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北国の空の下 - 週末利用、自転車で北海道一周 【1】はじめにー成人病と自転車
はじめに
2015年から2020年にかけて、週末を利用して、自転車で北海道一周しました。50男のお遊びですが、その間には仕事でも私生活でも、年齢なりのことが色々とありました。しかし、北国の空の下を走る時間は、いつも透明感に満ち溢れたかけがえのないひと時でした。
まずは、4年にわたる海外駐在から本帰国するところから、始めたいと思います。
バンコクの人間ドッグ…
「数値がまた悪化しちゃいましたねえ。ご両親も高コレステロールなんですね?体質的なものが大きいのかなあ。お薬を変えてみましょう。え、本帰国されるんですか?それじゃ3ヶ月分くらい出しておきますね」
2015年2月末、私は強い惜別の念と、大量の降圧剤及びコレステロール治療薬を抱いて、バンコクから本帰国しました。
諸般の事情で3年ほどサボっていた人間ドッグを、久々に受診したのは、その前年の10月。
メディカル・ツーリズムのメッカとも言えるタイでは、株式会社が病院を経営でき、株式上場することも可能。故に、医療が良い意味でサービス業として確立しています。外国人が通うような病院は、五つ星ホテルのような豪華さ。健康診断も大変にスムーズで手際よく進みました。
しかしながら、検査結果は無残なものでありました。
・血圧 134/88
… これは、タイ基準では辛うじて正常値であったものの、
・総コレステロール 309mg/dl ※正常値は200以下
・中性脂肪 166mg/dl ※正常値は150以下
・HDLコレステロール 58mg/dl ※正常範囲だがやや低め
・LDLコレステロール 214mg/dl ※正常値は130以下であり、どうみても危険水準
・その他、軽度の脂肪肝、胆嚢ポリープ、などなど…
※上記の正常値は、受診したバンコクの病院が設定している基準値
検査後の問診は、日本人の女医さんが担当してくれました。
「お酒や脂っこいもの、甘いもの、お好きですか?」…全て大好きです。
「過去にも肝脂肪、引っかかったこと、ありませんか?」…実は数回。
「コレステロール、これはちょっと…かなり詰まりやすい数値ですよ。体質じゃないですか?」…うちの家系は全員、コレステロール高めですねえ。
「これも過去に異常値が出てたでしょ?薬、飲んでなかったの?」…はい、飲んでました。それで、まあまあ下がったんで、海外赴任してから止めちゃいました…
「ああ、それはダメですよお~」人の良さそうな女医さんに、呆れ顔で言われてしまったのでした。
私の家系は美味しいものを飲み食いするのが大好きで、家族揃ってコレステロールも血圧も高いのです。若い頃は高血圧と無縁だった私も、40歳を過ぎて責任あるポジションに就いてからというもの、てきめんに血圧が高くなりました。
味の濃いもの、しょっぱいもの、揚げ物、スナック、さらにお酒…
これら全てが大好きな上、赴任先が仙台、新潟、インドネシア、そしてタイと、食べ物の味付けが濃いとか、揚げ物・炒め物が多いとか、ラーメンが美味しいとか、ついでに日本酒もおいしいとか、私を動脈硬化に追い込まんとする会社の策略かと思われるような場所ばかりだったこともあります。
加えて、東京はじめ大都市圏では、毎日の通勤で相当のカロリーが消費されますが、地方や海外勤務では基本的に社用車での移動。故に歩くことが極端に少なくなるのも影響しているでしょう。
ちなみに、人間ドッグを受診した段階で、私の身長は177センチ、体重71.2キロ。
BMIは22.6で、医師からも「ちょうどいいくらいですねえ。なのに…」と言われました。
ただ、30代前半までは63キロ前後だったことを考慮すると「ちょっと体重が増えすぎ」ということらしい。
