部分開通しています。宿毛には3年前に、ダイビング仲間たちと柏島へ来た時に泊まったことがあり、確か閉鎖したガソリンスタンドの防火壁でしたか、バンクシーが残したといわれる作品があったのが思い出されます。

▲ 2020年6月、宿毛のバンクシー?の作品

宿毛からは下道をひたすら走ります。愛南町の中心部である御荘の先はリアス式海岸を登り降りする眺めの良い道を走り、中村を出てから1時間半弱で、外泊石垣の里に近いDSに到着しました。
この辺りは、海岸線がとにかく複雑。沖合には峻険な様相の島がいくつも見えます。
DSには今日一緒に潜るゲスト二人の姿しかありませんでした。車から器材を下ろして少し待っていると、やがてドライスーツを着たオーナーのTさんとガイドのMさんが、ボートに乗って戻ってきました。何でも、前日のゲストがダイブコンピュータを海中に落としてしまったそうで、探しに行っていたのだそう。無事に発見したそうで、お二人とも満面の笑み。
今日一緒に潜るゲストの一人は、昨晩、大阪南港からフェリーに乗り、けさ6時に東予港へ到着して、四国縦貫道を飛ばしてきたのだそう。大阪南港発は22時ですが、20時から乗船して船内で食事や入浴ができるそうで、関西から来るならおすすめですよ、と教えていただきました。

🔲初日(2023年10月20日)

◆ 一本目 赤ハエ 

平均水深 17m  最大水深 26.5m
潜水時間 54分  透明度 15m
水温 24℃    スーツ 5mmツーピース+フードベスト

1本目は、ソフトコーラルが美しいポイント。
DSのすぐ前の桟橋で器材をセッティングしますが、このDSはタンクの種類が豊富。普通の空気とエンリッチドエアが、それぞれ10Lと12Lから選べます。
わたくし、ダイビング歴まもなく20年でありながら、実はエンリッチの講習を受けていないので、いつも通り空気10Lをセットして、小さなボートへ乗船。

… 水中の様子の前に、潜水後の反省の弁から。
愛南は深場にマクロ系の面白い生物がいるポイントが多く、またフォト派のダイバーも多いことから、ダイビングスタイルも小さな生物を狙って比較的深いところでじっくり粘る感じです。
このため、普通の空気では、すぐにDECO(減圧不要限界の超過)が出てしまい、他のダイバーが何か面白そうな生物を狙って写真を撮っている様を、中層からただ見下ろしている羽目になりました。
愛南の海を楽しむならば、エンリッチ講習は受けてから行くべきでした。

それはともかくとしまして、初めての愛南の海は、魚影が濃く、種類も豊富。
数年前に潜った柏島に通じる面白さです。
ソフトコーラルの美しさも堪能。ただ、本当にワイド系が綺麗なポイントは外洋の方だそうで、今回のような強風の日には行けないそうです。
「あさっては潜らないんですか?快晴べた凪で、どこでも行けそうですけれど」とTさん。しかし残念ながら、あさっては高知空港から飛行機に乗らねばなりません。今回は旅費節約のため、虎の子のマイルを使って、特典航空券で来ているのです。

▲ ソラスズメダイの群れ
▲ フエダイの群れ
▲ 絢爛豪華なソフトコーラルの群生

1本目では、このほか、アザハタ、キビナゴ、ピグミーシーホース、タマシイなどを観察できました。どうしてピグミーの写真がないんや、とか聞かないように。

◆ 2本目 鹿島ビシャゴドロップ

平均水深 12.8m  最大水深 28.3m
潜水時間 58分  透明度 15m
水温 24℃    スーツ 5mmツーピース+フードベスト

2本目はマクロ三昧。ワイドコンバージョンレンズは余計だった、と後悔。

▲ ガラスハゼ
▲ オルトマンワラエビ
▲ おいしそうなカサゴ
▲ ミノカサゴ
▲ コケギンポ

◆3本目 引船越

平均水深 14.9m  最大水深 24.3m
潜水時間 49分  透明度 15m
水温 24℃    スーツ 5mmツーピース+フードベスト

このポイントは、なだらかなスロープになっている砂地。ガラス瓶の中のミジンベニハゼ、小さなタコなど、ここもシャッターチャンスを狙ってじっくり粘るダイビングスタイル。老眼かつ乱視気味のわたしには、マクロは少し厳しいのですが、これはこれで面白い。


◆4本目 陸ダイブ🍺

半島の道を愛南町の中心部である御荘へ戻り、国道沿いのホテルへチェックイン。町を見下ろす稜線上では、風力発電の風車が何機も回っています。
バイパス沿いにはロードサイドビジネスが並び、選択肢は少ないながら、必要なものは揃う感じの町です。
昭和な趣きの部屋で旅装を解き、少し昼寝。週末からの仕事のストレスと、昨夜からの強行軍、その後の今日の3ダイブで、少し疲れが出たのです。

18時少し前、フロントで何軒か居酒屋を教えてもらって、再び町へ出ました。ホテルの近くにも2〜3お店がありますが、今日は少し足を伸ばしてみようと、長閑な夕暮れの川沿いを歩き、町内へ向かいます。

▲ 夕暮れ時の愛南

ここは良さそう、と匂った店の暖簾をくぐりました。
…大失敗。カウンターは既に予約で一杯だとかで、一人なのに個室へ通されました。
所在なく、刺し盛を突きながら焼酎を呑んで、一時間ほどで退散。明日はDSの呑み会に呼んでいただいたので、そちらに期待することとしましょう。

人気のない夜の町を歩いていくと、今やほとんど見かけなくなった「モンマート」の看板を掲げた店が営業していました。大手コンビニのようなフランチャイズチェーンでも、また全日食のようなボランタリーチェーンでもなく、小売コンサルタントが主催する酒販店の勉強会のような緩やかな組織だったので、主宰者の逝去と共にチェーン機能は失い、看板だけが残されたようです。

遍路宿の灯だけがこぼれる旧商店街を散歩して、バイパス沿いのホテルへ戻りました。

◾️ ◾️ ◾️

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。引き続き、強風の中の2日目のダイブについて綴っていきます。
宜しければ、またお読みいただければ幸いです。

▼ 水の中を巡る旅 これまでの記録はこちらです。


私は、2020年に勤務先を早期退職した後、関東から京都へ地方移住(?)しました。noteでは主に旅の記録を綴っており、スキューバダイビング旅行の記録のほか、ロードバイクで北海道一周した記録、ブロンプトンを連れてローカル線や地方都市を訪ねる旅、また海外旅行のことなども書いていきます。宜しければ↓こちらもご笑覧下さい。



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