『室井慎次 生き続ける者』ネタバレ注意する必要はあったのか
映画を見終わった人達の賛否両論、感動した人から、駄作だと怒り狂う人まで両極端な映画評があふれていますが、私は見終えてどうだったのかというと、2024年に観た映画の中で、現在映画館で観た映画20本の中で、残念ながらワースト3に入ってしまいました。
だいたいにして、今回の映画、いろんなニュースでも見ていましたが、俳優の柳葉敏郎さんを室井慎次という役から解放してあげたかった、という言葉を読んだ時点で、もう室井慎次さんをこの映画で殺すつもりなんだなぁと思ってしまったのですが、更に先日サプライズで映画に、これまで踊る大捜査線に復帰は無いと言われていた青島刑事が登場するという情報が公開されました。
サプライズの中身を映画を観る前の人にばらすという行為は、もはやネタバレに等しいような気もするのですが、踊る大捜査線は好きだけど、スピンオフとかはちょっとと観るのを渋っていた人を映画館に呼び込むという意図はあったのでしょうが、正直映画館で観ようと思っていた私にとってはがっかりでした。
ただ、サブタイトルとして「生き続けるもの」という文言を読んで、室井慎次さんは死なないまでも今後の踊るには登場しないように、退場してしまうのか、となると、死ぬ以外の選択肢は何なんだろうとか色々考えながら映画館で観たわけですが、映画の内容にビックリしました。
いや、ビックリというよりも、ガッカリしたという言葉の方がふさわしいでしょう。
一応、室井慎次という男の生き様を描いた踊る大捜査線のスピンオフ映画として、心を揺さぶる映画として仕上がっています。
と、いうことにしておき、この後は、思いっきりネタバレに繋がりますので、読む人は映画を観てから、読んでいただきたい。
そして、映画に感動した人は、読まない方が良いと思います。
映画の感想というのは、観る人がどう感じるかという事ですから、私の場合こうだったという事なので、おそらく感動できた人に比べて私の感性が大きくひねくれている結果だと思います。
ネタバレ注意 この先はネタバレがイヤな人は読まないで下さい
最初に言っておきますが、私はツッコミどころのある映画は好きです。
だから、納得できないところがあるにしても、自分が理解できなかっただけで、何か理由が制作側にはあるんだろうなぁとか、できるだけ好意的に解釈するように努めているわけですが、今回のこの映画は、映画を見終えて、大声で「おい、そこで終わりか、それで大丈夫だと思っているのか、何考えて作った?それで観た人が喜ぶと思った人をここに連れて来い」と叫びたかったです。
まずは前作から続いた事件の解決についてです。
かかってきた犯人からの電話の声を聴いて、20年近く前の犯人の声を思い出して犯人を特定して、捕まえるのは監視カメラ映像から捜索?その前に、どうやって特定したかの描写が一切無く、突然犯人達のアジトに突入って、事件解決に踊る大捜査線の頃から他の刑事ドラマやミステリサスペンスドラマに比べて、捜査の比重が軽いのは覚えてるけど、ここまで捜査を軽視したドラマというのはあんまりだよねというのに加えて、殺人事件の解決が予想?空想?で犯人の自白すらない。
そして、室井慎次の自宅の近くから発見された死体に関する事件は映画の中盤に早々と解決したことになってしまい、物語は室井慎次の死へ向かって行きます。
室井慎次の死に様についても、死ぬシーンは直接の表現ではなく、警察無線で心肺停止が伝えられ、その後、住んでいた家に次々訪れる弔問客?
最後まで室井慎次の遺体も、死んだ姿も描かれることなく、葬式すらしない。これは今後の人気や観客の要望次第では、無理やり生き返るというか、実は家の中で植物状態で生かされて、復活もあり得るという伏線かとか疑ってしまいます。
しかも、室井をどうしても殺して終わりたいならば、家で争ったときに子供たちを守るために身を挺して亡くなっても良かったではないかとも、それを切り抜けた後に犬を探しに行って死ぬって、どうなんだよ。
最後に、サプライズ演出の青島の登場がラストに待ち受けているわけですが、室井慎次の家の前まで来て、呼び出しの電話を受けて、引き返すだけという映像で終わるわけですが、もし室井が死んでるなら、せめて手は合わせろよとか、いくら引き返すとしても、仏前で手を合わせる時間ぐらいあるでしょとか思ってしまいます。
サプライズ出演というよりも、あれだけ心が通じ合った二人の、青島の室井に対する態度に驚いたわと思ってしまいました。
で、話は変わりますが、餞別としてSF小説の本を一冊渡すわけですが、『星を継ぐ者 J.P.ホーガン』という選択は良いけど、この本は三部作と言いながら4作目も出て、更に今年12月にはついに続編の5冊目が発売するんだよという情報を言えば、ホントにSF小説好きなんだなと納得しますけど、この本の選択はもっともらしい本を選んだだけで、本当は読んでいないんだろうなぁと思ってしまいました。
持っている本を売って大学進学することに決めて、勉強のために東大の赤本というのも、何だかなぁとちょっと引いてしまいました。