マズローの欲求段階説と世代間ギャップ
世代間の価値観
今の40代50代の皆さんの価値基準の基本はお金=物です。
幼少期を今とは比べ物にならないほど貧しい環境の中で育った人もいらっしゃるでしょう。
そんな皆さんの価値基準がお金=物になるのは自然なことで、何も不思議なことはありません。
さらに上の世代の方になるとお金よりもより具体的に、食べ物が一番の価値基準になります。
しかし今の若い世代の多くは幼少期に貧しい暮らしをしていた、物が不足していたという時期を経験している人のほうが少ないです。
物はあって当たり前、贅沢な考えに聞こえるかもしれませんが現代日本で中流階級以上の家庭で育てばこんな考え方になるのも自然なことだと思います。
マズローの欲求段階説
人間は様々な欲求を抱えていますが、それを分類したのがマズローさんです。前述のピラミッドはあまりにも有名でしょう。
下に行くほど物質的な欲求で、上に行くほど精神的な欲求となります。
図示する上でこのような上下構造になっていますが、実際はこれらが混然となってマーブル状になっているんじゃないかな、と思います。
ワークライフバランスが叫ばれるようになったのはなぜか
近年ワークライフバランスが叫ばれるようになったのは、過労死などの労働による苛烈な環境のせいもありますが、この欲求のウェイトの置き方が世代間で違うからではないか、と私は考えています。
前述の通り、今年齢的に上のほうに位置する皆さんは物がない時代を経験しており、そのため物を獲得することが至上命題でした。
しかし現在の若者はものを獲得することよりもそこに存在していいという承認を得たり、自己の実現にこそ価値を見出しています。
上記記事で報酬を渡す際にはお金以外の方法も検討したほうがいいと書きました。
欲求段階が物質=お金の人たちにはお金を渡すのが一番効果的です。
しかし現代の若者の欲求はもっと精神的なものなのです。
じゃあ精神的なものを与えるって何をすればいいのさ、という話になりますが、これをお金で解決できるのが、前出の記事でも書いた職場環境の整備です。
要は現代の若者は仕事中にどうでもいいことでイラっとしたくない、快適な環境で仕事をしたいと考えているわけです。
これはワークライフバランスにも同じことが言えます。
上の世代の方はどんなに働いてでもものを得ることが至上命題でした。
しかし現在の若者はものを得ることよりも不快な時間を減らして、心地よい時間を延ばしたいのです。
仕事を不快な時間と表現するのは若干心苦しいのですが、それでもいつでも自分の意志や意見が通るわけではない環境となんでも自己責任の範囲で好き勝手やっていい環境であれば、後者、プライベートな時間のほうが心地よく感じるのも無理はないと思います。
これからこの流れはどんどん加速していくことでしょう。
ものはますますあふれ、それだけでなく情報という無形のものまであふれかえる時代になりました。
そんな中で自分が何を欲しているのか、あるいは相手が何を欲しているのかを見極める力を養っていかないとなあと考える次第であります。