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【随想】春隣(はるどなり)
俳句を詠むことはありませんが、「歳時記」をたまに開きます。日本人の季節感や、それを言葉でどう表現しているのか知ることができるから。
紹介されている作品は現代のものから古典までさまざま。はっ、と気づかされる言葉や表現に出会うとうれしくなります。
まだ秋の入り口。これから紅葉が山から平地へと広がります。
そして、冬。
ちょっと気は早いですが、冬の季語では「春隣(はるどなり)」が好きです。
春夏秋冬。
春(4月)を年度はじめとするからでしょうか、季節を表す言葉は一般的にこう言います。冬は四季の「最後」。すこし損をしているような気もします。たしかに、北国では雪かきでうんざりしたり、道路わきによけられた雪で道幅が狭くなって渋滞したり。さらに、凍った道は歩きにくくて転んだりもする。くらしへの影響は少なくありません。
だからと言って、雪を、冬を、嫌いになれない。ひとの気持ちは不思議です。
そして、
長かった冬も終盤を迎えると、白い街を見ながら「この季節の先には…」と思い始めます。
社会が〝生まれ変わる〟春を、待ち遠しく過ごす日々が続きます。
春隣。
寒さのなかにも、陽射しに暖かさを感じはじめるころ。
どんなに技術が進んでも。どんなに暮らしが便利になっても。季節のうつろいや自然とのかかわりは、忘れたくない。
自然界の〝異常〟がかまびすしい。
そんないまは特に、そう思います。
(了)