体脂肪は、この頃継続的に測定してはいなかったが、概ね18~19%。恐らくは、皮下脂肪よりも内臓脂肪の方が問題なのでしょう。
熱帯のサイクルライフ事情
食生活以外にもう一つ、考えられる原因がありました。
2011年に海外赴任してからというもの、昔からの趣味である自転車に、乗る回数も、走る距離も、めっきり減っていたのです。
これは、まず第一には「暑い」から。正直、バンコクでは2回ほど水分補給の失敗により、幹線道路走行中に視界が真っ白になるというやばい経験もしました。
第2に、交通渋滞が激しい上、大気汚染が著しく、自転車は健康にいいんだか悪いんだか判らんような環境だったこともあります。
第3に、表通りはともかくとして、裏通りとか郊外の路面状況が劣悪。バンコクはまだ良かったが、ジャカルタは結構ひどく、路肩はガタガタだし、路面にあいた穴の補修も石を詰め込んだだけ、という箇所が珍しくありませんでした。日本人駐在員がロードバイクに乗っていて、路面の穴にタイヤを取られて転倒し、大怪我を負ってシンガポールまで空路搬送されるという事故もありました。
もう一つ、熱帯の風景というのは、やはり平板なのです。どこまで走っても風景が変化せず、嫌になってしまうのです。季節感も、まあ厳密にはゼロではないけれど、日本の陰影に富んだ四季の中で育ってきた者には物足りなさを禁じ得ません。
総じて言えば、安全ではない上に、快適でも面白くもないのでした。
2011年にジャカルタに赴任する時、愛用のロードバイク(CORNAGO Primavera)を持参しました。しかし、大通り以外は路面が悪すぎ、現地でMTB(Willier XC303)を購入。バンコクに赴任してからは、旅先に気軽に持参できる小径車が欲しくなり、Bromptonを購入。それぞれ場面と目的に応じて楽しませてはくれました。しかし、走る頻度も距離も日本にいた時よりは遥かに少なく、100Kmを越すロングライドなど、指折り数えられる程度でした。
なお、バンコクを離れる直前、2月に血液検査した結果は、写真の通り。
![](https://assets.st-note.com/img/1671241011595-I5ZFnJWiqm.jpg)
・総コレステロール 241mg/dl → 若干改善したが、まだかなり高い。
・中性脂肪 177mg/dl → 悪化してしもうた。
・HDLコレステロール 60mg/dl → ほぼ横ばい。
・LDLコレステロール 141mg/dl → だいぶ改善されたが、依然高い。
前年10月の人間ドッグの後、自転車に乗る機会を意識的に増やし、週2回はジムに通い、甘いものや揚げ物の摂取を控えた効果で、一時期は劇的な改善が見られました。
しかしその後、本帰国の内示が出て、大好きなバンコクを離れなければならない悲しさで運動は疎かになり、帰国前にせいぜい大好きなタイ料理を食いまくろうということでカロリー摂取過剰になり、見事リバウンドした結果がこれ。
本帰国、札幌赴任
帰国後、ジメジメと肌寒い東京で一ヶ月を過ごし、ようやく桜花で街が春色に染まった4月上旬。
私は札幌へ赴任しました。
かつて学生時代を過ごした札幌は、私の第二の故郷。しかし、ちょっと前まで熱帯で暮らしていた身には、何ともガランとした寒々しい街に見えてしまいました。
一週間後、バンコクから船便で送った自転車3台が無事到着。
4月の北海道、日差しはまだ弱々しいが、ここしばらくの運動不足を解消しようと、少しずつ体づくりを開始。市内の移動はもっぱら徒歩か自転車。週末は、まず定山渓、続いて夕張へと、徐々に走る距離を伸ばしていきました。
そして、5月なったら、もう何年もやっていないセンチュリーライド(100マイル=約160Kmのライド)をやろうと心に決めたのでした。
※次は、週末北海道一周のスタート。札幌からオロロンラインを北上し、留萌へ。