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公認心理師Gルート・受験する理由とメリット(前編)

2022年3月8日火曜の朝。イオンは本日火曜市ですが、第5回公認心理師試験日までは4か月と少し。私は今日も過去問を解きながら「統計とか無理じゃね?」とぼやきつつ、いろんな方に助けられて、元職場に実務経験証明書を書いてもらう対策を一緒に考えてもらったり、またある方には分数の計算などを教えてもらい、メンタルだけは元気に保っています。そうです私も今年最後のGルート受験者です。たぶん受験者になると思います……(受験票が来るまで分からないのがGルート)。

というわけでここ最近全く文章が書けていなかったので、リハビリがてらに「なぜ公認心理師Gルートを受験するのか、そして勉強するメリットとは?」について書いていきます。

本来ならば心理系大学・大学院を卒業しなければ受けられない試験。公認心理師法によって心理職の国家資格「公認心理師」が定められたのは2015年(施行年2017年)ですが、施行から5年間の2022年までは措置期間として以下の業務を5年以上行ってきた人、いわゆる「現任者」が学歴不問で受験できることになっています(ただし現任者講習会の受講が必要)。

一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

(公認心理師法第二条より)

この条文の解釈についてはなかなか難しく(というか色々問題があり)、これ自分にあてはめたら拡大解釈だよな……と思いつつ受験を決め勉強し、現任者講習を受け、試験に向けて準備をはじめてしまいました。ちなみにGルートとして受験する人の職種は教員・看護師・栄養士に加えて三福祉士が多いようなので、介護福祉士もいけるかな?という、わずかな希望で綱渡りをしている心境です。

とはいえ生活相談員やケアマネならともかく、普段相談業務をそれほど行っていない介護職がGルートとして認められるのか。そのあたりの議論もネット上では結構目にします。看護師なら精神科などでの心理療法で加算がとれるようですし、栄養士も食事療法に伴う相談が多いですよね。精神保健福祉士や社会福祉士なんて、もろ相談・助言を含めた対人援助職ですし。でも介護となるとアセスメント業務や日々の観察を「心理相談」と言い張るのは、自分でやっておきながら正直ちょっと苦しいです。そして仮に合格したとしても、介護の現場で専門的な知識を使う場面って案外ないんですよ。

とはいえ何事も勉強しておいて損はありません。そこで個人的な話になりますが、私が公認心理師を勉強しはじめてよかったことを書いておきます。

その前に私が受験を決めた理由。まずは前述のように「今年が最後のチャンス」だから。あと介護現場はどこもハード。このまま何十年も同じことができるか?なら頭が比較的しっかりしているうちに、他の仕事や新しい働き方につながるチャンスは多く作っておきたい、という将来への保険。理由としては大きくこの二つですが、最初のきっかけは人に勧められたから。

ということでここからは「公認心理師を勉強するメリット」です。ほぼ心理学以外のことですが、ちょっと箇条書きにしてみましょう。

  • 職業倫理の意識が高まる

  • 自分のメンタルヘルスにも役立つ

  • 数学の学び直しと発展的学習ができる

  • 論理的な文章の読み方・科学的態度が身につく

  • 怪しい・質の低い支援者の見分けがつきやすくなる

まず職業倫理。公認心理師法には下記引用のような条文があります。すごく簡単にまとめると秘密保持義務に加えて「心の健康に寄与する立場として変なことをするんじゃない、勉強しろ、あと無資格のやつは勝手に心理師名乗るな」ということです。これは公認心理師というより心理あるいは対人援助職全体の常識かも知れませんが、意外と皆さん、例えば「心理学に興味があって~カウンセラーになりたいの~」とか言って心理学でも何でもないうえ履歴書にも書けない、3日で取れる系の変なセラピスト資格を買ってくる皆さん。大体この辺の倫理観が欠けています(医療福祉職にも重なるところがあるんですが……)。

ざっと挙げるだけでもサークル仲間や友達をカウンセリングする(多重関係)、自分のやってるマルチの商品を「紹介」する(利益誘導)本人の承諾なしにSNSに顔写真を載せて仲良しアピール(多重関係&個人情報漏洩)、カウンセリング内容を個人特定できるレベルでブログに綴る(秘密保持義務違反)、「あなたには薬はいらない、これは前世からのメッセージだから」と薬をやめさせるように誘導する(カウンセラーの仕事ではないし医師法違反かも)……もう書ききれませんが、倫理観が欠けているとこんなことも「自由」にできてしまうし周囲も気づかない。

すでにお分かりかも知れませんが、公認心理師法や医師法など法律を見ていくと、自ずと「こいつ勉強してない偽カウンセラーだな」ということまで分かってしまうことがあります。これは公認心理師を勉強するメリットとも言えます。そりゃそうでしょう、最初に学ぶことが学術的な心理学の知識とエビデンスに基づいた医学、そして法的根拠のある倫理や各制度なんですから。法的な倫理や根拠のある知識を学ぶと自ずとインチキに対する観察眼が磨かれる気がしています。

第四章 義務等

(信用失墜行為の禁止)
第四十条 公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
(秘密保持義務)
第四十一条 公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。
(連携等)
第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。

2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

(資質向上の責務)
第四十三条 公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

(名称の使用制限)
第四十四条 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。
2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。

公認心理師法https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80ab4905&dataType=0&pageNo=1

というわけで公認心理師を勉強するメリットのうち、「職業倫理の意識が高まる」と「怪しい支援者の見分けがつく」ことについて解説してみました。そのほかのメリットについては、長くなるのでまた次回に公開します。

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