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『ドクターX FINAL』いや失敗してますけど

今年の映画というよりも去年公開なのですが、映画館での公開が終わる前になんとか間に合いました。
テレビドラマのシリーズで長らく楽しませて頂きましたが、この映画でついに完結という事で、これは是非にも映画館で観なければなるまいと思っていました。
毎回主役の天才外科医の大門未知子が「私失敗しないので」と言いつつ難手術をこなし、高価な手術代をメロンと一緒に請求するというパターンでドラマを楽しむというより一種の方の決まったコメディとして楽しんでみていた感じです。

最初は巨大な権力を持った敵役として登場していた西田敏行さんも、いつの間にかコメディ要員と化してしまいましたが、残念ながら還らぬ人となってしまい、この映画が遺作となってしまいました。
映画としては、これまで繰り返されてきた決め台詞の「私失敗しないので」という言葉のルーツ、外科医大門未知子のルーツ等が明かされ、いつものメンバーのいつもの名台詞が聞けたので、これまでのシリーズを見てきた身としては満足の行く作品と言えばそうなのですが、一本の完成した映画としてみるとツッコミどころが多すぎる作品でした。
ですから、この映画を観る人は西田敏行さんの追悼映画として、テレビシリーズで楽しんだ人だけがオマケの作品としてみるべきだと思います。
ですから、この映画だけを観ようと思う人は注意が必要です。
ということで、ここから先は映画を観た人とだけ、語り合いたいと思います。
一つ、ネタバレにならない程度に言えるのは、映画のロケ地の実態を知っている人は現実世界と映画世界を一緒にしてはならないという事ですね。

ということで、ネタバレ注意です。




ネタバレ注意


ネタバレ注意


ネタバレ注意




今回の映画で大きく納得できない、シナリオ失敗だと思うのは特に五点。
細かく書けばもっとたくさんあるのですが、書いていくといつもの倍以上の文量になりそうなので、いいかげん少なめにしておきますけど、それでもツッコミどころ満載でした。

  1. ヘリコプターでの日本帰還について
    毎回舞台となる病院からかけ離れた場所での大門未知子の手術から始まるのがお約束のシリーズですが、今回は外国の大統領への極秘手術から始まり、目隠しで日本近郊の海辺にゴムボートで置き去りにされて始まるわけですが、そのヘリコプターの継続距離どうなってんだと思うのです、それだけ長距離に対応した軍事ヘリを持っている国って、しかも、日本海側でなく太平洋側の海へヘリで来るとなると、どれだけの航続距離のヘリコプターが必要になることか、どう考えても存在しないですよね。

  2. 大門未知子の生まれ故郷 呉について
    大門未知子が呉出身だからと、大門未知子のルーツを求めて呉市に生家を探してくるわけですが、聞き込みをするのが何故か潜水艦基地の前の海辺で、生家を発見するのが大崎下島の御手洗って、聞き込みをした場所からその島への距離が離れすぎてる上に、絶対に三〇年以上前に廃業した病院の情報なんて手に入らないよね。
    間違いなく、呉だから潜水艦基地を映したかったし、瀬戸内の風景を写したいから古いまちなみが残っている島である御手洗漁港を選びましたというのが見え見えです。
    大体呉出身らしいという情報を聞いて呉に来たのですが、そもそもその見たりあ漁港は合併して呉市になった野分で、大門未知子が呉に住んでいたという時期は呉市でなく豊田郡豊町ですけど。

  3. かえるの解剖と気絶する若い大門
    天才外科医大門未知子は初めから天才だったのではないというえぴそーどとして、小学校時代の蛙の解剖のエピソードが出てくるのですが、小学校時代も医学生の研修時代もすぐに気絶してしまう女性として描かれていますが、優しさのエピソードとしてカエルを逃がしてあげるシーンが登場します。でも、カエルを海辺の砂浜に逃がすって、いつから蛙が海の生き物になったんだか。間違いなく瀬戸内の砂浜を映したかっただけですよね。

  4. 心臓移植
    移植手術で双子だから移植しても問題ないというのはある意味納得なのですが、最後に晶さんの心臓を移植しなければ病院長を救えないとして、心臓移植をするときに一切の拒絶反応無しで人の心臓の移植が終わるって、いくら天才外科医としての腕があったとしても無理ありすぎでしょう。
    しかも、心臓取っても、人工心臓で生きてるなら、最初から人から人への移植手術せずに人工心臓で良かったでしょうに

  5. 積年の恨み
    双子として生まれた兄と弟、兄は健康で弟が手術の影響で身体に障害を持ってしまったことに、手術をした晶さんに怨みを持っていたから、倒れた晶さんを介抱することなく、今回の事態になったわけですが、そこまでの深い怨みがある相手からの心臓の移植。ここまで恨み骨髄ならば自分の心臓を移植してもらった相手を知ったら、自分が死んでもその心臓をもらいたくないとか言いそうなものですけど、素直に受け取って改心してしまうってのはどうなんだと思ったのは私だけでしょうか。

なんにせよ、ツッコミどころ満載ですが楽しめた映画ではありました。
「私、失敗しないので」
という言葉に、声を大にして言いたいのは「いやいや、映画のシナリオとしては大いに失敗してますけど」ということだったりします。

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